【全起こし】蒼井優「私みたいな顔は、芸能界にいそうでいない」映画『彼女がその名を知らない鳥たち』公開記念トークイベント全文掲載!

MC:蒼井さんいかがでしょうか?

蒼井:なんでしたっけ?

阿部:共感できない役。

蒼井:そうですね、私も最初、十和子を読んだ時に本当最低だなと思っていたんですけど、松坂さんとか竹野内さんとか出てこられると、私より最低だから何でしょうね、あんまり自分が最低っていう自覚をせずにいられました。

IMG_0225

白石:自分よりも最低な奴がいっぱいいるから(笑)。これ“共感度0パーセント、不快度100パーセント”っていうキャッチコピーなんですよ。光浦さん映画をご覧になって共感はいかがでした?

光浦:共感はなかったです。やっぱり何か見るときって誰かを応援しながら見ちゃうじゃないですか。どうしても。誰一人応援せずに最後まで。

白石:(笑)。途中はなかったですか? 可愛そうだなとか。

光浦:途中…全員が…オチになっちゃうからな何とも言えない。なんかもう切なくなっちゃって、切ない、可哀想という。私、人から可哀想って言われることがよくあるんですけど、自分が人のことを可哀想って言ったことないんですけど、とっても可哀想な小さな世界で。小さすぎて地獄だと思って(会場爆笑)、ループしていく、可哀想になっちゃって。

白石:地獄だったんすねこれ(笑)。

光浦:エンドがないというか。

白石:ああなるほど。

光浦:次のステップもくれないし、ずっと同じとこっていうのが一つの地獄にはまっちゃった人に見えて。

白石:そういう意味ではタイトルに“鳥”っていうのが出てきて、この人たちが出てくる世界観が鳥かごの中に入っていて、そこから出られない人たちの話だってことを思いながらやってたんですよね。なので、その閉鎖感なのかもしれないですね。外に出られない。

光浦:うーん。なんていうんかねと思って。本当に(笑)。

MC:タイトルの解釈として監督は以前“彼女”、もちろん十和子なんだけど、“鳥”っていうのが愛とか、そういうものというような意味合いのことをおっしゃっていたんですが。

白石:そうですね。作ってから気づいたことなのかもしれないですけど、まほかる先生からずっと宿題を出されながら撮影をしている感じがあったんですけど、“彼女”っていうのはもちろん十和子のことで“知らない鳥たち”って複数形になっているんですけど、それはそこに気づく誰かの愛なんだろうなってことは思ってやってはいたんですけど。

MC:こちらの遊べる本屋さんっていうことでですね、ヴィレッジヴァンガードとしてまほかる先生の話もしたいんですけど、光浦さんいわく、とにかく言葉のチョイスがすごいと。

光浦:まほかる先生の。例えというんですか。もうすばらしいじゃないですか。ほんとちっちゃい単語一つ逃したくないですよね。本当に面白いというか。どう死んでも感情が誘導されてっちゃうんですよね。その言葉のチョイスがすごくて。すごい好きなんですよね。とにかく言葉遣いが面白いなって。

MC:阿部さんもこちらの雑誌で取材させていただいた時に「文字だけでこんな嫌いになっちゃう」と。

阿部:ものすごい描写が細かいし、映画にもできないくらい細かい描写もあったりするからすごいですよね。そこまで描写を細かくするんだってびっくりしましたね。原作読んだ時に。観ていないと書けないですからね、まほかる先生が。なんていうか量っていうか。精液の量っていうんですかね(笑)。あれ…ヴィレッジヴァンガードでそういうことを言っていい場所なのか?(会場爆笑)

光浦:昔は言って良かったんですけどね。

MC:今日、女性の客さんが多いと思いますけど、蒼井さん、まほかる先生の魅力というか。

蒼井:やっぱり言葉ですし、あとまほかるさんに興味がわいてしまいますよね。どういう人生経験をして来たらこういう描写ができるんだろうか。何を見てこられたんだろうって。まほかるさん自身がすごく面白いというか、なかなかいない経歴をお持ちなんですけど、だから私はあんまりないんですよ、この人って決めた人を読み続けるってこと。でも、まほかるさんとか谷崎潤一郎さんとか、感情が持っていかれるんだけど脳のどこかで書いている本人にも惹かれていってしまう。だからはまっていってしまうんだなと思いました。だから私このお話しをいただいてから、まほかるさんのいろいろな本を買って読みました。

IMG_0219