ブータンで最も僻地にあるルナナ村を舞台に、都会から来た若い先生と、村の人たちと子どもたちの心の交流を描いた感動作『ブータン 山の教室』が、4月3日より公開される。このほど、本作の予告編、ポスタービジュアル、場面写真がお披露目となった。
2005年に行われた国勢調査で国民の97%が「幸せ」と答えたことなどから“幸せな国”と呼ばれるようになったブータン。その北部にある標高4800メートルの村ルナナは、ヒマラヤ山脈の氷河沿いにあり、実際8日間のトレッキングでしかたどり着けない集落だ。その地で、大自然とともにある日常に幸せを見つけ生きる大人たち、そして親の仕事の手伝いをしながらも、“学ぶこと”に純粋な好奇心を向ける子どもたち。本作が初メガホンのブータン出身の新鋭パオ・チョニン・ドルジ監督は、現代を生きる私たちが忘れかけてしまった、シンプルながらも尊い暮らしを圧倒的な映像美で描き出し、本当の幸せとは何かを問いかける。
予告編は、若手教師のウゲンがブータンで一番僻地にある学校への赴任を告げられる場面から始まる。密かに教師を辞めオーストラリアに行くことを夢見る彼は「無理だと思います」と即答するが、結局険しい山道を登り一週間以上かけてルナナ村へ。そこには電気も水道もなく、学校は埃まみれ。戸惑いを隠せないウゲンを迎えにきた生徒のペム・ザムに急かされ向かった教室には先生の到着を待ちわびていた子どもたちが。自己紹介を兼ねて「大きくなったら何になりたい?」と尋ねると、ある生徒が真っすぐに先生を見つめながら「将来は先生になりたいです。先生は未来に触れることができるからです」と言う。伝統歌「ヤクに捧げる歌」の歌声が響き渡る山の教室で楽しそうに学ぶ子どもたち。その姿が次第にウゲンの心を動かし始める…。
パオ・チョニン・ドルジ監督は、本作への思いを「“国民総幸福の国”と言われるブータンは、世界で最も幸せな国であると言われています。しかし、そこでいう“幸せ”とはいったい何を指しているのでしょうか。ブータン人はみな、本当に幸せと言えるのでしょうか。皮肉なことに、多くのブータン人がそれぞれの幸せを求め、華やかで近代的な都市に移住するようになっています。この作品で、私は主人公ウゲンの“幸せを探す旅”を描きたいと考えました。彼は、自分の夢を叶える旅に出る前に、自分では考えもしなかったような旅を強いられることになります。彼は、“現代社会”という言葉からはほど遠い世界に渋々身を置くことになるのです。この旅を通して、彼は自分自身が必死に探しているものが何かを理解し、幸福とは終点ではなく、旅の途中にあるということを悟るのです」と語る。
『ブータン 山の教室』
4月3日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開
監督・脚本:パオ・チョニン・ドルジ
出演:シェラップ・ドルジ ウゲン・ノルブ・へンドゥップ ケルドン・ハモ・グルン ペム・ザム
配給:ドマ
【ストーリー】 若手教師のウゲンは、ある日教官に呼び出されブータンの秘境、ルナナにある学校に行くよう告げられる。「オーストラリアに行き、ミュージシャンになりたい」という夢を抱きながらも、渋々ルナナ村に行くことに。1週間以上かけ辿りついたその地には、「勉強したい」と真っすぐな瞳で彼の到着を待つ子どもたちがいた。ある子どもは「先生は未来に触れることができるから、将来は先生になることが夢」と口にする。慣れない土地での生活に不安を拭えなかったウゲンだったが、村の人々と過ごすうちに自分の居場所を見つけていく。
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