【全起こし】のん、大人の声のすずさんを褒められ「 有り難い」映画『この世界の片隅に』夏の再上映 舞台挨拶 レポート 全文掲載

MC:最初の公開の時に時間の関係もあってやむなくカットした部分を追加制作いたしまして、この12月に『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』というタイトルで公開することとなりました。このタイトルは監督が考えて、こうの先生が快諾してくださったタイトルですが、このタイトルにこめた思いを監督お聞かせください。

片渕監督:今日ご覧いただいた『この世界の片隅に』という映画は、本来だったら原作にあった場面が一部なくなっているんですけど、そのおかげでと言っていいのかもしれませんけど、すずさんという人となりをずっと紹介していく映画だったと思うんですね。すずさんはひとりぼっちで呉にお嫁に来てから、たったひとり5歳の姪になる晴美ちゃんだけが友達みたいな生活をしてたんですけど、でももっともっとすずさんが出会った人たちがいて、すでに知っている人たちもどういうふうに変化を遂げていくかみたいなことを、すずさん目の当たりにしているわけですよね。そうやってすずさんが他にも出会った人たちのことも含めて、それを語ることによってすずさん自身がどんなふうに変わっていって最後の結末に至ったか、もうちょっと詳しく描いてみたいと思っています。

MC:いち早く特報が解禁されていますが、そのナレーションをのんさん全部新録しましたが、久しぶりにすずを演じてみてどのような感触をお持ちになりましたか?

のん:すずさんを演じてから期間が空いていたので、またできるかなと不安な気持ちがあったんですけど、片渕監督と録音スタジオで会って、ブースに入って何度かやっていくうちに「あ、大丈夫かな」と思って、手応えを感じました。

MC:片渕監督からご覧になって、その時ののんさんはいかがでしたか?

片渕監督:収録はちょうどのんちゃんのお誕生日の前の日で、僕はその時のケーキを半分は食べていないので(笑)。

のん:でも気づいたらホントなくなってて(笑)。その時は監督がけっこうな量を食べて、そのあと誰かが食べて半分になったんですよね?

片渕監督:そうです。申し訳ないですけど、のんちゃんより多く食べていたのは間違いないです。

のん:あはは(笑)。でも知ってたんですけど、半分って言ったほうがわかりやすいかなって(笑)。

片渕監督:話を盛っていたんだね。

のん:盛っちゃいました(笑)。

片渕監督:そんなようなことで録音したんですけど、今までにないすずさんの感じが出せるといいなと思って、それのちょうどいいテストケースになると思って特報の録音に臨んだんですけど、出来上がったのを原作者のこうの史代先生が聞いてくださって、「今までにない大人の声のすずさんですね。すごくよかったです」と言ってくださいました。

のん:あ、嬉しい…。本当に嬉しいです。そう言っていただけると有り難いですね。褒め言葉ですよね?

片渕監督:褒め言葉ですよ(笑)。

のん:有り難い。