ロナン・ジル監督「一番怖い」“幽霊がストローで血を吸うシーン”について言及!『海の底からモナムール』予告編&新場面写真

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭ゆうばりチョイス部門、大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門で上映された日本とフランスの合作映画で、桐山漣と清水くるみがダブル主演を務める『海の底からモナムール』が、12月4日より公開される。このほど、本作の予告編と新場面写真がお披露目となり、併せて、監督のロナン・ジル、撮影監督のドミニク・コラン、キャストの杉野希妃よりコメントが寄せられた。

本作はセーラー服の幽霊の純愛を描くホラー。10年前、イジメに遭い、崖から飛び降りたミユキは、タクマに「ただ愛されたい」という一心で、17歳のままの姿で、海底にいる。10年後、高校卒業後初めて島を訪れたタクマたちに待っていたのは…。

▼スタッフ&キャスト コメント

■ロナン・ジル(監督)
タイトルを『海の底からモナムール』としたのは、本作の主な要素である「深い海」と「愛」の両方に言及したタイトルにしたかったからです。『モナムール』とカタカナにしたのは、私のフランス文化にも言及したかったからです。瀬戸内海の海岸を訪れた時に、広島で撮影することにしました。瀬戸内海の海岸は夜、すごく特別な雰囲気があります。地元の方達が、それは、原爆の日に被爆し水に飛び込んだ方々の幽霊の存在だと言っていました。フランスでは幽霊の存在を感じることはありません。日本独特の存在なんです!幽霊のミユキが血を吸うシーンは、「当たり障りのない日常的なアイテムが急に危険なものに変わるのが一番怖い」というアイデアから来ました。なので、本作で幽霊が使う危険な武器として、ストローを選びました。ストローを使って、幽霊は血以外に何を飲むでしょう?ストローと同じように、本作の主人公の一人であるミユキは、物語が始まる高校時代は、当たり障りのない人物で、弱者です。彼女がモンスターになるのは、復讐が必要なほど酷い扱われ方をしたからなのです。

■ドミニク・コラン(撮影監督)
私はそれまで日本に行ったことがなかったので、撮影で一番こだわったのは、日本のバイブを全く新しいフィーリングとして捉えるということです。日本に行くことは私にとって夢でした。そして、第一印象というものが大抵ベストで偽りのないものだと思います。日本のチームとは共通言語がなくてもうまくいき、お互いを良く理解できました。というのも、私たちは「映画」という同じ家族の一員だからです。日本の俳優たちはプライベートでは感情をあらわにしないですが、演技をするとすごく情熱的で、大変感心しました。

■杉野希妃(トモヨ役)
ロケ地となった宇品の海辺に、「広島にこんなところがあったんだ!」と広島出身の私も驚きました。まるで秘密基地のようで。船が行ったり来たり、普段はおだやかな瀬戸内海なのに、夜は少し不穏な空気を纏い、テントが波に飲み込まれそうになりながらも月明かりがとても綺麗で、ミステリアスでロマンティックな場所でもありました。フランス映画らしい海辺のバカンス、叶わない恋慕、ロナン監督のいじめ問題に対するまなざしが交差して、フランス人監督ならではの恋愛ホラー映画になったのではないかと思います。本作が過去の悲劇によって傷を負った男女の魂の邂逅と言えるのならば、アラン・レネ監督の『ヒロシマ・モナムール』と重なるのも偶然ではないような…。劇中で重要な小道具となっているスプーンストローは「フランスにはないものだし、これはポップでかわいいから使いたかったんだ!これから物語が膨らんだよ」とニコニコ力説していた監督の姿が目に焼き付いています。楽しそうにワカメまみれにさせられたり…遊び心が満載で、チャーミングなロナン監督の言動に笑いの絶えない現場でした。斬新なローリングラブシーンは必見です!

『海の底からモナムール』
12月4日(金)より、アップリンク吉祥寺ほかロードショー
監督・エグゼクティブプロデューサー・脚本:ロナン・ジル
音楽:RONAN GIRRE & ASWEFALL
出演:桐山漣 清水くるみ 三津谷葉子 前野朋哉 杉野希妃
配給:アルミード

【ストーリー】 10年前、イジメに遭い、島の崖から飛び降りた女子高生・ミユキ(清水くるみ)は、「ただ愛されたい」という想いを抱き、17歳のままずっとこの瀬戸内海の浜にいる。当時、ミユキが想いを寄せていたタクマ(桐山漣)は、同じく島出身のマツ(前野朋哉)に連れられ、それぞれの彼女・カオリ(三津谷葉子)とトモヨ(杉野希妃)と一緒に、卒業後初めて島に戻ることに。その島では去年、かつて近所に住んでいた同級生のリカが溺れて死んでいた。「あの浜に行くな」と言う忠告を聞かず、浜でキャンプをする4人。夜、浜でミユキを見て、テントに駆け込むタクマ。海で泳いでいたカオリは、誰かに足を引っ張られ、危うく溺れそうに。果たして4人は、無事に帰京できるのか。

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