人気作家である燃え殻の同名エッセイを阿部寛主演でドラマシリーズ化する「すべて忘れてしまうから」が、9月よりディズニープラス「スター」にて独占配信される。このほど、追加キャストとしてCharと宮藤官九郎が出演することが発表され、併せて、場面写真がお披露目となった。
ミステリー作家“M”は、5年間付き合った恋人“F”とハロウィンの夜に些細なことで喧嘩をする。何となく連絡を取らないまま3週間ほど経った時、Mは周囲から促され、突如失踪した彼女を探し始める。しかし周囲から語られるFはMの知る彼女とは全く異なるもので、次第にFの秘密があきらかになっていく…。消えた“彼女”の謎が心を惑わす、ミステリアスでビタースイートなラブストーリーがはじまる。
今回、新たに主人公Mが通う行きつけのバーであり、ハロウィンの夜に彼女が消えた場所でもある、物語のキーとなる舞台 灯台にかかわるキャラクターたちのキャスト情報が公開された。オーナー役には、1996年公開の『スワロウテイル』以来26年ぶりの演技となり、配信作品はもちろん、ドラマ作品への出演も本作が初となるChara、そして同じバーで働く元バンドマンの料理人役を宮藤官九郎が務める。Charaが主演の阿部と共演するのは今回が初、そして宮藤は、阿部とは『大帝の剣』(’07)以来2度目の共演となる。一体この3人がどんな化学反応を魅せてくれるのか、注目が集まる。
物語の重要な場所でもあるBar 灯台のオーナー・カオル役を務めるChara。オファーを受けたCharaは、出演を快諾した理由を「音楽絡みの役柄だったのと、私にやって欲しいという熱意が伝わったからです」語った。また、「新しい事をやるのは、とても楽しいからね」と、新たな挑戦への興味もあったことを明かした。今回演じるカオルと自身が似ているところを聞かれると、「Charaに寄せてくれたんでしょうか?女性でシングルマザーで息子もいるところと音楽を愛しているところかしら?カオルさんの方が謎めいてるかな」と重なるところも多かった様子。主演の阿部に関しては、「かっこよかったです。声とか低くて素敵でした」と現場で初めて会ったときの印象を明かした。
さらに、あわせて解禁となったのが、Bar 灯台の料理人・フクオ役の宮藤官九郎。宮藤は初めて本作の話を聞いたときは、「嬉しかったです。俳優として連続ドラマに出るのも久しぶりですし、阿部さんとも15年ぶりの共演だし。監督陣はじめスタッフも若く才能溢れる方々だし、何しろ衣裳がいちいちオシャレで、着て帰りたいくらいでした」と思いを語った。今回演じる料理人・フクオに関しては、「なんか、いい加減に生きているように見えて、自分の半径数メートルの世界を大事にしているんだろうなと。20代半ばまで深夜営業の居酒屋でバーテンのような事をしていたので、自分でも驚くほど自然に溶け込むことが出来ました」と、自身の昔の経験が今回演じる上で役に立ったことを明かし、久々の共演となった主演の阿部とは、「10数年前に、広島の山の中で1ヶ月くらい、終わらないんじゃないかという過酷な撮影を共にして以来でしたが、いい声でボソっと、くだらない事を仰るところは、まるで変わってなくて、懐かしかったです」と、久々の撮影に昔を思い出す場面もあり、また、「阿部さんの役はすごく情けなくて、関係性も、ちょっとだけ僕の方が優位だったのが、新鮮でした」と語った。本作の魅力については、「現場でもらう差し込みの台詞がいちいち秀逸で、そのディティールに、監督が何を大切にされているかが滲み出ているような気がして、そういう細部にこそ、このドラマの本質があるんじゃないかなと思いました」と、脚本家でもある宮藤ならではの視点で語った。
製作陣からは2人の起用について、「Charaさんは、映画『スワロウテイル』での圧倒的な存在感は多くの邦画ファンの脳裏に鮮烈な記憶として刻まれています。その元来のカリスマ性が、本作の持つ誰の記憶にも繋がるような日常ドラマを、特別な味わいに仕立ててくれるものと確信して、監督たちの満場一致を受けてご出演を依頼しました」とオファーの経緯を語った。また、宮藤に関しては、「人間・宮藤官九郎には格別な色気が漂っています。それは人生において様々な事象を深く見つめ、触れてきたからこそ醸し出されるものだと思いますし、そんな宮藤さんだからこそ、掴み所のないフクオという役柄に実在感を持たせることができると思いました」とオファー理由を明かしてくれた。
Chara演じるカオルと宮藤官九郎演じるフクオの場面写真には、カオルが満面の笑みでワイングラスを傾けながら談笑する姿と、フクオがリラックスした表情でドラムを演奏しようとしている姿が。どちらも劇中のキャラクター性はもちろん、二人の個性が伝わってくる。
最後にCharaは「独特のドラマスタイル。原作から、気になっている人も、役者さんから気になる人も楽しめるといいな」と語り、宮藤は「無理に感情を誘導せず、強引に盛り上げたり、泣かせようとしたりせず、それでも、大人の子供っぽさとか、若者の達観とか、生きにくい社会とか、現代を切り取っている、珍しいドラマだと思います。その中で、珍しくオシャレな服を着て、珍しく良いこと言ったり言わなかったりしている僕を観てください」とコメントした。
『すべて忘れてしまうから』
2022年9月より、ディズニープラス「スター」にて独占配信予定
原作:燃え殻『すべて忘れてしまうから』(扶桑社刊)
監督・脚本:岨手由貴子 沖田修一 大江崇允
主演:阿部寛
【ストーリー】 3週間前、ハロウィンの夜に彼女が消えた。一度書いたミステリー小説が少しばかりヒットし、それ以来ミステリー作家として生計を立てているMには、5年間付き合っている恋人・Fがいた。しかし、ハロウィンの夜に行きつけのBAR“灯台”で一緒に過ごしていたら、Fは突然怒って帰ってしまった。仕事が忙しくなり、その後連絡ができず3週間が過ぎてしまった。ようやくFについて、聞き込みを始めたMだったが、人々の口から語られるFは全く知らないものだった…。
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