伊藤：そして冨永監督とオダギリさんと言えば『パビリオン山椒魚』が思い出されるんですけど、オダギリさん11年前なんですよね？

オダギリ：11年前ですね。

伊藤：以来の現場ってことになるんですか？

オダギリ：ですよね…？

冨永：ああっ。

オダギリ：え!? ああ、はい。

冨永：監督ではなかったですけど。

オダギリ：そうですね。

冨永：お手伝いしに。

伊藤：オダギリさん、いかがでしたか、久々の冨永組は？

オダギリ：やっぱり最高ですね。監督とは同い年で、同級生的な感覚を持っています。頑張っている姿を見ると励まされますし、やっぱり監督の才能を同級生としても映画ファンとしても末永く映画を撮っていただきたい監督の一人なので、今回の映画も皆さんこれからご覧になる…まあ、すごい良いっすよ。参加できて良かったなと思います。

伊藤：だそうですが、冨永監督はオダギリさん、またご一緒することが叶って。

冨永：感無量ですね。オダギリさんは自分にとっては特別な俳優さんなので、出てもらえたっていうのは、まだ11年も経っている気がしなかったですけど、やっぱりオダギリさん何も変わってないなっていう感じが（笑）。あとすごい変わったなと感じたのが某映画の撮影で外国に行かれていて、帰ってきた直後だったんで、ちょっと肌の色が変わられてて、

オダギリ：ええ、そうですね、真っ黒でしたね。

冨永：作品に爪痕になって残ってます。僕はすごい良かったなと思っています。すごくいいタイミングで出てもらったなと。

オダギリ：あのパーマ感もすごいですもんね。

冨永：なかなか望んでできる髪型でもない。

オダギリ：そうですね。

伊藤：臼田さんはオダギリさんと初めてだったんですか？

臼田：いや、私が初めて映画に出た時にご一緒させていただいていて、でも初めての映画だったので今から12年前になるんですけど、私は右も左もわからず、私の記憶の中ではオダギリさんはアドリブとかをたくさんやっていて、なんか台本にないからどうしていいかわからないみたいな困った状態を楽しんでらっしゃったように思うんですけど（笑）。

オダギリ：楽しんではいないですね。園子温監督の作品だったので、台本もなかったようなもんですよね。

臼田：まあまあ（笑）。

オダギリ：だから好き勝手やっていて、周りの俳優も皆そういうタイプでしたからね。

臼田：そうです。

伊藤：どうでした？今回久々にご一緒することになり、しかもすっごい色っぽいシーンというか、非常に素敵なツチダとハギオの関係だったんですけど、現場はどうだったんですか？

臼田：ご本人を目の前にしてとっても言いづらいんですけど……スケジュール的に（太賀演じる）せいちゃんとのシーンを先に撮影していたので、やっぱりせいちゃんと気持ちを作っていって、現場を作っていって情も湧いて「せいちゃんと、どうにかうまくいかないかなあ」という気持ちになったんですよ。もちろん脚本があるので、この後ハギオが現れてっていうのはわかってたんですけど、せいちゃんと作り上げたものを、この後出てくるハギオは一瞬で崩せるのかな？ 私のこの気持ちは変わるのかな？と思ったんですけど、でもオダギリさんがハギオとして現場に入った瞬間に私だけじゃなく女性スタッフだけじゃなく、男性スタッフが皆「あ、これ、せいちゃん負けたね」って（笑）。私も、それまで考えていた「ここでハギオに気持ちが揺らぐのかな？」っていうのは一切取っ払われて、女の人にモテるとかそういうことじゃなくて人を引き付けるみたいな、あれよあれよとペースを持っていかれて、「こんなはずじゃなかったのに」という気持ちを味わいました。

オダギリ：皆さん、まだ観る前なので、かなりハードルがね（笑）。

臼田：あっごめんなさい。そうだそうだ。

オダギリ：かなり僕やばいことになってますよ。（会場爆笑）そんな大した芝居してないですから。

臼田：いやいやいや。でも、多分皆も「ああー」って頷くと思います。ね？

太賀：そうですね。頼むからやめてくれって、せいいちとしては思いましたけど。