監督・根岸吉太郎×脚本・田中陽造、2人の巨匠の16年ぶりのタッグに、女優・広瀬すずが共鳴し、ひとりの女とふたりの男の出口のない三角関係と壮絶な青春を描く『ゆきてかへらぬ』が、2025年2月21日より公開される。このほど、中原中也役で木戸大聖、小林秀雄役で岡田将生の出演が発表され、特報映像が披露された。
本作は、大正時代を舞台に、実在した女優の長谷川泰子、詩人の中原中也、評論家の小林秀雄という男女3人の出口のない三角関係と壮絶な青春を描いた作品。『探偵物語』や『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ~』の根岸吉太郎監督が16年ぶりにメガホンを取り、『ツィゴイネルワイゼン』や『セーラー服と機関銃』の田中陽造が脚本を手掛けた。
まだ芽の出ない女優、長谷川泰子は、のちに不世出の天才詩人と呼ばれることになる青年、中原中也と出逢う。どこか虚勢を張り合うふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。その後東京に引っ越したふたりの元を、中也の友人で、のちに日本を代表することになる文芸評論家、小林秀雄が訪ねてくる。偶然ともいえるその出逢いが、やがて3人の運命を狂わせていく。
広瀬すず演じる泰子と出逢い、やがて恋仲になる2人の男、中原中也と小林秀雄を演じるキャスト。中原中也を演じるのは、今、旬の注目株・木戸大聖。Netflix「First Love 初恋」で佐藤健の若き日の姿を演じ鮮烈な印象を残し、現在はフジテレビ系の月9ドラマ「海のはじまり」への出演や、劇場アニメ『きみの色』でトリプル主演を務めるなど、近年活躍がめざましい若手俳優だ。初々しく瑞々しい木戸の演技は、これまで映画・ドラマで描かれてきた畢生の天才詩人・中原中也のイメージを大胆に塗り替えた。そして、泰子と中也の関係性をある意味、唯一無二のものにしたとも言えるキーパーソン小林秀雄に、映画『ラストマイル』や現在放送中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」で連日話題沸騰中の名優、岡田将生が扮する。ある時は冷静に、ある時は情熱のままに、中也に惹かれ、泰子にも惹かれる小林の姿は、現代性が豊かに波打っており、片時も目が離せなくなるだろう。
特報映像は、ドビュッシーの「月の光」をBGMに、メリーゴーランドやボートで遊ぶ泰子、中也、小林の姿から始まる。その3人の姿に「私たち、神経と神経で繋がろうとしましたの」という泰子の意味深な台詞が重ねられ、中也とはあどけない笑顔を交わし、小林とは激しく求めあう、男2人の間で揺れ動く泰子の姿や、一方で兄弟のように肩を寄せ合い詩を朗読する中也と小林の姿が映し出されていく。後戻りできない青い春を必死に駆け抜けた若者たちの、複雑に揺れ動く心情と歪な関係性が垣間見える映像となっている。
■木戸大聖(中原中也役) コメント
詩人・中原中也という大役をいただき、根岸監督の演出を受けることができたのは、本当に貴重な経験で、今後の俳優人生に活かせることを沢山教わりました。監督は3人の関係性を「自己中のぶつかり合い」と仰っていましたが、すずちゃんと将生さんとの芝居の日々は、毎日が刺激的で楽しかったです。おふたりのことは、ずっと映画やドラマで観てきたので、最初は緊張しましたが、最終的には中也として2人にぶつかって行くことができたのかなと思います。ぜひ注目してください。
■岡田将生(小林秀雄役) コメント
約40年前に書かれたこの脚本に、一目惚れしました。そして今しかないという奇跡的なタイミングで、小林秀雄を演じる機会をもらうことができました。もう5年10年早かったら、演じられなかった役だと思いますし、なにより憧れの根岸監督と、ようやくお仕事することができて、心が踊りました。広瀬さんの泰子はミステリアスで魅力的で、木戸くんは本当に中原中也がそこにいるようでした。そんなふたりを見ていると、次第に小林自身の感情と重なっていきました。本当に素晴らしい作品です。どうぞ楽しみにしていてください。
『ゆきてかへらぬ』
2025年2月21日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督:根岸吉太郎
脚本:田中陽造
主演:広瀬すず 木戸大聖 岡田将生
配給:キノフィルムズ
【ストーリー】 京都。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子は、まだ学生だった中原中也と出逢った。20歳の泰子と17歳の中也。どこか虚勢を張るふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。価値観は違う。けれども、相手を尊重できる気っ風のよさが共通していた。東京。泰子と中也が引っ越した家を、小林秀雄がふいに訪れる。中也の詩人としての才能を誰よりも知る男。そして、中也も批評の達人である小林に一目置かれることを誇りに思っていた。男たちの仲睦まじい様子を目の当たりにして、泰子は複雑な気持ちになる。才気あふれるクリエイターたちにどこか置いてけぼりにされたようなさみしさ。しかし、泰子と出逢ってしまった小林もまた彼女の魅力に気づく。本物を求める批評家は新進女優にも本物を見出した。そうして、複雑でシンプルな関係がはじまる。重ならないベクトル、刹那のすれ違い。ひとりの女が、ふたりの男に愛されること。それはアーティストたちの青春でもあった。
©︎2025 映画「ゆきてかへらぬ」製作委員会