中田秀夫監督が、28年ぶりに復活するロマンポルノに挑んだ最新作『ホワイトリリー』が、2月11日(土)に新宿武蔵野館にて公開。同日に初日舞台挨拶が行われ、出演キャストの飛鳥凛、山口香緖里、町井祥真、中田秀夫監督が新宿武蔵野館に登壇した。
本作は、今年2016年で製作開始から45周年を迎える、ロマンポルノ・リブート・プロジェクトの一環で製作された作品で、中田秀夫監督のほか、塩田明彦監督、白石和彌監督、園子温監督、行定勲監督ら第一線で活躍する監督陣が、完全オリジナルの新作を28年ぶりに撮りおろすことでも注目されている。『リング』シリーズ、『クロユリ団地』など数々のヒット作を打ち出しジャパニーズホラーブームの火付け役となった中田監督は、今回新作を担当した監督陣の中で唯一日活で助監督としてロマンポルノの現場を体験している。
今回、28年越しの願いが叶った中田監督は「昔は武蔵野館のそばに新宿にっかつという劇場があって、昔そこでスーツを着て研修をした記憶があります。僕の世代はロマンポルノに間に合わなかった世代。小沼勝監督や、亡くなった神代辰巳監督、田中登監督など僕たちが憧れた先人たち、そして僕と同じく間に合わなかった同世代の思いを背負ってここに立っていると思うと感慨もひとしおです」と感無量の様子。
本作で主演をつとめた飛鳥は「一年半と少し、この日を待っておりました。私自身この作品に出演することができて本当に良かったと思っています。初日に来て頂いてうれしいです」とコメント。100人以上のなかからオーディションで選ばれた飛鳥は「オーディション中はずっと不安でした。毎日、オーディションに落ちた方の名前が発表されていき、次は自分かも……と戦々恐々とする毎日だったので、出演が決まった時は『中田監督の作品に出演できる!』ととてもうれしかったです。リハーサルではしっかりお芝居ができるか不安になり、泣いたこともあったのですが現場では他キャストの方が支えてくれたので安心して臨むことができました」と当時の心境を語った。
山口は、ここまで肌を露出してラブシーンの絡みを演じるのは初めて。「18歳で仕事を始めて、当時のロマンポルノを知っている大先輩のスタッフさんや俳優さんが、『女優は脱ぐもの』とよくお話しされていました。ロマンポルノの偉大さや、出演された女優さんのお話しを聞いて『私もいつかは脱ぐんだ』と覚悟はしていました。まさかこの歳でオファーをいただけるとは思っていなかったのですが、チャレンジする機会を与えてもらえて大変光栄です」とコメントした。
撮影期間中のエピソードに関して、山口は「撮影期間が短くて大変でした。朝から晩まで連日撮影が続いたので体力的にはとてもきつかったです。スタッフも皆さん疲れているはずなので殺伐とした現場になるのかなと思っていたのですが、中田監督の作る現場の雰囲気がすごく温かくて素晴らしかったです」と語った。
本作唯一の男性キャラクターとして登場する町井は「僕の初めての濡れ場のシーンは神社での山口さんとのシーンでした。僕は今思い出すと恥ずかしいぐらい逃げ腰で、そんな僕に中田監督が『そこにはオスとメスしかいないんだ!ガルルルルルルルル!』と気合をいれてくれたのがすごく印象に残っています」とエピソードを披露。同じく神社のシーンについて監督が「ロマンポルノの撮影を許可してくれる神社が見つかったと制作スタッフから報告を受けて、念のため神社の方に説明をしに行ったんです。ロマンポルノの撮影ですが問題ないですか?と。そしたらその神社の方が『神様はそんな小さくありません』とおっしゃってくれて感動しました」と秘話を披露し場内に笑いが起こった。
最後に飛鳥から「皆さんに支えられてこの場に立つことができました。これからこの作品はもっとたくさんの人に支えられて皆さんのもとに届けられます。これからも『ホワイトリリー』をよろしくお願いします。」とメッセージが贈られ、中田監督からは「かれこれ32年前に入社をして、今日ここに立つことができてうれしいです。先ほどアンケートをしたら新作5本コンプリートした方がたくさんいらっしゃいました。日活OBとしては5本で1本のチームだと思っています。3月からは楽天地シネマズ錦糸町での公開も決定しておりますので見逃した作品がある方はぜひご覧ください。また日活にはロマンポルノリブートプロジェクト第二弾、第三弾と続けてほしいなと思っています」とのメッセージで舞台挨拶が締めくくられた。
『ホワイトリリー』
新宿武蔵野館ほか全国順次公開中
監督:中田秀夫 出演:飛鳥凛 山口香緖里 町井祥真 西川カナコ 三上市朗 鎌倉太郎
© 2016日活