『ゲルマニウムの夜』、『さよなら渓谷』など国内外で高く評価されてきた大森立嗣監督が、およそ15年温めてきた自身の脚本によるオリジナル最新作で、YOSHIが主演、菅田将暉、仲野太賀が共演を務める映画『タロウのバカ』が、9月6日より公開される。このほど、8月26日にテアトル新宿にて完成披露上映会が行われ、キャストのYOSHI、菅田将暉、仲野太賀、大森立嗣監督が登壇した。
本作のポスタービジュアルと同様、動物の覆面を被って登場したキャストと監督。演技は未経験ながら主人公・タロウ役に抜擢されたYOSHIは「緊張してる!やばい!」と言いながらも大はしゃぎで客席へ挨拶した。主演に抜擢された経緯について、YOSHIは「モデルをやっていて、突然メディアからお母さんに台本がいき、俺に来た」と説明し、菅田と対面して「最高だったよ!」とコメント。大森監督から、YOSHIはネットで“14歳”“有名人”で検索して発見したと明かされると、会場は爆笑に包まれた。
YOSHIに初めて会った印象について、菅田と仲野は「絶句」と口を揃え、菅田は「この一年ですごい大人になってる」と明かしつつ「新人類!」とその強烈な個性について語った。仲野は「年も離れていますし、礼節ってそれなりにあると思うんですけど、いろんなことを飛び越えてくるのがYOSHI。『あ、よろしく!YOSHI!』『太賀でしょ?知ってるよ』みたいな(笑)」と初対面のエピソードも披露した。
自由なYOSHIとの付き合い方は、仲野と二人で話し合ったという菅田。「この才能を生かすも殺すも俺ら次第だから、結構会議した」ようで、まずは大森監督の作品を菅田の家で鑑賞することから始めたという。また、YOSHIの面倒は、現場は仲野、プライベートは菅田が担当するという役割分担をして撮影に臨んだことも明かした。
YOSHIとの共演について、菅田は「YOSHIがアドリブで突っかかってきてくれて、いいぞ!と思った」そうだが、「その時イラッとしたのかわからないけど(笑)、(芝居で)ブチ切れしたんです。その瞬間にYOSHIの目が変わって、“ちゃんと集中しなきゃだめだ”という顔になった」とYOSHIの俳優としての変化を実感したとのこと。仲野は、本作に参加し「大森監督は、YOSHIの大人と子供の狭間というか、その境界の曖昧なところを絶妙に撮れたんじゃないかなと思います。そこに立ち会えたのが嬉しかった」と撮影を振り返っていた。
また、菅田から「演じているという意識でやっていたの?」と聞かれたYOSHIは「半々ぐらい。自分でもあり、タロウの根っこの部分というか勢いは一緒で、そういうのがリンクしたからこそタロウになれたのかな」と撮影を振り返る。怒りを表現するシーンが多かった点で、YOSHIは「マンネリ化してきている世の中で、昔をフラッシュバックさせて、怒りについて何かを思い出してくれたら」とコメントし、「ある程度レトロな心を持っていたほうが楽しいのよ!今の若者は欲がない!」と言い放つと、菅田も「それは俺も思うよ」とその考えに共感していた。
『タロウのバカ』
9月6日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
監督・脚本・編集:大森立嗣
音楽:大友良英
出演:YOSHI 菅田将暉 仲野太賀 奥野瑛太 植田紗々 豊田エリー 國村隼
配給:東京テアトル
【ストーリー】 主人公の少年タロウ(YOSHI)には名前がない。戸籍すらなく、一度も学校に通ったことがない。そんな“何者でもない”タロウには、エージ(菅田将暉)、スギオ(仲野太賀)という高校生の仲間がいる。エージ、スギオはそれぞれやるせない悩みを抱えているが、なぜかタロウとつるんでいるときは心を解き放たれる。大きな川が流れ、頭上を高速道路が走り、空虚なほどだだっ広い町を、3人はあてどなく走り回り、その奔放な日々に自由を感じている。しかし、偶然にも一丁の拳銃を手に入れたことをきっかけに、彼らはそれまで目を背けていた過酷な現実に向き合うこととなる…。
(c)2019 映画「タロウのバカ」製作委員会