【全起こし】門脇麦「なかなか殻を破れなくても、『殻、破れてませんがなにか?』みたいな(笑)、そう思えばちょっとだけ強くなれる」『世界は今日から君のもの』の完成披露上映会 全文掲載

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▲左から藤原さくら、三浦貴大、門脇麦、比留川游、尾崎将也監督

7月15日(土)公開の門脇麦主演映画『世界は今日から君のもの』の完成披露上映会が、7月5日(水)にユナイテッド・シネマ アクアシティお台場にて行なわれた。舞台挨拶には、本作で主人公・真実を演じた門脇麦、真実のバイト先に勤務する矢部を演じた三浦貴大、ひょんなことから真実と同居することになる恵利香を演じた比留川游、本作でメガホンをとった尾崎将也監督、そして主題歌を担当した藤原さくらが登壇した。ここでは本イベントの模様を全文掲載でお届けする。

本作は、人と接することが苦手で引きこもりになった主人公・小沼真実が、人との出会いや社会との触れ合いを通して、少しずつ自分らしい一歩を踏み出していく物語。引きこもりという社会的なテーマを、ガーリーな世界感で描き、どこか愛おしく、可愛い青春ドラマに仕上がっている。

MC:本日は『世界は今日から君のもの』の完成披露上映会にお越しくださいましてありがとうございます。本日は30分くらいの舞台挨拶の後に映画をご覧になっていただきます。それではさっそく本日の舞台挨拶を行なっていきたいと思います。監督キャストの方々をご紹介します。門脇麦さん、三浦貴大さん、比留川游さん、藤原さくらさん、そして尾崎将也監督です。盛大な拍手でお迎えください。
『世界は今日から君のもの』の完成披露上映会行なってまいります。どうぞよろしくお願いします。映画完成いたしまして、皆さんから一言ずつご挨拶をいただきます。まずはこの方、主演の門脇麦さんです。

観客:麦ちゃーん!

門脇:ありがとうございます。今日はお集まりいただきありがとうございます。なんだかホッとするような、いろんなことを許してくれるような、そんな可愛らしい作品に仕上がったなと思います。これから見ていただけるということで楽しんでください。どうぞよろしくお願いします。

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MC:続きまして三浦貴大さんです。

三浦:三浦貴大です。本当に来てくださってありがとうございます。すごくほっこりするような映画なので皆さんに楽しんでいただけるんじゃないかと思います。ぜひ今日は楽しんでいってください。

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MC:続きまして比留川游さんです。

比留川:こんにちは比留川游です。今日は短い時間ですが最後までよろしくお願いします。

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MC:続きまして主題歌を担当された藤原さくらさんです。

藤原:今回映画の主題歌「1995」を歌わせてもらいました。観終わった後に一歩前に進みたいと思えるような作品に、そんな温かい作品に自分の曲を使っていただいてうれしく思います。今日は楽しんでいってください。

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MC:そして監督、脚本を手がけられています尾崎将也監督です。

尾崎:監督を務めました尾崎将也です。今日はお越しいただきましてありがとうございます。お楽しみいただけたらと思います。よろしくお願いします。

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MC:ありがとうございます。映画の完成を終えて皆さんお揃いということで、皆さんおめでとうございます。さあそれではさっそくお話をお聞きしていきたいと思います。まず、この映画なんですけど、今漫画や小説の映画がとても多いですね。そのなかで尾崎監督のオリジナルストーリーということで本当にすごいことなんです。尾崎監督、今回この作品に込めた思いはどのようなものなのでしょうか?

尾崎:いろいろな映画を作りたいっていう思いはあるんですけども、その中でも一つ風変わりな女の子が主人公の映画を作りたいというのが前々からありまして、ただこういう映画っていうのは、この人を主演でやるっていうことが決まらないと発想できないものなんですけど、門脇さんとテレビドラマのお仕事をして、その時に“この人でできるじゃん”て思って、そこから始まったのがこの映画です。

MC:あて書きということですよね?

尾崎:なにをもってあて書きという、いろいろな解釈があるんですけど、門脇さんを主演と決めて考えたということは間違いないです。

MC:門脇さんはその話を伺って、脚本をお読みになったと思うんですけどいかがでしたか?

門脇:あて書きでって言われて台本いただいて、でもあっ、尾崎さんだって思って、女版の(尾崎)監督を演じている気持ちで、常に現場にいました。(監督は)歩き方とか、姿勢とか、見え方にとてもこだわられていて。「猫背で」とか、「手をぶらんとしながら歩いて」とか、言うとおりに真似していてたら監督みたいになってました(笑)。日に日に尾崎さんに近づいているみたいな(笑)。そんな不思議な現場でした。

MC:そういう風に門脇さん喋っていますけど、監督は門脇さんとご一緒してみて、改めてご自分の作品でどのような女優さんだと感じたんでしょうか?

尾崎:現場の時は、自分は監督の仕事をそんなに慣れているわけではないんで、僕は夢中でやっているという感じなんですけど、終わって作品を観ていると主人公の真実はヘンな女の子なんですよ。ただ、ヘンであることが魅力的でないといけなくて、ヒロインが魅力的っていうことはかなり自信があって、これから皆さんに観ていただけると思います。

MC:門脇さんは今回真実というキャラクター、さっき監督がヘンっておっしゃっていましたけど、すごくチャーミングな面もあったと思うんですけど、実際彼女を演じてみてすごく似ているなと思ったところってありますか?

門脇:流行に興味がないところとか、こだわるところとこだわらないところの差がものすごく激しいところとかは似ているかなと思います。

MC:真実ちゃんは内気で引きこもり気味ですが、ご自分的にはそこは?

門脇:そこは違いますね。私はアウトドア(派)で、山登りとかも好きです。あとなんでしたっけ?

MC:内気で引きこもり。

門脇:最初初めてお会いするときは緊張しますけど、自分のこととかも結構しゃべっちゃうので、家とかではマシンガントークなので、あんまりそこは似てないかもしれないです。似てないからこそ、尾崎監督が描くキャラクターは、すごく私のタイプの女の子で、可愛くて可愛くてしょうがなくて、守ってあげたいっていう気持ちは役に持ち続けて撮影していました。

MC:三浦貴大さんにお伺いしたいと思います。そんな真実ちゃん相手にやりがいを引き出していく矢部さんというキャラクターを演じたわけですけど、演じてみて感じることや共通点があったなとかございますか?

三浦:共通点がなくて困ってたんですけど、サラリーマンっていうのを経験してないので、会社に勤めているキャラクターを演じるのはいつも大変なんですけど、今回はゲームを作っている会社の社員で、普段どういうルーティーンで暮らしているのかとかわからなくて、もうそこから共通点がなくて大変だったし……すごいピーって言ってるな(会場にピーと流れている)。

(会場爆笑)

三浦:なんだっけ。

MC:共通点とか苦労したこととか。

三浦:性格的にはこれから観ていただく、門脇さんが演じていた真実の方が近いから(笑)、すごいまじめに働いていて人を外に引っ張りだすようなメンタリティーも僕にはないので、その辺は苦労しましたね。

MC:では真実さんに共感した?

三浦:そうですね。真実みたいな生活が送れたら最高だなって思いますけど。

MC:ありがとうございます。続きまして比留川さんお願いします。今回役をもらったときにどのような印象をお持ちになったのか、分析されていたか教えていただいてもいいですか?

比留川:最初に本をいただいて読んだときに私が演じる役柄はしっかりしていて、自分の意見をはっきり言う強い女性だなという印象があって、結構私も物事をはっきり言うタイプなので、共通している部分があるのかなと思いました。

MC:すごく魅力的で、オープンハートの役ですよね。

比留川:そうですね。思ったことを相手に伝えたりとか、何に対しても前向きに考えられる女性で、私はそこまで前向きではないので、そういうところはいいなって思います。

MC:今回お二人と共演するシーンがあったと思いますけど、どういう印象お持ちですか?

比留川:お二人とも当たり前ですけどすごくしっかりされていて、なんか現場でもすごく楽しそうだなって印象(笑)。

MC:三浦さんと門脇さんは結構現場でお時間あったんですか?

三浦:ありましたかね。結構共演が多いからいつどこで喋ったかわからなくなっている感がありますね。

門脇:私セリフが「・・・。」ばかりだから、私も喋れたら助けてあげられるのにと思いながら、本当に喋れない役だったので、二人のシーンはずっと比留川さんが喋っている感じだったので大変だった?

比留川:大変でした。もともとワーって喋るタイプじゃないので、一人でワーって話している時に、あーいつもだったら逆の立場かもしれないなと思いながら演じていていました。

MC:ありがとうございます。続きまして藤原さん、映画の主題歌を歌われたということですけど、改めてこの映画にご自身の曲が流れてどういう気持ちですか?

藤原:自分で作詞作曲した曲が映画で流れるということが初めてだったので、この作品を最初から最後まで観させてもらって、この映画が初めてでうれしいなっていう気持ちでした。皆さんの演技が素晴らしくて、一人ひとり前向きに毎日生きている姿を見て、私も明日から頑張ろうって思える気持ちになれる映画だったので嬉しかったですね。

MC:藤原さんの曲もたくさんの人に元気を与える、勇気を与える曲が多いと思うんですけども、ヒロインの真実ちゃんのここは理解できるなとか、共感できるなってところはございますか?

藤原:私も絵を描くのがすごい好きだったり、小さいころずっと漫画を描いていたので、模写だったりとかしていたので、そこは似ているなと思った部分でしたね。

MC:人見知りの部分とかは?

藤原:人見知りはないんですけど、愛おしいキャラクターだなと思いました。

MC:いかがですか門脇さん?

門脇:嬉しいです。

MC:出来上がった曲を聴いていかがでしたか?

門脇:曲まであって作品が完成したなっていう思いがありましたね。本編からやってきたものをふわっと昇華させてくれて嬉しいです。

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MC:ありがとうございます。映画のキャッチコピーは「笑顔まで、あと少し。」となっています。皆さんにとっての笑顔になれるものをお聞きしたいと思います。これがあったら落ち込んでいてもご機嫌になっちゃうものをお聞きしたいと思います。まず門脇さんから。

門脇:おいしい食べ物。卵が好きなので、オムレツが目の前に来たら笑顔になります。

MC:すごくスレンダーじゃないですか。結構食べるんですか?

門脇:量はそんなに食べられないんですけど、食べ物は質。量より質派です。

MC:三浦さん共演多いですよね?そういう姿を目撃したしたことは?

三浦:現場ではそんなに。

門脇:家に帰って。仕事中にご飯食べると眠くなっちゃうので家に帰ってから食べています。

MC:三浦さんいかがですか?

三浦:僕も食べ物ですね。焼き鳥が好きなんですよ。しょっちゅう行く焼き鳥屋があるんですけど、いつも一人で行ってたら、そこに来るお客さんほとんどと知り合いになってしまって、そこに行くとおいしい焼き鳥も食べられるし、楽しい会話もできるっていう行きつけの焼き鳥屋ですね。

MC:場所も含めっていうことですよね。

三浦:家にいるとすごく暗いので、たまにはそういうところに行かないと一言もしゃべらない日があるから、いざ仕事場に行ってセリフを言おうとすると喉が…。なるべく意識的に喋るようにしているんで、そういうところに行きますね。

MC:ありがとうございます。比留川さん。

比留川:私も食べ物です。私お肉がすごい好きなのでお肉を食べに焼肉屋さんとか行きますね。ラム肉が一番好きで、ジンギスカン食べにいったりとか、フレンチとか行くと必ずラム肉を頼んで幸せな気持ちになります。

MC:三浦さんみたいに一人で行くのとは違いますよね。

比留川:違います(笑)。

MC:藤原さんいかがですか?

藤原:ここまで来たらもう食べ物じゃないと駄目な雰囲気(笑)。世界で一番牛タンが好きです。牛は見ても可愛いし食べてもおいしい。すごく素敵だなあと思って大好きです。

MC:舌にこだわってるんですか?

藤原:舌にこだわってます。

MC:牛タンは可愛いってことですか?

藤原:牛タンは可愛い、おいしいってことですね。タンが可愛いってことじゃなくて、牛自体が可愛いってことです。おいしいですね、牛タンは。

三浦:別に好きな食べ物発表しているわけじゃない(笑)。

(会場爆笑)

MC:監督はここでなんとお答えなるのか気になりますね。

尾崎:僕はあまり食べ物にこだわりがなくって、映画オタクなんで、とりあえず映画観てればご機嫌ですね。

MC:ジャンル問わずですか?

尾崎:仕事終わったときは疲れているんで、あまり深刻な映画は観たくなくて、単純なアクションものに流れるという感じですね。

MC:ありがとうございます。今皆さんは人前に立つお仕事をしているので、殻を破った先輩だと思います。この映画では、ヒロインが殻を破っていくというのが一つのテーマになっていると思うんですね。そこで自分の殻に閉じこもりがちな人にアドバイスをいただきたいなと思います。

門脇:殻は私も破れてないなと感じつつ、何を殻と定義するか難しいところですけど、破っても破っても殻は出てくると思うので、破れていないことにコンプレックスを感じないことというか。『殻、破れてませんがなにか?』みたいな(笑)、そう思えばちょっとだけ強くなれる気がします。

三浦:殻の破り方って難しいですね。殻って大事なもののような気がしますね。せっかくある……なんで笑い声が混じってるんだ(笑)。せっかく殻があるのでそれをぶち破って出てくるんじゃなくて、上だけちょっと破って出てきて、殻はとっておいたほうがよいのではないかと思います。だって、逃げ場になるじゃないですか。逃げないとか、後ろ向きにならないとか、そんなことは生活の中で必要ないし、逃げても、後ろ向きでも人間はいいと思いますので、ぜひ、殻はとっておいて頂ければなと思います。

門脇:本当に面白いですね(笑)。本当にもう、大好きなので(笑)。

(会場爆笑)

三浦:すごいほめてくれるんですね。こんな話しかしないのに。

MC:比留川さんいかがですか?

比留川:二人の話を聞いてそうだなと思うこともあるんですけど、殻を破りたいって変わりたいとかそういうことですよね。変わりたいとかだったら自分の中で考えるんじゃなくて、いろいろな人と知り合って、色々な事を聞くことで自分の中の世界観とかは変わるのかなと思います。

藤原:私自身も小学生のころから人前で歌うのが夢だったんですけど、家とかでお父さんの友達とかが来たりして歌ってよって言われると歌えなかったりとか。恥かしさが勝っちゃって、こんなんで人前に出られるのかなと、思っていたんですけど、一歩踏み出してみるということは大事なことなんだと思いますね。殻も大事だと思うんですけど、一つ外に出てみると、今までこれが全部だって思っていた世界が開けたりとか、違う場所に立ってみて今まで立っていた場所が全然全部じゃなかったんだなと思うきっかけにもなると思うので、挑戦っていうのは大事なんじゃないかと思いましたね。

MC:ありがとうございました。そろそろお時間になってしまいましたので、最後に門脇さん、映画を楽しみにしている方に一言お願いします。

門脇:さっきも言った通り、尾崎さんが書くキャラクターは愛おしくて愛おしくてたまらなくて、この真実ちゃんを女の尾崎さんだと思って演じたと言いましたけど、つまり私が役に感じている愛情は、私が尾崎さんに感じている愛情と同じで、私が感じている尾崎さんへの愛情がギュッと詰まった映画になっています。この映画を観て、ほっと一息しに来てください。それができたらうれしいなと思います。今日はありがとうございました。

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『世界は今日から君のもの』
7月15日(土)より渋谷シネパレスほか全国公開
監督・脚本:尾崎将也
出演:門脇麦 三浦貴大 比留川游 マキタスポーツ YOU
主題歌:藤原さくら「1995」(スピードスターレコーズ)
製作:クエールフィルム
配給:アークエンタテインメント

STORY 小沼真実(門脇麦)は、高校の頃から5年間引きこもりとなり、自分の部屋で好きな漫画やイラストをひたすら正確に模写することで現実逃避をしていた。父の英輔(マキタスポーツ)と母の美佳(YOU)は離婚し、真実は父との二人暮らし。心配性の父のすすめでゲーム会社のバグ出しの仕事を始めるが、ひょんなことからそのゲーム会社に勤める矢部遼太郎(三浦貴大)が担当するゲームのイラストに手を加えたことで真実の絵の才能が認められる。ある日、遼太郎から「自由に描いていいから」とゲームキャラクターのイラストを頼まれ、彼への仄かな恋心もあり遼太郎の役に立ちたいと描くことに向き合おうとするのだが…。果たして真実は自分の殻を破り、自分らしい一歩を見つけることができるのか?!

Ⓒクエールフィルム