【全起こし】『沈黙-サイレンス-』記者会見にマーティン・スコセッシ監督、窪塚洋介、浅野忠信が登壇!

MC:どうもありがとうございました。続きまして浅野忠信さんです。

浅野:皆さん今日はありがとうございます。僕も窪塚さんがおっしゃっていたように、本当にびっくりしまして。自分がこの仕事をいただけたことがとても嬉しいですし、オーディションを受けてこの役をつかんだ時に、チャンスが自分のとこに来たんだなって。これは本当に大きな大きなチャレンジでしたから、とても嬉しく思いました。

オーディションやっている時に、監督に初めて出会ったんですけど、その時にとっても面白かったんですね。それはもうひとつの作品を撮るぐらいに一日のオーディションの時間が面白くて。何がそんなに面白かったのかなあ?と思ったら、やっぱりお互いに心で感じるような瞬間があったような気がしたんですね。それは撮影の間もずっとそうでしたし、監督が僕らから溢れる、心から出る何か、そういう瞬間を常に待っていてくれていたように思えましたし、そういう長い時間を共有できたっていうのが僕にとってはとても大きな宝になっています。本当に皆さん、楽しみにしていてください。よろしくお願い致します。

(会場拍手)

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MC:どうもありがとうございました。では、皆さまどうぞお座りください。改めましてマーティン・スコセッシさん、ようこそ日本にお越しいただきました。

(会場拍手)

MC:ありがとうございます。ちょっと席を移動していただきます(監督が通訳さん近くに移動。窪塚さんと席を入れ替わる)。すいません、ありがとうございます。

落ち着いたところで私からひとつだけ、代表質問をさせていただきます。先ほどスコセッシ監督がいろいろとこの『沈黙-サイレンス-』の出会いのお話しもしていただいたんですけど、描きたかった点も言っていただいたんですが、改めてこの原作を映画化に至るまで、どういった経緯で映画化が実現したのかというお話を、少し深くしていただけるとありがたいんですが。

スコセッシ:最初に私は、この本を読んだというか手渡されたのが1988年のことでした。その当時、ちょうどこれもまたキリスト教に絡んでくる『最後の誘惑』という作品を撮っている時だったのですが、つまり宗教というのは私の人生を色濃く色づけてきたものなのであります。

そして度々、アンダーグラウンドの世界の裏社会を描いてきているわけですが、それでもさらにいろんなテーマを深堀していかなければならないと思っていました。それは言葉ではなんとも表現できないようなそういう領域に到達しなければならないと思いました。それは信ずることとは何なのかというテーマです。

実はこの本を完読したのが、ちょうど日本に滞在している時でした。黒澤明監督の『夢』に出演させていただいているのですが、その撮影の最中でした。この本を読み終わった時に、精神世界を追究する上で大事な材料になるかもしれないという風に感じました。しかし、一体どのようにこのテーマをアプローチしていったらいいのか分かりませんでした。ということで数年後から脚本の執筆が始まったわけですが、ようやく2006年に脚本の執筆が終わりました。うまくいったかどうかは、私としてもなんとも言えませんが、この本の表現しようとしていることをどう伝えるかというのがテーマでした。ですがなにせ20年という歳月を経ていますのでその間、父になり、夫になり、そして映画のフィルムの修復活動、保存活動などを通じて私自身も成長を遂げましたし、この小説と共に成長を遂げたと思っています。そういう思いがあってやっと今回作るにあたりました。

ということで、このストーリーをどのように物語っていくのか、どのように映像化するのか、どういうメッセージをどのように伝えるのか、ということをあれこれ考える長い年月が経たわけですが、その間に小説に対する権利関係がいろいろと複雑になってしまいまして、私たちの書いている脚本を気に入らなかったわけではないのですが、権利関係に問題が出てきた。その間マネージャーからも、これはちょっと手を付けない方がいいんじゃないかと言われたりしましたが、ようやく何人かの助けがあって、映画化にこぎつけることができました。

MC:どうもありがとうございました。さあ、今日は記者の方がたくさん来ておりますので、これから質疑応答を行ないたいと思います。ご質問のある方は手を上げていただけますか。お願いします。