全米では2016年11月に公開され、興行収入ランキングで初登場から3週連続1位を獲得、第89回アカデミー賞では長編アニメーション賞と歌曲賞にノミネートされた『モアナと伝説の海』の公開を記念して、監督のジョン・マスカーとロン・クレメンツが来日。日本語吹替版キャストの屋比久知奈と夏木マリと共に来日イベントに登壇した。
(左から)ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ、屋比久知奈、夏木マリ
セットの波にハイタッチしながら登場。
製作総指揮のジョン・ラセターもお気に入りだという、キャラクターが描かれたシャツを披露するお茶目な2人。
『リトル・マーメイド』や『アラジン』などを手掛けディズニー黄金期を支えた2人のコンビ監督は、『プリンセスと魔法のキス』以来7年ぶりの来日。本作をつくるに当たって5年間を費やしたという2人は、主題歌の「どこまでも ~How Far I’ll Go~」などの音楽制作について「(今回の舞台と同じような)タヒチやフィジーなど島々を訪れて、音楽文化などをリサーチしました。今回は舞台『ハミルトン』(建国の父の1人、アレクサンダー・ハミルトンの生涯を描き、2016年のトニー賞で13部門16ノミネート、11冠に輝いた話題の舞台劇)のリン・マニュエル・ミランダにも携わってもらっています。主題歌はモアナのアンセム(応援歌)になっています」
3週間かけてポリネシア地方でリサーチを重ねたときにエピソードについて「考古学者ら専門家だけではなく、地元住民とも交流しました。彼らの海が本当に生きているように接する姿を見て、本作では海も意思のあるようなキャラクターにしました」と明かした。
ここで日本語吹替版キャストの屋比久知奈と夏木マリが登場。ディズニーヒロインとしては史上最大級のオーディションでモアナ役に選ばれた屋比久は、「最初は信じられなかったけど、幸せが込み上げてきて家族と泣いて抱き合って喜びました」と今回の大役を得たときの気持ちを振り返った。一方、モアナを支える“タラおばあちゃん”役の夏木は、ディズニー作品の日本吹替は初挑戦であることに触れ「幼少期にディズニー作品の『101匹わんちゃん』を見た思い出があります。人間は年を取ると赤ちゃんの頃に戻っていくと言いますが、戻りつつある今、こうしてディズニー作品に関わることができて光栄です」と語った。
宮崎駿監督作の大ファンだという監督2人は、『千と千尋の神隠し』で湯婆婆の声を担当した夏木に参加してもらえて光栄と喜ぶ。
また、本作が、スタジオジブリ作品からも影響を受けていると以前語ったことについて聞かれると監督は「『ルパン三世 カリオストロの城』『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『もののけ姫』などたくさんの作品に影響を受けています。どれも自然と人間が密接に描かれていて、強い女性のキャラクターも魅力的です。そういう部分で『モアナと伝説の海』は特に宮崎作品に影響を受けていると思います」と明かした。
ここで屋比久から監督2人に主題歌「どこまでも ~How Far I’ll Go~」の歌のプレンゼントが。この歌を初めて人前で披露するという屋比久に夏木は劇中のタラおばあちゃんさながら「モアナ、心の声に従いなさい」と声援を送り、屋比久は「おばあちゃん、ありがとうございます!」と透き通るような歌声を披露した。
すっかり“タラおばあちゃん”の気持ちになった夏木は屋比久が歌う歌を聞いて思わず涙をこぼし、監督2人ももらい泣き。
歌を終えて監督は「日本語は分からないけれど、感情、情熱、モアナの思いが伝わってきました。夏木の涙を見て私もホロっときてしまった」
まだ目に涙を浮かべる夏木は「難しい歌でレコーディングで苦労したことを思い出しました。こんなにマスコミがいる中で緊張しないで堂々と歌って完璧に歌ってくれて嬉しい。本当に“スター誕生”の瞬間だと思う」。
大役を終えた屋比久も「緊張したけど精一杯気持ちを乗せて歌いました。何か伝わってくれると嬉しいです」と夏木と抱き合った。
最後に監督は「本作は海が重要な要素。海は分け隔てる存在ではなくつなぐものだと思います。この映画も海のように私たちをつないでくれると思う。モアナがこの冒険を経て何を発見するのかを見てほしいし、自然を尊重することの大切さにも気づいてほしいと思います」と締めくくった。
『モアナと伝説の海』
2017年3月10日(金)
監督:ジョン・マスカー ロン・クレメンツ 声の出演:アウリィ・カルバーリョ ドウェイン・ジョンソン
声の出演(日本語吹替版):屋比久知奈 尾上松也 夏木マリ ROLLY