宮沢氷魚が映画初主演を務め、共演に藤原季節を迎えた、『愛がなんだ』の今泉力哉監督最新作『his』が、2020年1月24日より公開される。このほど、11月14日に東京・ブロードメディア試写室にて最速試写イベントが行われ、キャストの宮沢氷魚と藤原季節が登壇した。
試写上映終了後、劇中の瑞々しい雰囲気をそのまま纏ったような宮沢と藤原の登場に、会場からは大きな拍手が起きた。宮沢は「撮影期間中は、自分の芝居を見るタイミングがなかったので、(関係者試写で)一人の観客として観られて、不思議な感覚でした」、藤原は「撮影中はこの船はどこへ向かって進んでいくのだろうという気持ち。いざ試写が終わった時は、思わず(氷魚と)握手したよね!」とコメントした。
お互いの印象について、「会う度に好きになっちゃう!氷魚くんの話は何時間でもできる!どんどん出てくるから」と嬉しげに話す藤原に対して、宮沢は「僕も何か出さないといけないって思っちゃう(笑)。本当に季節は今まで会った中でもトップ3に入るぐらいの熱い人。現場に持ってくる台本がぼろぼろになっているんですよ」と照れながらも回答。「現場では良い意味で何も考えてないんですよ。それがそのまま映画に出ている。氷魚くんの隣だとそれが許されるような。安心感があるんですよ。居心地がいい」と藤原は熱く語り、宮沢は「ありがとう(笑)」とはにかんだ。
さらに二人はクランクイン前を振り返った。「タイプでいうと僕らは全然違うと思う。最初は名前と写真だけ見て、この人で大丈夫かなと正直思ってました。でも初めて会った瞬間に大丈夫だと思った。どこか合う部分があると感じました」と述べた宮沢。同じく藤原も「それは同じだった。初めて会って握手した瞬間に大丈夫だって思ったんですよ。手があったかくて…」と言葉では言い表せない、二人の間に生まれた不思議な強い絆について語った。
宮沢と藤原は、撮影時、ロケ地・岐阜県で同棲生活をしていたという。そのことについて、宮沢は「最初は嫌だったよね。撮影後くらいは自分の時間が欲しいなと思っていたけど、全然そんなことなくなった」と振り返り、藤原も「氷魚くんの“季節くんお風呂沸かしたよー”みたいなのが今もうないから寂しくなっちゃって…」と寂しげに語った。宮沢はさらに同棲生活を振り返り、「きのこ鍋作ったんです!」とコメント。藤原は嬉しそうに「そのきのこ鍋、たけのことかが入っていて渋いなーと思ったけど、ほんとに美味しくて…」と思い出を噛み締めていた。宮沢も「季節くんが作ってくれたものも美味しかった」と述べ、二人で仲良く鍋を作りあっていたエピソードを明かした。寸銅の鍋にいっぱいに作りすぎてしまった二人は、スタッフの部屋を回りおすそわけをしていたとのこと。
続いて、本作を映画館で見る時に注目して欲しいポイントについて、藤原が「僕が演じた渚が最低だって意見が多くなると思う。でもそれって渚自身が一番感じていること。渚がとった行動の理由をよく考えてみると、色々なことがわかる」と語ると、宮沢は「深いねー」と嬉しそうにリアクションをした。対して宮沢は、「これを観た人は迅と渚の物語だと思うだろうけど、僕たちが繋がっていない人たちの物語でもある。視点を変えて2回目、3回目と観てほしい」と熱い想いを述べた。そして最後に、二人は「ぜひもう一度劇場にお越しください」と観客へメッセージを送り、イベントは大盛況のまま終了した。
『his』
2020年1月24日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督:今泉力哉
企画・脚本:アサダアツシ
音楽:渡邊崇
出演:宮沢氷魚 藤原季節 松本若菜 松本穂香 外村紗玖良 中村久美 鈴木慶一 根岸季衣 堀部圭亮 戸田恵子
配給:ファントム・フィルム
【ストーリー】 井川迅(宮沢氷魚)は周囲にゲイだと知られることを恐れ、ひっそりと一人で田舎暮らしを送っていた。そこに、6歳の娘・空を連れて、元恋人の日比野渚(藤原季節)が突然現れる。「しばらくの間、居候させて欲しい」と言う渚に戸惑いを隠せない迅だったが、いつしか空も懐き、周囲の人々も3人を受け入れていく。そんな中、渚は妻・玲奈(松本若菜)との間で離婚と親権の協議をしていることを迅に打ち明ける。ある日、玲奈が空を東京に連れて戻してしまう。落ち込む渚に対して、迅は「渚と空ちゃんと3人で一緒に生きていたい」と気持ちを伝える。しかし、離婚調停が進んでいく中で、迅たちは、玲奈の弁護士や裁判から心ない言葉を浴びせられ、自分たちを取り巻く環境に改めて向き合うことになっていく…。
©2020 映画「his」製作委員会