「こういう先輩がいるとやる気が出ます」木村拓哉が語る“山田洋次組”への熱き敬意

第38回東京国際映画祭のセンターピース作品として上映された山田洋次監督最新作『TOKYOタクシー』。上映後には、主演の倍賞千恵子と木村拓哉、そして山田洋次監督が登壇し、作品の魅力と撮影秘話を語った。会場ではシンガポール、台湾、香港での公開決定が発表され、さらに山田監督に「特別功労賞」が贈られるという、祝福と感動に包まれたひと夜となった。

『武士の一分』以来19年ぶりとなる山田組参加を果たした木村拓哉は、舞台挨拶で撮影当時を振り返りながら、監督や現場への熱い想いを語った。「自分は幼少期に柴又に住んでいたこともあり、『男はつらいよ』の撮影現場を見ていました。そのことを監督に伝えたら『そうか、君はいたのか』って言われたのを今でも覚えています。今回は現代劇として、倍賞さん演じるすみれさんを車で迎えに行くシーンから物語が始まりました。あの街の方々も“また山田組がここで撮影をする”と喜んでくださって、現場全体が脈を打ちだしたような雰囲気を感じました」と語る。

さらに「監督が『パリタクシー』をご覧になって東京版でリメイクしたいという話を聞き、本当に自分の欲や興味や愛情を持っている方なんだと感じました。こういう先輩がいるとやる気が出ますよね」と、尊敬の念を滲ませたコメントで会場を沸かせた。

倍賞千恵子は「最初は形のない山だったけれど、富士山よりも素晴らしい『TOKYOタクシー』という山に登ることができました。私にとって忘れられない作品になりました」と語り、満場の拍手を浴びた。山田監督への花束贈呈の際には、「山田さんの熱い想いがヒシヒシと伝わってきました!またご一緒できる日を楽しみにしています」と笑顔を見せた。

「長い間映画を撮ってきたことを褒められて、今回この賞をいただけたと思っています」と語り出した山田監督。「映画はやっぱり劇場で見るのがいい。スクリーンで大勢の人たちと一緒に観ることが“映画”なんだと改めて感じました。この作品も“スクリーンで見てもらうつもりで作れ”と自分に言い聞かせていました」と、映画に対する信念を語り、観客に深い余韻を残した。

■作品情報
タイトル:『TOKYOタクシー』
公開日:2025年11月21日(金)全国ロードショー
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝原雄三
原作:映画『パリタクシー』(監督:クリスチャン・カリオン)
出演:倍賞千恵子、木村拓哉、蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、イ・ジュニョン、笹野高史 ほか
配給:松竹

ストーリー:
タクシー運転手・宇佐美浩二(木村拓哉)は、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から神奈川・葉山まで送ることに。人生の見納めに“思い出の場所”を巡るすみれの旅に寄り添ううち、浩二は彼女の壮絶な人生と向き合うことになる――。
“たった1日の旅”が、偶然出会った二人の心を、そして人生を動かしていく。

©2025 映画「TOKYOタクシー」製作委員会
Remake rights: courtesy of Pathé – Une HIRONDELLE PRODUCTIONS
Based on the film “UNE BELLE COURSE” ©2022 – UNE HIRONDELLE PRODUCTIONS – PATHE FILMS – ARTEMIS PRODUCTIONS – TF1 FILMS PRODUCTION