【全起こし】福山雅治「確実に年を取った…」 映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶 全文掲載!

荘口:演じる側としてモヤモヤしなかったですか?

福山:はい。してました。だからインタビューとかでも僕は答えたんですけど、「監督どうなっちゃうんですか?」ってこととか、「三隅は本当にやったんですか?」っていうのは聞きましたし、でも監督はこの映画を作る時、最初から「これは参加型のエンターテイメントなんです」って力説してたんですよ。

是枝:してました?

福山:してました。参加型なんです。もちろん現実っていうのは監督もそうですけど、僕もそうですけど、皆さんどんな人でも生きていて、ものすごく気持ちよくすっきり生きている人って大人になると多分少ないと思うんですけど、それが現実だと思うんですよね。エンターテイメントの要素の中の一つにすっきりするっていうのはあると思うんですよ。それはディズニーランドもそうですし、コンサートも映画もお笑いもそうですけど、エンターテイメントの要素の中の一つにすっきりするっていうのはあるんです。でも今回のこの映画は一緒にリアリティを感じる、一緒にモヤモヤするっていうのが新たなエンターテイメントとして監督が提示されたっていう。

是枝:そうです。(会場笑い)

荘口:福山さん自体は三回観た?

福山:はい。三回観た後に、仕事でメキシコに行ってたんですけど、ボーっと車で移動していた時に「あれ?『三度目の殺人』観た解釈って二回目観た時と違うぞ」って急に気が付いて、そのことを監督には直接伝えずスタッフに伝えて「監督に聞いてみてくれ」って。多分監督が聞いたと思うんですけど、それで「監督、僕の新たな『三度目の殺人』の解釈なんて言ってました?」って聞いたら「うーん、まだその向こうがあるんですよね」って返されました(笑)。(会場爆笑)まだ、あるんだと思って、だからまたわからなくなってます。

荘口:ありがとうございます。映画を拝見させていただきました。19歳の僕には少々難しい映画でした。一度目は監督が作る映画の世界観を感じながら観ましたが、次にもう一度観るとすると、どの角度から観るとまた違った面白さが出ますか?お二方のお答えをお待ちしています。

是枝:20歳になって観るとまた違うかもしれない。(会場爆笑)

福山:今それで思い出したのが、例えがあっているかわからないですけど、『地獄の黙示録』って映画があって、よく覚えているんですよ。印象的なシーン。でもどういう映画だったかは覚えてなくって、あとね『ディア・ハンター』観た時もそうだったし、その時はその時なりの解釈があるんですけど、これは監督こう言いたかったんだって、その時はなんとなく思っているんだけど、大人になって観返すとまた違ったりもするし、また覚えてなかったりもするんで、また観返すとまた違う見え方もするし。よく考えると自分が70年くらいに観ていた映画ってそういうのが多かったなって思って、19歳の彼が20歳になって25歳になってまたこの映画を観た時に多分画は覚えているけど、どんな映画か忘れている時に新たな解釈が。

是枝:生まれるでしょうね。重盛の側で観るのか、三隅の側で観るのかでもだいぶ違うと思いますし、何度も観てくださいっていうのは申し訳ないんだけど、だからもうちょっと大人になって観るとねというのも。本当は何度も来てくれた方がね、ありがたいなって。難しいところですけどね。

荘口:どういう角度でなんて書いてありますけど。

是枝:角度…。

福山:例えば三隅目線で観てみるとか、そういうことかな? 今割と重盛から入っていって、重盛が三隅に会って、基本重盛の目線で語っていく構成になってる。それが逆に三隅側から、三隅が何をしたかって設定しないと三隅目線っていうのは難しいかもしれないけど、接見される側になって観るとか、あと広瀬すずさん演じる山中咲江の目線で観てみるっていうのもまた全然違うものになっていくんじゃないですか。

荘口:監督もおおって顔していましたが。

是枝:映画の最後の方ですずが演じた咲江が、「ここではだれも本当のことを話さない」っていうじゃないですか。もう一回観返した時、誰も本当のことを言ってないと思って観ると見えてくるものがずいぶん違うなとは思いました。今、聞いてて。

福山:皆さん「うううーん」って。

荘口:地鳴りのような。

福山:深いところで納得していただいた感はありましたね。

荘口:それは面白い観方かもしれないですね。全員が嘘をついている。ちなみに監督のところには各キャストの皆さんから見解は届いたりするんですか?

是枝:あまり言ってこないんですよね。

福山:でも役所さんは、初号(試写)の時ですよね? 僕は行けなかったんですけど、役所さんは行かれていて、一番最初に関係者の方は観ていいですよっていう初号の時に役所さんは行かれていて、15時からの上映だったんですよね。僕はスタジオに入ってレコーディング作業していたので行けなかったんですけど、役所さんからショートメール入って、15時からなんで17時5分か10分くらいにショートメールが入って、ああ役所さんだと思って開いてみたら「素晴らしい映画でした」って短い文章ですけど「安心してください」って入ってて。

荘口:安心してください。心配してたんですね。(会場爆笑)

福山:ちょっと言い方違うかな。でもすごく熱い内容だったんですよ。「ものすごい感動した。僕はこの映画好きだ」っていうような伝わってくるような内容だったんですよ。

荘口:役所さんとは結末については話してないんですね?

福山:公開前後のプロモーションの時から、しつこく役所さんには何回か聞きましたけど、「ところで三隅はやったんですか」って。イタリアの取材の時も聞きましたよ。イタリアの外国人記者の方にも聞かれてたんですよ。そしたら役所さんは「I`m not guilty」って言ってました。(会場爆笑)でも外国人記者は「がはははあ」って笑ってました。世界的なジョークをとばしてましたよ。

荘口:監督、一人ひとりの観る皆さんの中に自分なりの結末を。

是枝:作って渡した以上、半分以上観た方のものだなって思っているので全然そこはお任せしますけど。こないだ僕ヴェネツィアからトロント回ったんですけど、トロントでの取材の人がね、それが答えっていうわけじゃないんですけど、「『三度目の殺人』で三度目に殺されたのは何なんだ」って聞かれて「なんだと思う」って聞いたら「Truth」なんじゃないかって言ったんですよその記者が。日本語だと殺人なんで人なんですけど、映画だと『The Third Murder』ってなってて、人じゃないもの含まれるらしくて、良い答えだなと思って。

荘口:ちょっと待てください(笑)。

福山:いいのもらったみたいに(笑)。

是枝:どっかで使おうと思って今使いました(笑)。

福山:『The Third Murder』っていうタイトルなんですよね。海外だと上映される時。

荘口:真実が殺されたんじゃないかと。

是枝:いいでしょ?

福山:またそこで納得した感じがね。

荘口:お時間が来てしましました。

会場:えーーーーー。

荘口:すみません。

福山:なんか質問聞くやつなくなっちゃったの?なんか一つ二つ。

荘口:皆さんどうですか?

福山:何か挙手していただければ。じゃあ男子。ごめんね、肉声で。おところと名前を。(会場爆笑)

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