『沈黙-サイレンス-』第89回アカデミー賞《撮影賞》にノミネート!

1月21日より全国公開中のマーティン・スコセッシ監督作『沈黙-サイレンス-』。その撮影を任されたのは、メキシコ出身の撮影監督ロドリゴ・プリエト。『ブロークバック・マウンテン』(’05)でアカデミー賞撮影賞ノミネートされ、『ラスト、コーション』(’07)ではヴェネツィア国際映画祭オゼッラ(撮影)賞を受賞。今回『沈黙-サイレンス-』で2度目のアカデミー賞ノミネートを果たすことになった。

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プリエトはインタビューで「ニューヨーク出身のマーティンと、メキシコ・シティ出身の私が、17世紀の日本に潜入したポルトガル人宣教師の映画を撮ったのは、実に興味深い。全く経験したことのないチャレンジングな仕事だったが、日本の素晴らしい俳優やスタッフの協力により、満足のいく映像に仕上がったと思う」と述べた。

↓マーティン・スコセッシ監督(中央)とロドリゴ・プリエト撮影監督(右)
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また、「夜に航行する船のシーンでは、溝口健二の『雨月物語』を参考にし、謎めいた感じを強調するため霧の発生装置を使って撮影した。また、高低差のあるロケ地は困難な状況を突きつけた。危険で油断のならない泥地や岩だらけの急こう配、石や岩が散在する細道など、歩くのが困難なだけでなく撮影装置の移動にはさらに骨が折れた。目まぐるしく変わる天候。1分間に雨から もや、霧へと変わり、その次には目を射るような日差しが追い打ちをかけた。だが、我々が直面した困難はどれもスクリーンに映し出されていると思う。当時の神父たちが経験した苦しみは、今となっては理解できる。同じ環境を体験したからね」とも語った。

戦後日本文学の金字塔を再現するための並々ならぬ努力も、完成した映像、そして今回のノミネーションにつながったとも言える。マーティン・スコセッシ監督も「ロドリゴ・プリエトと良い関係が築けて、私はとても運が良かった。彼は素晴らしく偉大なアーティストだ」とその実力を評価。すでに鑑賞した日本の観客からは「ハリウッド映画であることを忘れるほどの日本クオリティ。いや、日本映画以上にしっかりと日本を描写している。そのおかげで違和感なく物語に集中できた」との声がSNSを中心に拡散された。

主演の『アメイジング・スパイダーマン』のアンドリュー・ガーフィールドを筆頭に、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』のアダム・ドライバー、『シンドラーのリスト』のリーアム・ニーソン、日本からはオーディションで役柄を手にした窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシら各世代の実力派が名を連ね、プリエトのカメラには彼らの迫真の演技がはっきりと映し出されている。

人間の普遍的なテーマに深く切り込んだ、マーティン・スコセッシの最高傑作。『沈黙-サイレンス-』は全国公開中。

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