MC:そんなことも現場では学ばれて…!
中島:小松さんは知紗ちゃんに好かれなきゃいけないっていう役柄だったんですけど、全く好かれない!(笑)。小松さんがスタジオに入ってきただけで、「(髪色)ピンク~!」とか言って泣き出して。
小松:みんな嫌われてましたから大丈夫です(笑)。
MC:ありがとうございます(笑)。そして、青木さん。『渇き。』に次いで2度目の中島組となりました。青木さんは前回ヤクザの役で、今回は親友を助けようと親身になってると見せかけて実は…みたいな。また中島監督作品はダークと言いますか、ハッキリ言うと悪い役をされることの多い、そういう役が続いていらっしゃいますけど…。
青木:悪いやつとか、あまりそういう感じは自分は感じてなかったですね。
岡田:してなかったですね。
青木:言っても、秀樹のことは裏切っていたかもしれないですけど、見ようによっちゃあ、香奈のことは助けていたかもしれないですしね。
MC:そうですね。今回、撮影現場では果敢にアドリブに挑戦されていたというお話もお伺いしています。
青木:はい。いや、正確に言うとアドリブではないというか。台本のト書きに「場を盛り上げている」とか、そういうことがあったので、監督から「じゃあよろしく」という感じで、「これはやばい」と思って2、3、小話みたいなものを用意して、なんとかそれをローテーションで繋いだんですね。
中島:青木さんはすごくいい俳優なんですけど、勝手に台詞を増やす(笑)。
青木:あはは!
中島:「香奈ちゃん」とか「香奈さん」とかしか台本に書いてないのに、必ず青木くんは3回言うんですね。「香奈ちゃん、香奈さん、えー香奈ちゃん?」なんですよ(笑)。青木さんのところだけ妙に伸びちゃって。ただ、関西弁を操る人が、青木くんがやった津田っていう人が、東京には随分長くいる人なので、どこで関西弁を使い、どこが標準語になるかっていうところの微妙なニュアンスとかをものすごく細かく演じてくれて、僕は撮影しているときに本当にうまい俳優さんだなぁと思って感心しました。
青木:ありがとうございます。監督が「どんどんアドリブをやってください。3割ぐらいは使いますから」って(笑)。ありがとうございます。
MC:ありがとうございます。そして小松さん。最初のご挨拶でも『渇き。』から5年と仰っていましたけど、前回の撮影でもいろいろ違っていたと仰っていました。いかがでしたか?
小松:そうですね…。怖かったです、入るまで、撮影が。やっぱり最初の何もわからない無知の自由さと見えないプレッシャーと、すごくドキドキして。初日とか、緊張して壁に向かって座っているところを岡田さんに目撃されて(笑)。自分の中では緊張マックスの状態で最初の初日を迎えたので、どうやって慣れていこうとか、いろんなことを考えていたんですけど、初めてショートカットにしてピンク色に染めて、タトゥーも全身にやったりとか、すごく気分も変わったので、そのビジュアルにも助けられた部分もたくさんありましたし、もちろん母性という部分もすごく苦労したというか、まだ21歳というのもあって母性ってなんだろうというところから始まったり、また新しい経験ができてすごく刺激的な日々でした。
MC:岡田さんにもいろいろ助けられたと耳にしていますけれども。
小松:はい。
岡田:どうですかね…?助けては…。最初は壁に向かって三角座りしている姿を(笑)、「これ、話しかけていいのか?」と。昔(映画に)出て、また(中島監督に)再会して緊張されているとは知ってたし、1か月以上前からピンクに髪を染めて気合いが入っていると聞いていたので、話しかけるかどうかは悩みましたけどもね、最初は。
小松:岡田さんがすごくひょうひょうとしているので、緊張してないのかなと、逆に私はすごく疑問に…。
岡田:怖い監督とやるときのコツですよ!(笑)。(隣の妻夫木に)ね?
妻夫木:ひょうひょうとする!
岡田:ひょうひょうとする!これがもう一番です(笑)。
MC:だそうです、小松さん(笑)。監督、やはり5年ぶりの小松さんは違っていましたか?
中島:全然違っていましたね。僕は50代後半ですから、そういう人間の、『渇き。』という映画から4年ですか、5年ですか、それぐらいはもう僕は全然変わりようがないわけですね。飲む薬の量は増えるとか(笑)、いろいろ体が痛むようになるとか、それぐらいの変化ぐらいしかないので、やっぱり会わなかった4年間でこんなにも小松さんがこれほど立派な女優さんになるんだというのは驚きましたし、若いって素晴らしいなと思いましたね。早く年食っちゃえばいいのに(笑)。たぶん次に会うのは30過ぎてからになると思うんですけども、そのときもまだセーラー服着て高校生役とかやってたらバカにしてやるのにって(笑)。
妻夫木:一言多いんですよね!監督!途中まで良かったのにね!
(会場爆笑)
MC:ありがとうございます(笑)。そして松さん。松さんは『告白』以来の中島組となりました。久しぶりの現場はいかがでしたでしょうか?
松:やっぱりおもしろかったですし、小松さんと一緒で初日は緊張しました。緊張するというか、あがってたというか、何かやろうとしてたから舞い上がってたんだろうなと反省し、だんだん琴子という人が相当おかしな人だぞっていうこととか、やっぱり監督がさらにパワーアップして、現場の集中力が高いということにまた出会えたことがすごくラッキーだなと思いながらやっていました。すごく楽しかったです。
MC:今回も中島監督はこの役は松さんしかできないと仰っていましたけど、演じられるのは難しかったですか?
松:どうなんですかね?私はこういう人に出くわしたことがないし…(笑)。
中島:いない(笑)。
松:いないですか?(笑)。だから、自分を想像してやってみて、皆さんもそういう人に会ったような気になってもらえたら儲けもんみたいな(笑)。賭ける、これでいってどうかなという「えいや!」っていう勇気は必要だったなと思いました。それを、監督や岡田くんや小松さんがちょいちょいと押して、引っ張ってもらったっていうのが、衣装やメイクのイメージ作りもちょいちょいと引っ張ってくれたし、幸せな現場だったと思います。大変だったけど。