カンフー版マッドマックス&日本の戦国時代、マーベル…おいしいトコ取りの世界が面白すぎる!米ドラマ「イントゥ・ザ・バッドランズ」

 アメリカは今が春のドラマ改編期で新ドラマや人気ドラマの新シーズンが続々と始まっていますが、私的に注目しているのが、ダニエル・ウー主演で2015年11月から全6回が放送された「Into The Badlands イントゥ・ザ・バッドランズ」(原題)のシーズン2。映画『ショーン・オブ・デッド』『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』でおなじみの英俳優ニック・フロストがシーズン2からキャストに加わるということで見始めたんですけど、これがシーズン1を上回る高視聴率で人気を博しているように、俄然面白くなっていると評判です。

どんなドラマなのかといえば、アポカリプスで荒廃したおよそ今から500年後の世界で、私利私欲渦巻くバロン(領主)が領土を支配し、車や電気が一部残っているものの、ほとんどがの人間が奴隷として非文明的な状況で働いている状況。そう、マッドマックスの世界を思い出してもらえればOK。

 主人公のサニーは、バッドランズを支配する7人のバロンのひとりである権力者クィンから鍛えられた最強の先鋭クリッパー(暗殺戦士)。シーズン2ではバッドランズ外で奴隷として捉えられていたサニーが、自分の子どもを身ごもっている恋人のもとに戻ろうとバッドランズを再び目指す、というストーリー。マッドマックスのカンフー版かと思えば、それだけじゃなくって公式サイトの説明にも「バロンは中世の日本の将軍のよう」だとか、「クリッパーはこの時代のサムライ」と書かれ、サニーの武器も日本刀だったり、メインキャラクターのひとりである少年MKは実は超能力的なパワーがあって、その開眼をするシーンは思いっきり映画『ドクター・ストレンジ』だとか、バロンの権力者争いは「ゲーム・オブ・スローンズ」を彷彿としたりして、とにかく色んなジャンルイイトコどり。

 そして目玉はなんといってもハリウッド映画顔負けのアクションシーンなんですが、主人公サニーを演じるのは香港を代表するイケメン俳優のダニエル・ウー!ってことで、カンフー・アクションが本格的。同じく香港俳優のスティーブン・フォンがエグゼクティブ・プロデューサーとアクション監督を務めているそうですが、主人公がアジア人のアクションドラマシリーズは米ドラマ史上快挙です。アクションシーンのヴィジュアルはかなり過激で、大鉾で切られた頭がふっとんだりしますし、血しぶきのレベルも映画でいったらR指定クラス。

 新加入のニック・フロストはひょんなことからサニーの相棒となるバジーを演じ、一緒にバッドランズを目指すことになるのですが、いわばハン・ソロ+C3PO的なキャラが大成功。 “動けるデブ”の才能を発揮していて、かなりいい感じのアクションシーンもみせてくれます。ニックは子どもと長い間離れるのが嫌なので、アメリカのドラマ出演を断っていたそうですが、この作品はアイルランドで撮影されるということで出演をOKしたそうです。
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Into the Badlands (TV Series 2015– ) – IMDb

 実はこの「イントゥ・バッドランズ」を製作・放送しているのは米AMCというチャンネルで、AMCは圧倒的人気を誇る「ウォーキング・デッド」、「ブレイキング・バッド」、「ベター・コール・ソール」、そしてDCコミック原作のドラマシリーズ「プリーチャー」といったオリジナルシリーズでヒットを連発していて、今一番アメリカで攻めてる局。昔は「アメリカン・ムービー・クラシックス」という名前が表すように、古い映画を24時間垂れ流しているつまんない局だったんですが、2007年の初オリジナルシリーズ「マッド・メン」から大変身して、今のアメリカでのテレビドラマブームもAMCがなければありえなかったんじゃないでしょうか。AMCでは4月8日からジェームズ・ボンドでおなじみのピアーズ・ブロスナンを主演に起用した西部劇ドラマ「The Son」(全10回)もスタートと、攻め続けてます!(D姐