若者が直面する外見至上主義(ルッキズム)やメディアの影響といった現代の問題を鋭く描き出す映画『渇愛』が、5月16日より公開されることが決定した。併せて、特報映像とポスタービジュアルが披露された。
本作は、元教師の監督の教え子の実話を元に、入所施設でのリアルな出来事や登場人物の細かな描写を表現する。摂食障害、DV、家族の崩壊といった社会的課題に深く切り込みながら、観客に再生の物語を届ける。
監督は、高校時代に友人と8mmフィルム映画を撮って以来、映画の魔法に魅了され続けた岩松あきら。しかし、教育大学の教授だった父親の強い願いもあり、映画の夢を封印。小学校教師として歩み始めたが、映画への情熱は消えず、教壇に立つ傍ら、映画評論を書き続けていた。そしてついに長編映画『幸福な結末』の製作に踏み切るが、教師と映画監督の両立では時間が足りず、100%納得のいく作品にはならなかった。次こそは映画にすべてを捧げる。その決意のもと、24年間勤めた教職を退き、退路を断つ。そして、12年間の歳月を費やし生まれた作品で、世界15大映画祭のひとつ「タリン・ブラックナイト映画祭」の舞台に立つこととなる。
主人公の早紀は、封建的な父親に思いを伝えられず心を崩し、姉の象徴である花が流れる川へ入水する。彼女のキャラクターは、シェイクスピアの戯曲「ハムレット」のオフィーリアをモチーフにしており、ポスタービジュアルではオフィーリア同様、早紀の愛への渇望と強い意志を表現している。
■石川野乃花(早紀役) コメント
この映画の物語を初めて伺ったとき、その壮絶な内容に思わず震えてしまいました。アイドルとして活動している私にとって、この作品に出演することは、とても大きな決断でした。しかし、女優として、そして表現者として、さらに高みを目指したい——その強い想いが、私の背中を押してくれました。これまでの自分をすべて捨て去る覚悟で、心も体も限界まで追い込みながら、この作品と向きあったのでスクリーンに映るのは、きっと新しい私です。ぜひ劇場で、私の覚悟と魂の叫びを感じていただけましたら幸いです。
■岩松あきら(監督) コメント
元教師の私が教え子の苦しみから着想を得て、12年の歳月をかけて完成させた『渇愛』。摂食障害をテーマに、地方都市から世界へ発信する、魂を込めた作品です。観る者の心に深く問いかける、衝撃のラスト。私たちの12年間の情熱を、ぜひ劇場で体感してください。
『渇愛』
2025年5月16日(金)より池袋シネマ・ロサ、第七藝術劇場、シネマスコーレ、刈谷日劇ほか全国順次公開
監督・プロデューサー:岩松あきら
出演:石川野乃花 新藤栄作 大島葉子 加藤睦望 火田詮子 高橋慎祐 獅子見琵琶 大路絢か
配給:ラビットハウス
【ストーリー】 大学生の早紀は、はたからは家族関係も問題なく平穏な生活を送っていたが、心の奥に孤独を抱えていた。ある日、彼女はキャンパスで玲奈の存在を知り、一気に魅了される。玲奈のように痩せて美しくなり、誰からも愛されたいという思いが芽生えるが、早紀と玲奈の関係は悪化。傷ついた早紀は、そのストレスから食べ吐きを繰り返し、摂食障害に陥ってしまう。治療のため山奥の施設に入所し、入所者との共同生活を送るが、その先には予想もしない出来事が待っていた…。