第69回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した、フランスで実際に起きた神父による児童への性的虐待事件「プレナ神父事件」をフランソワ・オゾン監督が映画化した『By the Grace of God』(英題)が、邦題『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』として7月に公開されることが決定した。
本作は、何十年経ってもなお、虐待のトラウマに苦しむ男たちが告発するまでの“葛藤”と、社会や家族との軋轢など告発したことによる“代償”、それでも告発によって確かに生まれた“希望”を紡ぐヒューマンドラマ。人生を破壊する性的虐待という暴力の恐ろしさと、そこから再生していく人間の力強さ、そしてそれを支える家族の愛が描かれ、まさに人間という存在の光と闇が映し出される。
フランスでは今現在も裁判が進行中の「プレナ神父事件」。一人の勇気ある告発者から端を発した児童への性的虐待事件は、結果的に80人以上もの被害者が名乗りをあげ、プレナ神父が教区を変えながら長年にわたって信者家庭の少年たちに性的暴力を働いていたという驚くべき事実が白日の下にさらされた。フランスのみならずヨーロッパを震撼させたこの衝撃の事件の映画化に、今やフランス映画界のトップにして最先端に立つフランソワ・オゾン監督が挑んだ。
『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』
7月 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:メルヴィル・プポー ドゥニ・メノーシェ スワン・アルロー ジョジアーヌ・バラスコ エレーヌ・ヴァンサン
配給:キノフィルムズ 東京テアトル
【ストーリー】 妻と子供たちと共にリヨンに住むアレクサンドル(メルヴィル・プポー)は、幼少期に自分を性的虐待したプレナ神父が、いまだ子供たちに聖書を教えていることを知り、家族を守るため過去の出来事の告発を決意する。最初は関りを拒んでいたフランソワ(ドゥニ・メノーシェ)、長年一人で傷を抱えてきたエマニュエル(スワン・アルロー)ら、同じく被害にあった男たちの輪が徐々に広がっていく。しかし、教会側はプレナの罪を認めつつも、責任は巧みにかわそうとする。アレクサンドルたちは信仰と告発の狭間で葛藤しながら、沈黙を破った代償…社会や家族との軋轢とも戦わなければならなかった。果たして、彼らが人生をかけた告発のゆくえは?
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