「日本でレッドカーペットを歩くのはほぼ初めて。やはり日本は格別でした」吉永小百合が語る挑戦と感謝の夜

第38回東京国際映画祭が10月27日(月)に開幕。そのオープニング作品として上映されたのは、阪本順治監督による映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』。エベレスト女性初登頂を成し遂げた登山家・田部井淳子の実話をもとに、彼女の挑戦と人生を壮大なスケールで描いた感動作だ。上映前には、主演の吉永小百合、青年期の多部純子を演じたのん、そして阪本順治監督が登壇し、華やかな舞台挨拶が行われた。

この日、吉永小百合は田部井淳子さんの写真を複写した白の帯に、田部井さんが撮影したエベレストと月の写真をあしらった特別な着物姿で登場。観客からは大きな拍手が沸き起こった。「田部井さんには2012年にお目にかかって以来、明るく積極的で生き生きとした姿に惹かれていました。山には20代の頃によく登っていましたが、本作でまた富士山やさまざまな山に登ることができ、とても幸せな時間でした」と語り、挑戦する女性たちへの尊敬をにじませた。

青年期の多部純子を演じたのんは、共演シーンこそなかったが、吉永が撮影現場を訪れた思い出を振り返った。「富山の山奥で撮影していた時、駅からも遠くて来にくい場所だったんです。でも吉永さんがサプライズでお1人で現場に来てくださって、本当にうれしくて、喜びでいっぱいでした」と語ると、会場からは温かい拍手が送られた。

阪本監督は「スマホやPCではなく、大きなスクリーンと迫力ある音響で楽しんでほしい」と挨拶。吉永・のんの演技については「田部井さんの本や映像をもとにキャラクターを箇条書きにし、お二人に伝えました。のんさんには吉永さんの昔の映画も観てもらい、役のイメージを共有しました」と語り、丁寧な役づくりの裏側を明かした。最後には「この映画は二回目が一番面白いです」とユーモアを交えて観客に呼びかけ、会場を和ませた。

レッドカーペットを歩いた感想を問われた吉永は、「日本でレッドカーペットを歩くのはほぼ初めて。たくさんの方の応援を実感しました。以前モントリオールで歩かせていただきましたが、やはり日本は格別でした」とコメント。のんも「吉永さん、阪本監督と3人で歩けて幸せでした」と笑顔を見せた。阪本監督も「あと1kmくらいあっても良かったですね」と冗談を交え、会場は温かい笑いに包まれた。

阪本監督は「先日、サンセバスティアン映画祭でオーストリアの登山家ゲルリンデさんに“田部井淳子さんの映画ができたと聞いてとても驚いた”と言われました。田部井さんのファンは世界中にいると実感しました」と語り、国際的な広がりにも期待を寄せた。

■作品情報
タイトル: 『てっぺんの向こうにあなたがいる』
公開日: 2025年10月31日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督: 阪本順治
脚本: 坂口理子
出演: 吉永小百合、のん、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、茅島みずき、天海祐希、佐藤浩市 ほか
音楽: 安川午朗
原案: 田部井淳子「人生、山あり“時々”谷あり」(潮出版社)
配給: キノフィルムズ

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