MC:先日インタビューをさせてもらった時に、渋谷の本屋さんでやってましたけど、あの時、原作のファンの方がいらっしゃっていて、なんと原作が今、増刷中でございまして(笑)。すごく売れているそうなんですよ。この中で原作を読んだことがないという方、ちょっと手を挙げてもらえますか?あ、結構いらっしゃいますね。これからでも遅くありません(笑)。
蒼井:(沼田)まほかるさんの本は面白いですからね。
MC:ぜひですね、本当に読んだほうがいいと思いますよ。読むと、またこの映画を見直したくなります。
白石:そうですね。
MC:ではここで、会場の皆さまから質問を受け付けたいと思います。
質問者:白石監督に質問なのですが、最後、陣治があのような行動をとって、同性として観ていて『なんで?』という感想もあったんですけど、あの形にしたことについて、何かコメントをいただければありがたいです。
白石:僕も、最初原作を読んだ時に、まったく理解できなかったんですよね。このラストでも面白いんですけど、「このラスト、どれだけ共感をもってくれるかな?」って、共感してもらえる自信がなかったんで、ただ陣治と十和子の物語が見たいので別のラストもあるかなって考えてみたりしたんですけど、なかなか思いつかなかった。もう一度原作を読み直しているうちに、やっぱりあれだけ陣治がダメな男で嘘ばっかり言うんだけど、「もう一回、十和子の中に生まれ変わる」って。それが今までの虚言の延長なのかもしれないですけど、最後にそういう覚悟を見せた瞬間に、なにか残せたんだろうなって思えたんですよね。なので、それは原作通りといえば原作通りなんですけど、最初に読んだ時は、なかなか納得はできなかったですけど、何度も繰り返し考えていくうちに、これしかないラストだと自信を持てたというか、まほかるさんのお力の中で映画を、原作通りにやったということですね。
MC:蒼井さんから観て、あのラストは納得ですか?
蒼井:まあ、やられたら困りますけど…(笑)。でも、陣治って全然友達もいないんですよ。生きている自分の存在価値っていうのが十和子を守るということで見いだした人で、だから陣治の人生でやるべきことって、とっても視野が狭い人なので、やるべきことをやり終えたっていう。たぶん、陣治はすがすがしい気持ちでいたんじゃないかなって。
MC:まあ、引っかかっているかもしれないですけど(笑)。
蒼井:(笑)。
白石:確かに、阿部(サダヲ)さんが飛んだ時、ちょっとニヤついてましたよね(笑)。
MC:あれは特撮なんですか?
白石:そうですね。公園のところは神戸で撮ったんですけど、先ほど優ちゃんも言ったけど、もしかして(陣治は)生きていたんじゃないかって(笑)。実は若干なだらかで(笑)。まあ、あそこから落ちても死なないよねっていうところではあるので。下は合成なんですけどね(笑)。