【全起こし】新キングコングはココがすごい!超絶ひげ長新鋭監督のオタクっぷりを樋口真嗣が引き出す!

『キングコング:髑髏島の巨神』の3月25日の公開に先駆けて、これが長編映画第2作となる現在32歳の新鋭のジョーダン・ボート=ロバーツが来日! 2020年にはハリウッド版ゴジラとの対決も予定している本作のキングコングの魅力について、フッテージ映像を交えてたっぷりと解説。さらに『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督がゲストとして登場して、マニアックなポイントを指摘し、監督の想像を超えたオタクっぷりを引き出している。以下その模様の全文。

MC:本日は『キングコング:髑髏島の巨神』本編プレゼンテーションにお越しいただきましてありがとうございます。本日司会を務めますマフィア梶田です。どうぞよろしくお願いいたします。
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MC:キングコング誕生の起源を描くアドベンチャー『キングコング:髑髏島の巨神』。舞台となるのは南太平洋に浮かぶ神秘の島、髑髏島。神話の中だけに存在すると思われていた島が実際にあることが分かり、派遣される遠征隊。驚異と危険に満ちた自然を相手に壮絶な戦いが展開されるなか、映画史上、最も象徴的なクリーチャー、コングの驚くべき真実が明らかになっていきます。主人公の調査隊のリーダー役をトム・ヒドルストン、女性カメラマン役をブリー・ラーソンが演じ、監督はジョーダン・ボート=ロバーツが務めています。暴走アドベンチャー、アトラクション超大作として目が離せない作品です。

本日はさらにこの作品の魅力を知っていただくために、この方にお越しいただいております。ジョーダン・ボート=ロバーツ監督です。どうぞ。

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監督:今日はお招きいただきましてありがとうございます。日本が大好きです。ちなみに焼酎も大好きです。日本は本当に好きな場所の1つでして、皆さんにこの作品をお見せすることができて本当に今ワクワクしております。私は幼少の頃からビデオゲームやアニメや漫画を見ながら育ってきているので、私のDNAの一部になっています。この作品を見て一部の人が「なんでああいうふうに作ったの?」なんて聞かれるんですが、皆さんにご覧いただければきっと納得いくと思います。今までのキングコング映画とだいぶ違うアプローチを取っています。どちらかというと怪獣映画やモンスター映画にインスパイアされて作っているものですので、日本の皆さんにどのように受け取っていただけるのか、非常に楽しみにしております。

MC:ありがとうございます。さっそく監督に伺っていきたいのですが、この作品のオファーが来た時の感想と、撮影への意気込みはどのようにお考えでしたか?

監督:まず感じたことは、キングコングが大好きなのでよしっ!って思ったのですが、ちょっと改めて考えてみてなんで今、もう1本キングコングものを作らなければならないのかという疑問を感じました。今の時代は映画などがたくさん出てきているので、いかに特別な作品を作るかがポイントになると思うんですね、お客様は目が肥えていますから。ですから“金儲けのために作ってる”ということであればすぐに感付かれます。そういったなかでどのように、今までと違う特別なものを作るのか、そしてどのように観客を引き込むのか、つまりは自分、あるいは、自分だったらどういう映画が見たいのか、友達にどういう映画を見せたいのかに尽きると思うんです。そういうことを考えてワクワクしながら今回の作業にあたりました。

MC:さて、これから皆さんには作品の魅力が詰まったフッテージ映像をご覧いただきますが、監督からご来場の皆さまにこれからご覧いただくシーンの紹介をしていただけますでしょうか。

監督:今日お見せする映像は誰よりも先駆けて皆さんにご覧いただくことになるので、私も非常にワクワクしております。最初にご覧いただくシーンは、映画のオープニングの部分で僕がパッと思い浮かんだ情景をそのまま映像にしているんですけれども、「キングコング」に刀を登場させてみてはどうかということで、今回こういうシーンになりました。舞台は南太平洋になりますが、いつまでもモンスターが登場するのに待たせる映画はあまり好きではないんですね。なのでいきなり登場、これはキングコング映画なんだからということで、いきなりコングを登場させようということで、いきなり出てきます。

そのあとすぐに次のシーンをご覧いただきますが、これも早々から想像していたシーンで、スタジオに対してもこういう方向で行きたいというのを語った1つのシーンなんですけれども、まず時代設定は1970年代にするということで非常に『地獄の黙示録』っぽいというか『プラトーン』っぽいというか、ナパーム弾登場します、ヘリ登場します、そこにモンスターも登場しますというシーンになるわけですが、後ろのほうで太陽がさんさんと照っていて、キングコングのシルエットがあって、そこにヘリが飛んでいるという非常にこの映画の中でも非常に象徴的なシーンになります。何よりもこの映画ならではのアクションシーンを撮りたかったのでほかの映画ではキングコングがヘリをやっつけるみたいなことはないわけですから、この映画ならではのシーンになります。皆さんご覧いただくのは世界に先駆けてになります、キャストもトム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソンと豪華なキャスト陣になっています。非常に面白いアベンチャーになると思うので、ぜひご堪能いただきたいと思います。

MC:それでは今、ご紹介していただいた2つのシーンをご覧いただきます。どうぞ。

(ここではフッテージ映像の一部も含まれる予告編をどうぞ)


(実際のフッテージ映像では、映画の舞台である1970年代より以前、第二次大戦時、“サムライ・ギタリスト”MIYAVI扮する日本兵と米兵との死闘のシーンと、予告編にも登場する、コングが飛ばした木がヘリに突き刺さるシーンなど)

MC:皆さま、拍手ありがとうございます。では監督に改めてお伺いします。今回のコングはすごく大きく感じられるのですが、31.6mという大きさに設定した利用を聞かせていただきますか。

監督:これをご覧になる皆さん、大体の反応は、「要はゴジラと戦わせてたいからこれだけ大きくしてるんでしょ?」とよく言われるんですが、そういうことではないんです。まず1つ考えとしてあるのは、1933年の『キング・コング』に限定回帰をしたいというのがあって、ですので、動物というよりも2足歩行をするモンスターになっているわけです。それともう1つは、ゴジラと対決させるため以外にも理由がありまして、人間が見上げたときにこれは“神”だと思わせるサイズがどれほどのサイズなのか。それを意識して作っています。人間が見上げたときにこれは獣だとか猿だとか巨大ゴリラだって思わないわけですね。まさに神だと思わせるそういうサイズ感にしているわけですけれども、もう1つ意識したことは、「ワンダと巨像」(「Shadow of the Colossus」英題)というゲームがありまして、そこに感じられる威厳だとかパワーだとか恐怖だとかを感じられるように意識して作っています。見上げたときに崇拝していいのあ、あるいは殺すべきなのかわからなくなってしまうような、そういうサイズ感を意識しています。

MC:ちょうど今朝、MIYAVIさんが本作に出演することが発表されましたが、先ほどのフッテージにも登場した日本人戦闘機パイロット、イカリ・グンペイ役としてMIYAVIさんが出演されることになった経緯と理由をお聞かせいただけますか?

監督:冒頭のビーチのシーンで登場するわけですが、これかなり大掛かりな撮影でして、ベトナム、オーストラリア、ハワイをまたいでの数カ月間に及ぶ撮影だったので、とても俳優のスケジュールを確保できないので、最初はスタントマンを起用しようかと考えていました。そういったなかで誰かがMIYAVIさんにお話ししみたらどう?と薦めてくれたんですね。私は元々MIYAVIさんのファンではあったんですが、この数カ月間に及ぶ壮大な撮影にとても付き合ってくれないだろうと思っていたのですが、このシーンのポイントは、2人の人間が敵国同士で互いを殺さなければならないという死闘を繰り広げていくなかで、巨大なモンスターが現われるわけですよね。人に言われて人を殺さなければいけないとい人間同士の些末な抗争がどうでもよくなるという、ひとつの象徴的なシーンなんですけれども、こういう話をMIYAVIさんにしたら非常にいい反応を示してくれてですね、だいぶ長期間に及ぶ撮影だったんですが、お付き合いいただけることになりました。2人で話していてどんどん盛り上がっていきました。

MC:それでは次にご覧いただくシーンについて紹介いただけますか。

監督:このあとクリップをもう2つご覧いただきます。舞台は髑髏島ですが撮影はベトナムでした。ベトナムは荒々しくも美しく、そしてちょっと怖いような、そういう光景のところなんですけれども、ちょっとベトナムならではの、ほかにはない光景を捉えています。さまざまなクリーチャーが出てきます。とても美しいんだけれども殺されるかもしれないという恐怖に登場人物たちが苛まれるわけですが、それが1つ目のクリップ。そして2つ目のクリップの冒頭は、モンスターたちの墓場で死闘が繰り広げられるわけですけれども、このシーンも企画のかなり早い段階で頭の中にあった構想なんですけれども、ベトナム戦争時代の兵士たちや巨大な骸骨だったり、骨が散らばっているようなところで戦ってほしいと思ってあのシーンを作っているんですけれども、なんの骸骨かというとキングコングの両親が殺された残骸なんですね。そういうシーンをご覧いただきます。ご堪能ください。

MC:それではこちらをご覧ください。

(フッテージの代わりにIMAX版特別映像をどうぞ)


(1つ目は、巨大なバッファローのような獣やこれまた巨大なクモのようなものが登場。どちらも予告編でちらりと姿が見られる。2つ目の方では同じく予告編にも登場する巨大トカゲのようなモンスターとの死闘シーン。なかなかいい感じにグロい、迫力満点のシーンに仕上がっている)

MC:さぁ皆さまいかがだったでしょうか。

(拍手)

MC:先ほどご覧になっていただいたフッテージもそうですが、恐ろしくも迫力のあるシーンばかりでしたね。そして今ご覧いただいたシーンに登場した今回のクリーチャーについて、日本のアニメからインスピレーションが浮かんだり、影響を受けた部分はございますか?

監督:クリーチャーたちをどういうデザインにするかはいろいろ考えまして、まず意識したことはこの髑髏島に登場するクリーチャーたちは、恐竜のようにはしたくないなと、それはもう皆さん散々見てきているので。あとエイリアンっぽいのもちょっと嫌だなと思ったのでそういうのは避けました。それで今皆さんにご覧いただいた水牛のようなバッファローと蜘蛛が登場しましたが、この2つのクリーチャーを決めて、髑髏島に登場するクリーチャーたちはこういう雰囲気でなければならないという1つの答えにたどり着いたわけですけれども、ポイントとしては宮崎駿監督の作品に出てくるようなもの、つまり非常に精神性があって、そして美しく、パワフルで重みがあって恐ろしいと、そういういろんな要素が混ざっているものにしたかったわけです。というわけでここに登場するコングもモンスターらしさを出したかったというか、いわゆる“映画の中のモンスター”にしたかったので、動きもかなり大げさなものにしているわけですけれども、ハリウッドはやたらリアルで写実的なものにこだわるんですけど、今回はもっと誇張したスタイライズされたものを意識して作りました。コングがこの髑髏島の神であるならば、ここに出てくるクリーチャーたちもそれぞれの領域において神的な存在であるということを意識して作っています。

それと最後にご覧いただいた骨が散らばっているシーンですが、これは1933年版の『キング・コング』から取っていて、キングコングが丸太を動かそうとするところを下からクリーチャーが登場するんですけれども、1933年版で唯一、いわゆる恐竜ではない怪物だったわけですね。なのでそこからヒントを得ています。顔は白くて皮膚は黒いわけですが、見てみるとこの白と黒のミックスが『千と千尋の神隠し』のカオナシとか、「エヴァンゲリオン」最初に登場する白い髑髏みたいな顔のキャラクターを彷彿させるものなわけですけれども、非常に製作費の掛かった怪物になりました。

MC:なるほど。髑髏顔の人はサキエルのことですかね?

監督:はい。

MC:キングコングやほかの怪獣たちも見どころのようで非常に楽しみです。さて、これまでは「キングコング」の最新作についてお話が聞けましたが、ここでもう1人ゲストをお呼びしたいと思います。ハリウッドが生んだ巨大モンスターが巨神キングコングならば、日本が生んだ怪獣と言えば、そう、怪獣王ゴジラ。昨年大ヒットした『シン・ゴジラ』で監督を務められた樋口真嗣監督です。皆さま盛大な拍手でお迎えください。
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MC:樋口監督、よろしくお願いします。

樋口:こんにちは。怪獣好きなので、怪獣好きとしていち早くこれが見られるということで、予想にたがわぬ『地獄の黙示録』っぷりっていうんですか。これ宣伝部的にOK? (逆光で)見えないからOKか(笑)。

MC:先ほど話題にも出ました(笑)。

樋口:やっぱり、僕らは怪獣映画を卒業したら『地獄の黙示録』という世代なんで、その2つの大好物だけでできているという、今のを見ただけでおなか一杯という。さらにそのあとにまだまだあるということで楽しみでなりません。

MC:樋口監督と言えば、『シン・ゴジラ』が第71回毎日映画コンクール日本映画大賞、ブルーリボン賞2017作品賞、2016年のぴあ映画生活ユーザー大賞など、数々の映画賞を受賞したこと、本当におめでとうございます。

樋口:怪獣映画がね社会的に認められたということは本当に、この映画も大腕を振ってですね、皆恥ずかしがらずに映画館に来てほしいなと思います。

樋口:ちなみにさっきの「Shadow of the Colossus」っていうのは「ワンダと巨像」ですからね。監督がイメージしてた「Shadow of the Colossus」というのは、日本の上田文人さんが作った「ワンダと巨像」というゲームで、これは霧の中に巨人が出てくるので確かに同じだなって。

MC:いやー実に渋いチョイスだなって聞いてました。

樋口:だって“グンペイ”ですからね。

MC:えぇ“グンペイ”ですもんね。

樋口:さっきのフッテージで最初に出てくる日本人パイロットの名前はイカリ・グンペイで、まぁイカリはほっといて、イカリは言うまでもないので(笑)、“グンペイ”ですからね。なんで“グンペイ”を知ってるんだ!っていう話ですよね。
「エヴァンゲリオン」の主人公・碇シンジ

MC:やはり横井軍平さんのことですかね?
ゲーム&ウオッチやゲームボーイの開発に携わったゲームクリエイター

監督:そうです。それを指摘くださったのは初めてなんですけれど、本当に幼少の頃から触れてきたいろんなオタク的要素をふんだんに盛り込んだでいるわけです今回の作品に。おっしゃる通り“グンペイ”は横井軍平さんで、ゲームボーイのクリエイターと「エヴァンゲリオン」からインスパイアされたものになっています。「エヴァンゲリオン」だけでなくて、例えば任天堂の宮本茂さんはじめ、そういった人々にもインスパイアされているわけですけれども、そういった要素がたくさん入っているわけです。

樋口:というように“ホンモノ”ですから。ちなみにあの“サイズミック・チャージ”ってボッコン、ボッコン、ヘリから落としていた“サイズミック・チャージ”って、“サイズミック・チャージ”?(笑)。
「スター・ウォーズ」シリーズに登場する架空の兵器、爆弾

監督:“サイズミック・チャージ”はそうですね(笑)。爆弾というかそのままなんですけど、要はベトナム戦争っぽさを出したかったというか、ボンッ!と爆発がいっぱいあって、悲しくもありちょっととち狂ってもいるし、だけど見入ってしまうような光景を作りたかったというのもあって、これはストーリー上大事なポイントになっていくわけですけれども、それは作品を見てのお楽しみということで。“イカリ・グンペイ”に関しては、樋口監督に作品をご覧いただくと知ったときに、どういうふうに反応されるんだろうってちょっとハラハラしました。

MC:かなり盛り上がっていますが、質問に入りたいんですが、樋口監督、フッテージ映像をご覧になっていかがでしたか?

樋口:僕はいろんな「キングコング」があっていいと思うし、初代、(ジョン・)ギラーミン、そしてPJ(ピーター・ジャクソン)、そして今回のと、あ、その間にあれだ、我々の大先輩である円谷英二先生が作られたキングコングが2体ばかりいますけれども。今回見てすごいなって思うのは、なんか昔っぽいんですよね。最初の(特殊効果クリエイターのウィリス・)オブライエンが作った人形アニメっぽいプロポーションをしていて、ピーター・ジャクソンのやつってどちらかというと大きなゴリラだったのが、今回、キングコングになってるんですよちゃんと。巨大なゴリラというだけではなく、どちらかというとリック・ベイカーっぽい。あれシーンとしちゃった。誰もついてこれない(笑)。

MC:大丈夫です。皆分かってます(笑)。

樋口:リック・ベイカーっぽいんです。ギラーミンの『キングコング』(’76)のちょこっとしか出てこない着ぐるみ版というのがあって、それにすごく似ていて、これで大暴れするのもっと見たかったって。そのあと『キングコング2』というのがあって、それは結構着ぐるみで大暴れするんですけど。その延長上にある、さらにそれを巨大感とかをうまくやっているのを、再現したのが今回なんではないかなと。私はちょっと極秘資料をですね取り寄せまして、ってインターネットで調べただけなんですけど、今回特撮がI.L.M.なんですね。I.L.M.でCGとかアニメーションを全部やってるんですけど、その中に1人だけすごい名前を見つけてしまったんですよ。アディショナル・ビジュアル・エフェクトという要は追加でビジュアル・エフェクトを担当している人ですが、それがジョン・ダイクストラなんですよ! 分かります?この「えっ!!!」っていう感じ。誰も分からない?

MC:大丈夫です。皆さん映画関係者ですから(笑)。

樋口:本当ですかね。俺は「何っ!?」なんですよ。どのぐらい「何っ!?」かっていうと、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のあとに『宇宙空母ギャラクティカ』を作って、ジョージ・ルーカスの逆鱗に触れて出入り禁止になったI.L.M.に、何とあのジョン・ダイクストラが戻って来たんですよね! たぶん40年ぶりぐらいに。俺の資料が間違いなければ、出入り禁止のはずがついに戻って来たんですよ。捲土重来というかね。シーンとしちゃったな。。

MC:いや素晴らしいですよね。こゆいトークをありがとうございます。

樋口:本当にすごいことなんです。ジョン・ダイクストラですよ! 「スター・ウォーズ」の1作目を作ったあのジョン・ダイクストラが! この前ギャレス(・エドワーズ)版の『GODZILLA ゴジラ』も追加でビジュアル・エフェクトをやっていたり、『スパイダーマン2』をやっていたり、ちょいちょい活躍はしているんですけれども、何と言ってももう70歳近い彼と一緒に仕事ができてうらやましいです。長すぎましたね。

MC:いえいえ、そして怪獣映画としてとても完成度の高い本作ですが、ここでですね、本作の日本版ポスターについてお話を伺いたいのですが、まずそのポスターをご覧いただきましょう。
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樋口:やはりワーナーさん分かってますね。日本版を作るという、『マッドマックス2』以来の伝統を、分かってますね~。

MC:素晴らしいですね。

樋口:私ちょっと極秘情報でこれも聞いちゃったんですけど、(ポスターの中に)すごいネタバレがありますね。

MC:こちらのポスターは「ゴジラ」シリーズや「ウルトラマン」シリーズなどの怪獣を描き続けている怪獣絵師、開田裕治さんが手掛けた作品です。開田さんには本日この会場にもお越しいただいております。さぁロバーツ監督、完成した日本版ポスターをご覧になっていかがですか?

監督:本当に素晴らしいポスターですよね。映画づくりって、僕は監督をやっているわけですけれども、本当に時間の掛かる作業だし、孤独な作業だし大変なんですけれども、たまにこういうとてつもなく素晴らしい瞬間があって、そういった大変だったことをすべて忘れてしまうような瞬間があるわけですけれども、このポスターはその瞬間のひとつですね。死ぬまで壁に飾りたいと思えるほど素晴らしいポスターだと思いますね。自分の作った映画が誰かをインスパイアしてこうやって別の物ができるというのは、僕としても非常に嬉しいことで本当に、信じられないくらい素晴らしいです。ありがとうございます。

MC:樋口監督はいかがでしょうか。

樋口:いやーもう、今見たフッテージに出てこない生き物が1匹いますよね、なんか(笑)。しかも日本人にとってコングと言えばこいつでしょみたいな。これ開田さん勝手に描いちゃったとか。

開田:違います。リクエストで(笑)。

樋口:リクエストで。ってことは出てくるってこと?

MC:それ以上はちょっと(笑)。

樋口:なんかいますよね1体。本当に好きなんですね。嬉しいですね。

MC:ここまで伺っただけでも話題の多い作品でまだまだお話は尽きないのですが、残念ながらお時間となりました。この作品への期待を込めて、まず樋口監督からメッセージをお願いします。

樋口:僕も皆さんと立ち位置としては同じで、個人的にワーナー・ブラザースさんは年に1回素晴らしい映画をご案内してくれて、『パシフィック・リム』『ゼロ・グラビティ』『インターステラー』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と。去年はなんか誘ってくれなかったんですけど(笑)。今年は2年分の大好物を僕に、僕だけじゃないですけど、ありがとうございます。こういう映画がどんどん、去年は“うちの子”にお客さんが来てくれて本当に良かったんですけど、これは言ってしまえば正統派の怪獣映画の予感が致します。怪獣映画でありながらベトナム戦争映画としてもですね、しかもそこに貫かれる監督の美学と言いますか、映画ってこういう感じだよねっていうところの、非常に僕はシンパシーを感じます。こういう映画を1人でも多くのお客さんに、特にデカいスクリーンの映画館で見ていただけると嬉しいなと思います。皆さん応援よろしくお願いします。

MC:さぁそしてロバーツ監督、これは聞いておきたいのですが『シン・ゴジラ』をご覧になられたそうですが、感想をお伺いしてもよろしいですか。

監督:大傑作でした。大好きでした。『シン・ゴシラ』で樋口監督が成し遂げたことを、まさにこの映画でもやろうとしていて、『シン・ゴシラ』は「ゴシラ」映画をさらに新しく面白く、いかに今までと違うものにしていくかというのがポイントだったと、僕はそう思いましたし、それと非常に日本っぽいですよね。そこもすごくツボでした。官僚主義の縦割り行政のアホらしさが、プラス、モンスターの要素が入ってくるというのが非常に今までにはない新鮮さを感じましたし、今の時代に作るべき「ゴジラ」だと思いました。監督の“声”というか、エネルギーを感じられる、そういう映画だと思いました。繰り返しになりますが、どうしようもないフラストがたまっている、うまく政府が動けない感じ、何も出来なさが本当に今に時代に響くものだと思いますね。ホンモノの映画だし、それにモンスターが登場するというそういう映画だなと思いました。

MC:では改めましてロバーツ監督、これから本作をご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。

監督:皆さんにこうしてお見せすることができて大変光栄です。日本のこと大好きですし、日本の文化も大好きです。この映画は日本の文化から大いにインスパイアされて作った映画です。そして、何よりもなぜ2017年にこういう「キングコング」映画を作らなければならないのか、そういうことを意識して作っているのと、なぜ人々は映画館へ映画を見に行くのか、ということも意識して作っています。というのも今、なかなか映画館に足を運ばなくなりましたからね。『シン・ゴジラ』がそうであるように、この映画はこの映画で独立した映画ですけれども、モンスターを登場させることによって、よりメッセージ性を帯びたものになっています。とにかく面白い旅になっていると思いますので、早く日本の皆さんにご覧いただきたいと思っています。

MC:ありがとうございました。

2017年2月7日(火) 新宿ピカデリー

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フォトセッションで撮影しているとロバーツ監督と樋口監督が…
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客席にいた開田さんを手招きして呼び寄せ…
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一緒に撮影。

最後に特報をどうぞ。


『キングコング:髑髏島の巨神』
2017年3月25日(土)公開
監督:ジョーダン・ボート=ロバーツ 出演:トム・ヒドルストン ブリー・ラーソン サミュエル・L・ジャクソン ジョン・グッドマン ジョン・C・ライリー
配給:ワーナー・ブラザース

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