綾野剛主演『武曲 MUKOKU』監督・熊切和嘉✕原作者・藤沢周による公開記念トークが実施!

『私の男』の熊切和嘉監督最新作、『そこのみにて光輝く』の綾野剛主演の『武曲 MUKOKU』が、6月3日(土)に公開される。矢田部研吾(綾野)と村上虹郎演じる天衣無縫の高校生・羽田融との宿命の対決を軸に、研吾と父・将造(小林薫)、研吾と師・光邑(柄本明)、“父と子”“師匠と弟子”の闘いと絆を描く、激しくも熱い感動の物語。本作の公開を記念して、本日5月27日(土)、熊切監督と原作者の藤沢周氏が池袋コミュニティ・カレッジ「セブンシネマ倶楽部」で公開記念トークが実施された。

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芥川賞作家の藤沢周氏にとって、意外にも『武曲 MUKOKU』が初の映像化。映画化オファーを受けた当時のことを「熊切監督と綾野剛さんの名前を聞いて、間違いなく成功する、どのように料理されてもいい、と思った」と述懐。さらに完成した映画を観て、「すごい迫力だった。矢田部研吾はこんなに苦悩を抱えていたんだ、とか、羽田融はこんなに狂気を抱えて勝負に向かい、その勝負の先に透明な美しさを持っていたんだな、とか、原作者の僕が逆に教えられました」と語った。
一方、熊切和嘉監督は「(映画化の話を受けた時)色とりどりの言葉を使って最終的に言葉のない世界を描こうとしている小説を映像でどう表現するか、悩みました。加えて、剣道をやっていない僕が、剣道にまつわる映画を撮っていいのか、ということも悩みました。けれど、(剣道経験がないからこそ)素直に“かっこいい”と思うことを撮れたと思っています」と語る。

綾野とは『夏の終り』以来となる熊切監督は、「悲しいヒールをやってもらいたいと思っていました。肉体的にも剣道においても様々な要求がある中で、綾野君はすべてを懸けてくれる俳優」と、本作の主演俳優に絶大な信頼を寄せる。そんな綾野に、「表情のグラデーションが素晴らしく、ジョニー・デップを超えているのでは?と思ったほど」と藤沢氏は賛辞を送った。また、綾野演じる研吾と対決する融を演じた村上について、藤沢氏が「脚本も原作も読みこんで、羽田融という人物を咀嚼してくれているのがわかった」と嬉しそうに語ると、「虹郎くんから生命力を感じた。その感じが役に合っているのではないかと思った」と、監督がキャスティングの決め手を明かす一幕も。

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トークはその後、原作・映画双方の舞台である鎌倉という土地の魅力へと発展。観光地としても人気の歴史ある街だが、そんな鎌倉の魅力を、藤沢氏は「鎌倉は、禅の発祥地で、洗練された仏教文化や武士道が歴史的に沈殿している。“現代の侍”を書きたいと思った時に、そういうものを醸す土地である鎌倉以外の場所は(小説の舞台として)ありえなかった」と小説創作の裏話を交えて語ると、熊切監督も同意しながら、「切通しの、冥界と繋がってるような感じが、作品の舞台としてふさわしいと思った」と語った。鎌倉在住の藤沢氏が、そんな魅力を持つ街に住むことになったきっかけを、「円覚寺でぼーっとしているときに“ここに住め”という天の声を聞いたから。その翌日には家を決めました」と明かすと、客席からどよめきが起こった。

『武曲 MUKOKU』
2017年6月3日、全国ロードショー
監督:熊切和嘉 原作:藤沢周『武曲』(文春文庫刊)
出演:綾野剛 村上虹郎 前田敦子 風吹ジュン 小林薫 柄本明
配給:キノフィルムズ

©2017「武曲 MUKOKU」製作委員会