奥浜:松坂さんは、究極の○○、いかがでしょうか?
松坂:究極に怖かったなっていうのがあって、カンボジアで撮影していた時に、現地の人が「アンコールワットの朝焼けがすごくいいぞ」と言っていて、「じゃあ見に行きます」ってちょうど撮影が終わって次の日帰るっていう早朝に、アンコールワットに一人で行ったんですよ。一人でいったら、現地の5人位の男の人が、ナイフを持って「わーっ!」と。何言ってるか分からないんですけど、ナイフみたいなものをもって駆け寄ってきたから、これはヤバイと思って、アンコールワットの中に逃げ込んで観光客の人に助けてもらったっていうのがありましたね。(会場どよめき)
阿部:本当?
松坂:本当っす(笑)。
阿部:なんだったの、その人たちは?人殺し?
松坂:(笑)、いや、観光客を狙った窃盗団?若い窃盗集団みたいな。怖かったすねえ。何をしゃべっているのかわからないのが怖かったですね。
阿部:でも、カンボジアの方が見ていたら、ちょっと気分悪くするかもしれないですね。そんなに悪いところではないでしょ?
松坂:すごくいいところなんですよ。すごく僕も好きなところなんですけど、そこだけがちょっと怖かったなっていう。
奥浜:なるほど。阿部さん、カンボジアの方のフォローまで、ありがとうございます。よくぞご無事で本当によかったです。ありがとうございます。竹野内さん、究極の○○、いかがでしょうか?
竹野内:役者をやって、良い時も悪い時もありましたけど、本当に今回、白石監督の現場で監督と初めてお会いして、とにかく映画に対する情熱が本当に深い人だなって。そういう監督の現場に皆で一緒に参加できたことは、本当に嬉しいなと思って。そういうのが、栄養剤っていうか。今後の糧になりますし、究極の映画への白石愛みたいなね(笑)。
奥浜:そういうものを感じたと。
白石:ありがとうございます。
奥浜:そんな白石監督、究極の○○はなんでしょうか?
白石:そうですね、この映画を撮っていて、究極の熱演ってこういうことかっていうのを感じたのが、そのシーンもゲラゲラ笑ったんですけど、これネタバレになるのであんまり言えないんですけど。桃李くんの最終カットを撮っている時に。
松坂:(驚きの顔で)…僕ですか?(会場爆笑)
白石:「あ、熱演してくれている!」って。「ありがとう!」って思いました。
奥浜:すごい、笑ってますけど。阿部さんも、蒼井さんも。
阿部:熱演でしたよねえ(笑)。
蒼井:熱演でした(笑)。
白石:あれは熱演ですよね?
阿部:やってるなって思いましたもん。やってるやってる。
白石:もちろん、皆さんのお芝居があった上でね。
阿部:いや、早くハケてくれって思ったもん、あれ。なかなかいかないんだもん。
松坂:だって…、そういう指示があったんですよ…(苦笑い)。(会場爆笑)
奥浜:松坂さんのラストカットですね。ぜひ皆さん、ご注目ください。では、最後に阿部さんと蒼井さんから、今からご覧になる皆さんに一言ずつメッセージをいただけますか。
阿部:はい。本当に余韻に浸れる、いろんなことを話し合える映画で、愛ってなんだろうとか、恋愛ってなんだろうとか。おのおのの時間だっていう人もいますけど、そういうことではないっていうか、いろいろ考えさせられる映画なんですよね。それがすごくいいなあと思って。いい映画に出させていただいて、本当に嬉しいです。最終的に僕はマイクを持って、ここに立っているわけですからね。すごいなって思って。「竹野内様」って書いてあるマイクなんですよ、コレ(会場爆笑)。すごく嬉しいです、本当に。ぜひ皆さん、観ていただいて、いい映画だと思ったら友達とかにお伝え下さい。よろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。
奥浜:ありがとうございました。蒼井さん、お願いします。
蒼井:はい、今日からこの作品を皆さんと公に共有できるのがとても嬉しいです。それと同時に、あまりしんみりして欲しくはないとご本人も思うと思うんですけど、中嶋しゅうさんという今年亡くなられた俳優さんの最後の映像作品になっています。偉大な偉大な先輩で、芝居の面白さを私に教えてくださった方です。私は今回、この國枝という役をどうしても、しゅうさんにやっていただきたくて、ずっと今まで演劇で共演させていただいていて、映像がなかったので、今回差し出がましいですけど、「しゅうさんに國枝役、どうなんですかね?」っていう話を監督にさせていただいて、私の夢が叶って、しゅうさんとご一緒することができました。びっくりするほど気持ちの悪い役ですけど(笑)、その辺がしゅうさんらしくって、本当に愛らしい方なんです。しゅうさんの最後、最後っていうのもピンとこないんですけども、しゅうさんの姿と松坂さんの熱演を(笑)、皆さん、目に焼き付けていただければと思います。本当にありがとうございました。
奥浜:ありがとうございました。
『彼女がその名を知らない鳥たち』
監督:白石和彌 原作:沼田まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち」(幻冬舎文庫)
出演:蒼井優 阿部サダヲ 松坂桃李 村川絵梨 赤堀雅秋 赤澤ムック 中嶋しゅう 竹野内豊
配給:クロックワークス
STORY:八年前に別れた男・黒崎を忘れられない十和子は、今は15歳上の男・陣治と暮らしている。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治を激しく嫌悪しながらも、彼の稼ぎで働きもせず日々を過ごしていた。ある日、十和子は黒崎の面影を思い起こさせる妻子ある男・水島と関係を持ち、彼との情事に溺れていく。そんな時、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明だ」と知らされる。どんなに足蹴にされても文句を言わず、「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が、執拗に自分をつけ回していることに気付いた十和子は、黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯え始める―。
(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会