北野武監督の最新作にして構想に30年を費やした戦国スペクタクル『首』が2023年秋より公開される。このほど、4月15日にホテルニューオータニにて完成報告会見が行われ、北野武監督と、キャストの西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋らが出席した。

本作の舞台は戦国時代。日本人なら誰もが知る戦国武将、羽柴秀吉、明智光秀、織田信長、徳川家康らと“本能寺の変”を、北野武監督が一大スケールで描く。

構想30年の原作、脚本を務めた北野監督は「構想30年は3週間の間違い」と訂正して笑いをとりつつ、「時代劇はキレイな出世物語で、人間の業と欲とか裏切りがあんまり描かれていないので面白くない」とし、「自分が撮ればこうなるという発想で撮って、結局だいぶ苦労した」と本音を漏らした。

先日、第76回カンヌ映画祭「カンヌ・プレミア」に出品されることが決まった本作について、北野監督は「コンペティション部門で賞をとりたいと思ってた『菊次郎の夏』とかが全部落とされた。あれは監督が選ぶもんだからヤキモチで落とされたと思っている」と毒を吐きつつ、「今回はコンペの枠に当てはまらない強烈な映画ということで、別個にやりたいという話を聞いて、世界的に当たるなと。当たれば一儲け。うれしい限りです」ニンマリ。

本作で信長役を演じた加瀬が「僕に信長役をくれるのは、北野監督ぐらいしかいない」とし、「全員酷い人で残酷なシーンも出てくるんですけども、なぜか分からないんですけど、監督が描くと、最終的にはすごく品の良い映像に収まっている」と北野監督を絶賛。これに北野監督は「私と三池監督の違いです。私のほうが教養があって家柄が良いんだと思います」とバイオレンスの巨匠をイジって会場を爆笑させていた。

『首』
2023年秋公開
監督：北野武
出演：西島秀俊　加瀬亮　中村獅童　浅野忠信　大森南朋