【全起こし】オダギリジョー「今の日本でこういう映画を作るのは革命、戦い抜こうという気持ちが強かった」 映画『エルネスト』世界最速サポーター試写会 全文掲載!

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SHEILA:お二人ともこれで終わりそうな雰囲気ですが、まだまだですよ。本日お越しくださいました100名のサポーターの前で、熱さではだれにも負けないお二人から映画についていろいろお聞きしたいと思います。まず監督から映画を製作するにあたりどのような準備をされたのかお聞きしたいです。

阪本:まずフレディ・前村・ウルタードっていう存在を知り、そして彼の家族が書いた「革命の侍―チェ・ゲバラの下で戦った日系二世フレディ前村の生涯」を見つけて読み、あとは前村さんのキューバの国立ハバナ大学時代の学友の方々お一人お一人に会いに行って取材をしました。フレディ・前村さんの人柄とか大学時代のエピソードとか。それからフレディさんの家族マリーさんっていうお姉さまに会って一つだけ印象的だったのが、「フレディは医者になるために人を助けるためにキューバに行ったのに、それが結果武器をもって人を殺めるかもしれない。そこのはざまで弟は苦しんでいたんじゃないか」と、そういう話とか、キューバではフレディ・前村さんは英雄になったんですが、ボリビアでは売国奴、国に逆らった存在として家族が弾圧を受けてお父様は投獄されて、財産も没収されてっていう。お母様はローサさんっていうんですけど、どうにかフレディの遺骨を見つけたいと、そうやってキューバに働きかけるために動いた時にキューバの皆さんからね「あなたの息子は事故や病気で死んだわけじゃない。戦って死んだんだから悲しむ必要はない」とお母様は言われたらしいんですけど、でもやっぱり自分の息子を失った痛恨の痛みっていうのがあってやっぱり泣き崩れられたそうです。フレディのご家族の思いを受けて、彼が名もなき学生としてキューバに移ってどういう学生生活を送ったのかっていうことをメインに描きたいと思いました。ですから先に言っておきますけど、ほぼ戦闘シーンはないです。本当にただ医者になりたくて母国に帰って、特権階級にしか受けられない医療を開放したいって思った人間が最終的に銃を持つようになったと。もっと言うと彼のことを英雄視して描きたくないと思いました。それは観ていただければわかります。それからボリビアからの戦線で最後まで生き残られた方にお会いして『“エルネスト”っていう名前は、チェ・ゲバラが直接フレディに会って名付けたはずだ』と、それをお聞きして脚本に反映しました。それからチェ・ゲバラが広島に来た時に随行したフェルナンデス大佐、この方にも広島訪問のことをお聞きして夜行列車でみんなで駅弁を食ったという話を聞きました。先にシーンをしゃべってるようですけど(笑)。それから大変お世話になった方で、ご飯もご一緒させてもらって、その方からキューバ革命の背景から含めて全部お聞きしました。その方はカミロさんの部隊にいてサンタクララでチェ・ゲバラの部隊と合流して共に勝ってハバナに入城した方です。この人は会いたくてもなかなか会えません。でも今日、皆さんは会えます。ファンさん?

(客席にいたファンさんが立ち上がる)