【全起こし】※ネタバレ注意!!『哭声/コクソン』ナ・ホンジン監督来日! 6年かけてすべてを注ぎ込んだ作品 

MC:ありがとうございます。今日は立ち見のお客さまもいらっしゃいますね。では、さっそくQ&Aにいきましょうか。トップバッターをきってくださる方、いかがでしょうか。

Q:素晴らしい映画をありがとうございました。すでにリドリー・スコット監督の製作会社からリメイクのオファーが入ったということで、韓国サイドの代表の方が、「この題材を撮れるのはナ・ホンジン監督以外いない」ということを明言されたそうなんですが、もしナ・ホンジン監督にハリウッドのリメイクのオファーがきたら、もう一度本作を撮ろうと思われますか? その際、國村隼さんは起用されますでしょうか。また、國村隼さんはハリウッドのリメイクのオファーがもし入ったらどうされますか?

監督:スコット・フリー(リドリー・スコットらが立ち上げた映画製作プロダクション)から連絡があったということは聞きました。たぶん代表の方は、演出できるのはナ・ホンジンしかいないと冗談で言ったと思います。でももし自分に依頼が来たとしても、リメイク版を演出するつもりはありません。でも國村さんはこの映画にとってかなり重要な方で必ず必要になると思うので、オススメしたいと思います。

國村:あのオススメされてもナ・ホンジンがメガホンをとらないのであれば、私もやることはたぶんないんじゃないかなと思います(笑)。

監督:では、両方ともしないことに。

MC:ここでやんわりお断りが入ったということで(笑)。続いて質問のある方、どうぞ。

Q:これまでのナ・ホンジン監督の『チェイサー』や『哀しき獣』といったどちらかというと社会派サスペンスみたいな作品と、今作は違ってオカルトというか、、ちょっと表現しにくいんですけど、元々監督はどちらがつくりたいものだったんでしょうか。

監督:この『哭声/コクソン』という映画は、前の2作品をやった後に、もう少し自分らしく自由にやりたいようにつくりたいという意欲が高ぶったときにつくった作品なので、自分のスタイルのままつくった、自分がやりたいことにより近い作品だと思います。

MC:ありがとうございます。ほかにご質問ある方。

Q:今回、ナ・ホンジン監督が國村さんを起用された一番の理由というのはなんだったんでしょうか。日本でも非常にベテランの俳優さんで悪役も含めいろんな役をやられていますが、決め手になったのはどこだったんでしょうか。それと國村さんは、ナ・ホンジン監督の現場で一番印象的だったところはどこでしょうか。

監督:シナリオができあがったときに、日本人の俳優が必要だということになりまして、國村さんと同じくらいの年齢の俳優さんをたくさん調べました。もうすでに國村さんの存在は存じ上げておりまして、ずっと尊敬していた俳優さんではあるんですが、この機会に出演作品をたくさん見ているうちに、特徴を見つけまして、カットごとに自分の演技だけで編集されつくしているような演技をされているのが、とても印象的でした。カットの中で自由に演技をしているところがとても素晴らしいと思ったんです。この『哭声/コクソン』の中で“よそ者”という役は、お客さんに「この人物はどういう存在なのか?」という疑問を投げかけるとても重要な存在になるんですね。その役をやり遂げることができるのは、國村さんしかいないと確信を持って、日本に来てオファーをさせていただきました。

國村:私は、最初にオファーいただいたときに彼の前作『チェイサー』と『哀しき獣』を観て、そしてもちろん本作の脚本を読ませていただいて、もうその段階でこのナ・ホンジンという人は、とんでもない才能だなと実感しながら。で、いざ現場に入り一緒に撮影という作業をしていく中で、その最初に思っていた以上に、この人は本当に才能の塊がそのまま人の形をしているような人だな、っていうのが現場であるテイクを撮っていて、この人は、なかなか終わらないです。というのもひとつテイクを撮って、そのテイクから今度は次にその基本ビジョンにプラスした新たなイメージが、たぶんドンドンと出てくるタイプの方で、どんどん自分のその膨らんでいくイメージをもっともっともっとと。現場ではテイクを重ねるということが本当に多かったです。ただ、むやみやたらに重ねるんではなく、そうやって自分の中のイメージの広がり、そこがまずすごい才能だと思うんですけど、それを現場で目の当たりにして、やっぱりスゴイ! 想像以上だと思いました。

MC:続いてお願いします。

Q:昨年ソウルで『哭声/コクソン』を観させていただいて、朝一で観たんですけれども、その日1日、ちょっとブルーな気持ちに、、なってしまって(笑)1日を過ごしたんですけれども、今回ちょっと方言が難しくて、(そのときは)あまり理解が出来ていなかったんですけれど、今日観て、さらにまたブルーになりました。私はファン・ジョンミンさんのファンなんですけれども、現場でのエピソードがありましたら教えてください。

國村:ファンさんとは、画面の上ではやりやったりしていますが、撮影現場で一緒に過ごしたのはそんなに回数ないんですね。でもその短い中で、、韓国の役者さんって彼に限らずですが、映画という世界に行くまでにものすごくいろんなスキルを重ねてらっしゃる。で、彼もそれにもれず、学生時代に演劇というものを始め、それから舞台という世界に入り、で映像の世界に行くまでにいろんな経験を重ねて、だから当然のごとく経済的にもとっても苦労したんだという話を聞いて、あぁなんか日本の役者の事情なんかとよく似ているなと、面白いなどこでも一緒なのかと思って。ファンということでご存知だと思いますが、韓国で大スターですよね、彼は。でも全然おごるところのない、本当にいろんなキャラクターをやられますけれど、今回のキャラクターもそうですけど、特にファンさん自身の物事に対する真摯な人柄みたいなものが、チョッチョッと出てくる。だからそのまんまの人です、あの方は。

Q:あと監督に、(今作に限らず)キャスティングする基準が何かあればお伺いしたいです。

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監督:一番その役にふさわしい役者を選びます。各俳優さんたちのバランスも重視するところです。それくらいが自分の原則と言えるところです。先ほどの(國村とファン・ジョンミンとの)エピソードについて補足を入れますと、國村さんとファン・ジョンミンさんが、映画の中で会うシーンはほとんどないですね。ないと言っても過言ではないんですけど、元々1シーンだけ2人が会うシーンがあったんですけど、それすらも自分が編集の過程でカットしたので映画の中では、2人が会うシーンはなかったと思います。

MC:ありがとうございます。他にいらっしゃいますか?