日常に潜むグレーゾーンに光を当ててきた森達也監督が、井浦新と田中麗奈を主演に迎えて、1923年に千葉県福田村で起こった実際の虐殺事件を劇映画化する『福田村事件』が、9月1日より公開される。このほど、予告編と本ビジュアルがお披露目となった。

題材は、1923年9月1日に発生した関東大震災の発災から5日後、千葉県福田村で起こった実際の虐殺事件。行商団9人が地震後の混乱の中で殺された。彼らはなぜ殺されたのか、村人たちはなぜ彼らを殺したのか。関東大震災時に各地で起きた「朝鮮人虐殺」、そして朝鮮人に限らず“善良な人々”が虐殺された日本の負の歴史をつまびらかにする。

本ビジュアルは、広々とした空と川の中に主演の井浦新、田中麗奈が舟に乗った一枚画。キャッチコピーには100年前の史実と今を結びつける言葉を採用した。本作は、完成させるにあたって、多くの方々がクラウドファンディングに参加し、支えてくれた作品でもある。「いま見たことを、伝えたい」というコピーは、森監督、脚本家をはじめとするスタッフ、キャストはもとより、公開劇場のスタッフ、そして、クラファンに参加してくれた方々、皆の想いを込めた言葉であり、劇場公開後ご覧になる観客も含め今を生きる人々へ向けた言葉でもある。

また、ビジュアル新装に伴い、新たに配布するチラシの中面は表面と表情を変え、今にも動き出しそうな躍動感たっぷりのワンシーンが。井浦新、田中麗奈、永山瑛太、東出昌大、コムアイ、木竜麻生、豊原功補、柄本明らをはじめ、映画を彩るキャスト陣の力強い表情を抑えた、コントラストを最大限に引き出したチラシとなっている。

本予告は、関東大震災直後の混乱と喧騒の中、行き交う情報に惑わされ不安や恐怖に煽られる人々の心情と音楽を担当した鈴木慶一の和太鼓の音色が鼓動となってリンクする、臨場感あふれるものが完成した。

『福田村事件』
2023年9月1日（金）より、テアトル新宿、ユーロスペースほか全国公開
監督：森達也
脚本：佐伯俊道　井上淳一　荒井晴彦
出演：井浦新　田中麗奈　永山瑛太　東出昌大　コムアイ　松浦祐也　向里祐香　杉田雷麟　カトウシンスケ　木竜麻生　ピエール瀧　水道橋博士　豊原功補　柄本明
配給：太秦

【ストーリー】 1923年春、澤田智一（井浦新）は教師をしていた日本統治下の京城（現ソウル）を離れ、妻の静子（田中麗奈）と共に故郷の福田村に帰ってくる。智一は、日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者であった。しかし、妻の静子にも、その事実を隠していた。その同じころ、行商団一行が関東地方を目指して香川を出発する。9月1日に関東地方を襲った大地震、多くの人々はなす術もなく、流言飛語が飛び交う中で、大混乱に陥る。そして運命の9月6日、行商団の15名は次なる行商の地に向かうために利根川の渡し場に向かう。支配人と渡し守の小さな口論に端を発した行き違いが、興奮した村民の集団心理に火をつけ、阿鼻叫喚のなかで、後に歴史に葬られる大虐殺を引き起こしてしまう。

©「福田村事件」プロジェクト2023