1960年代のアメリカを舞台に、人種差別が残る南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストと、粗野で無教養のイタリア系用心棒兼運転手の旅を描き、第91回アカデミー賞で作品賞ほか3部門に輝いた『グリーンブック』が3月1日より公開中。このほど、日本語吹替版公開記念舞台挨拶がTOHOシネマズ 日比谷にて行われ、トニー・リップ役の大塚芳忠、Dr.シャーリー役の諏訪部順一が登壇した。
舞台は差別が色濃く残る1962年のアメリカ。黒人用旅行ガイドブック<グリーンブック>を頼りにツアーへ旅立った、ガサツで無教養だけれど人間的魅力に溢れるトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)とインテリな黒人天才ピアニスト、Dr.シャーリー(マハーシャラ・アリ)の心の交流を描く。日本では3月1日から全国公開され、動員153万人、興行収入19億4000万円を突破。20億円達成が目前に迫っている。
トニー役の大塚は「今日は会場には車で来たのですが、カーナビが進入禁止のところばかりを案内して…。会場に到着できないのではないかと、劇中のトニーと同じような気持ちになりました」とストーリーに絡めて笑わせ、シャーリー役の諏訪部も「字幕版が公開されているタイミングでのオファーだったので『劇場公開してるのにマジで!?』とビックリしました」と饒舌に盛り上げた。
大塚とヴィゴ・モーテンセンの吹替版の組み合わせといえば、大ヒット映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのアラゴルン役が有名だが「それ以来、一向にヴィゴ役のオーダーがなくモヤモヤしていたので嬉しかった」と再会に感激し「ヴィゴが演じたトニーは乱暴者で教養のない男ですが、僕はそういう人が好き。アラゴルンもいいけれど、どちらかというとトニーが自分には合う。汚い言葉をまくし立てるのが実は大好きなんです」と意外な告白。諏訪部は、お店で売っている石をくすねたトニーを叱るシャーリーに絡めて「今回は指輪ではなくて『石を捨てろ!』ですからねぇ」とアラゴルンいじりで爆笑をとっていた。
諏訪部は声を担当したシャーリー役について「インテリジェンスがあり上品」と性格を分析し「トニーとの掛け合いの中で感情の雪解けがあり、信頼関係が深まる中で人間味が出てくる。気がついたらシャーリーがいい感じになって、その部分を自分の中で表現することを心掛けた」と役作りを紹介。吹替の収録は大塚と2人同時に行われ、諏訪部は「芳忠さんとはガチで掛け合ったお芝居は今回が初めて。業界の大先輩ですから、胸を借りるつもりでやって楽しかったです」と感謝を込めると、大塚も「膝をつき合わせてやりましたね。掛け合いでやるのが一番の楽しみでした」と振り返った。
お気に入りのシーンの話になると、大塚は「車中でケンタッキーフライドチキンを食べるシーン」といい「クチャクチャと食べてね~。それに声を合わせるのが大変だった」と声優ならではの苦労を紹介。諏訪部は、シャーリーが農場で働く黒人たちを見つめるセリフのないシーンを挙げて「それぞれの人生を考えさせられるシーン。セリフはないけれど、収録時もしっかりと見ていました」と思い入れを話した。
平成も終わり、新たな時代・令和を迎えることから「新たな時代への抱負」を聞かれた大塚は「昭和からこの仕事をし、平成生まれの方とも一緒に仕事をするようになった。これから先、令和生まれが仕事現場に現れるようになると思う。その際は昭和・平成・令和の3世代の揃ったスタジオで令和生まれの声を聞いてみたいね」と生涯現役宣言。一方の諏訪部は「健康第一!」と宣言しながら「映画好きとして、映画の日本語吹替は声の仕事として一番親しみのある仕事。ただ他のジャンルと比べて仕事として少ないので、機会があったらまたやりたい」と『グリーンブック』の日本語吹替の仕事で意欲を再燃させていた。
『グリーンブック』
3月1日(金)より全国公開中
※日本語吹替版は4月26日(金)より全国ロードショー中
監督:ピーター・ファレリー
出演:ヴィゴ・モーテンセン マハーシャラ・アリ リンダ・カーデリーニ
日本語吹替:大塚芳忠 諏訪部順一
配給:GAGA
【ストーリー】 1962年、差別が残る南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は、粗野で無教養のイタリア系、トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)を用心棒兼運転手として雇うことに。黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに正反対のふたりは旅を始めるのだが…。
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