【全起こし】蒼井優「(13年後の今のアリスは)適当な人と結婚して、離婚しているんじゃないですかね(笑)」 『花とアリス』 東京国際映画祭 トークイベントレポート 全文掲載!

MC:みなさん、ご覧になってとても今を感じたんじゃないかなって気がするんですけどね。『花とアリス』も13年になりますか。おそらく、全然古く感じないなぁという気がするんですけども、ご覧になっていかがでしょうか。もちろん、ご自身もそういう時代があったということはあるでしょうけど、そうではなくて客観的にこの映画を観て古いと思わないですけども。

蒼井:私も若いときってこんなに鼻声だったんだと思いました(笑)。あとは、篠田昇さんっていうカメラマンさんはもう亡くなっているんですけど、眼差しが素敵だなぁと思います。篠田さんに見つめられて、野猿のような少女時代を過ごせたっていうのは、篠田さんも私をのびのび現場でいさせてくださった方だったんだなって改めて大人になるとわかりますね。杏は?

鈴木:私は『花とアリス』の前からもともと岩井さんの映画が大好きだったので、今思ってもすごく不思議な感覚に陥るというか、岩井さんと映画が作れたんだっていう…。でも、それが若い時だったし、自分でもエアーポケットのような、何とも形容できない気持ちになるというか。すごく貴重な時期だったし、自分がいろいろ出させてもらった作品のなかでも貴重な作品の一つだなぁと思います。

MC:岩井さんのなかではこの作品はどうですか?

岩井:最初はショートフィルムを作ろうというところからアイデアが浮かんできて、この2人の物語になっていって。劇的な事件とかがあるわけではないんですけど、2人のそれぞれの日常生活から切り取っていくという話だったので。逆に…物語を書いていて、最初は盛りあがらないなぁと、でもだんだん溜まってくるうちに、ある一線を越えたゾーンに入ると話がとめどなく出てくるようになって、ほとんどサザエさん状態で自分のなかで止まらなくなった時期がありましたね(笑)。ずっと“花とアリスがいる”という状況になって、こういうタイプの話って怖いなって思ったぐらい入り込んで。撮影が終わって公開が終わってもまだ話が止まってくれなくて、その勢いで書いたのが『花とアリス殺人事件』。次撮る目途もないまま書いていたんですけど、そういうことがありましたね。

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MC:お客様とトークもいいですか?岩井さんからどなたか指名してください。

蒼井:ぎっしり人がいますね。

観客:今日は『花とアリス』を上映して、さらには蒼井優さんと鈴木杏さん、岩井俊二監督が出席されるという場を設けていただいて、本当にありがとうございます。関係者のみなさんにまずお礼を言いたいです。僕は岩井監督のファンで、結構現場に通っているんですけど、この映画は公開当時見逃してしまったんですよ。『花とアリス殺人事件』は舞台挨拶にも行って…。質問はもともと用意していたんですけど、先ほどもちらっと話に出てきて、『花とアリス』のファンはみんな思っていることで、岩井監督には前にお願いしたこともあるんですけど、今現在の『花とアリス』を実写映画化してほしいと…。僕以外にもQ&Aでお願いした人がいて、岩井監督は先ほどもいろいろ考えているとおっしゃっていたので、蒼井優さんと鈴木杏さんもせっかく今日来られているので、今現在どういう関係でどういう職業だとか、それぞれ教えていただきたいです。

岩井:そこまで具体化しているエピソードはないんですけど、漠然と2人の関係が逆転していたりするとおもしろいなとか頭の中でいろんな妄想が(笑)、意外な現代を迎えているとは思ったりしてはいましたけど、もうちょっと考えます(笑)。性格的なこととか、花はこうでアリスはこう逆になっている…というのはおもしろいかなと思います。

観客:蒼井さんと鈴木さんも妄想でもいいので、今思いついたことでもいいので…。

鈴木:2人とも幸せな家庭を築けているかというと、そういう想像は全くつかないので…。

蒼井:アリスはそんな感じですよね。いわゆる“幸せ”と呼ばれるものをなぎ倒していそうな気がしますけど(笑)。

鈴木:確かに、花が幸せになっていたり、社交性を身につけていたりしたらおもしろいなとは思いましたけど。

観客:結婚とかは両方ともされていると思いますか?

鈴木:してない気がする…。どうなんだろう…。

MC:あとはイマジネーションで(笑)。すいません(笑)。

観客:岩井監督、ぜひお願いします。

岩井:宿題を持って帰ります(笑)。

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