突然訪れた長男の死によって巻き起こる家族の混乱と再生を、ユーモアをまじえつつあたたかく描いた映画『鈴木家の嘘』が、11月16日より公開される。このほど、鈴木家の長女・富美を演じる木竜麻生の新体操シーンを収めた本編映像がお披露目となった。
本作は、『滝を見にいく』(沖田修一監督)、『恋人たち』(橋口亮輔監督)、『ピンカートンに会いにいく』(坂下雄一郎監督)などを生み出してきた松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画プロジェクト第6弾。ひきこもりだった長男・浩一の突然の死により、ショックのあまり記憶を失った母のため、遺された父と長女は一世一代の嘘をつく。
本作のヒロイン、鈴木家の長女・富美を演じる木竜は、ワークショップを経て400名の応募者のなかから選ばれた。ワークショップで野尻克己監督から「なにか自分を表現できるものを見せてほしい」と言われた木竜は、小学校から中学校まで続けていた新体操をチョイスし、リボンの演技を披露したという。ワークショップを経て富美役に木竜を抜擢した野尻監督は、それまで大学の陸上部員という設定だった富美を新体操部員に設定し、脚本を書き直したという。また、オリンピックを目指す選手たちが揃うほど国内屈指の名門校として知られる国士舘大学に協力を依頼し、木竜は映画の撮影開始まで4ヶ月にわたって同大学の山本里佳監督の特訓を受けた。新体操日本代表コーチを務めたこともある山本監督は、木竜の努力を絶賛。国士舘大学は、本編で登場する体育館での体操シーンや学内シーンでもロケ提供で協力している。
本編映像は、富美(木竜)が新体操を練習しているシーン。兄・浩一(加瀬亮)を失い、ショックで倒れた母・悠子(原日出子)がまだ意識を取り戻していない中、練習に励む富美。華麗に演技をこなしていくが、どこか心ここにあらずといった表情で、色々な感情が渦巻くなか思い切った演技が出来ない様子からは、富美の感情を表に出さず抑え込んでしまう性格が表れている。
■山本里佳監督(国士舘大学女子新体操部) コメント
野尻監督と木竜さんに初めてお会いしたのは2017年の11月でした。それから木竜さんの新体操漬けの日々が始まりましたが、一流選手だけが持ち合わせる素直さと、飲み込みの速さ、努力の姿勢がありました。私は木竜さんという最高の選手に出会えたことを新体操の神様に感謝しています。
『鈴木家の嘘』
11月16日(金) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督・脚本:野尻克己
音楽・主題歌:明星/Akeboshi「点と線」(RoofTop Owl)
出演:岸部一徳 原日出子 木竜麻生 加瀬亮 岸本加世子 大森南朋
配給:松竹ブロードキャスティング、ビターズ・エンド
【ストーリー】 あまりにも突然に訪れた長男・浩一の死。ショックのあまり記憶を失った母のため、遺された父と長女は一世一代の嘘をつく。ひきこもりだった浩一は、扉を開けて家を離れ、世界に飛び出したのだと―。母の笑顔を守るべく奮闘する父と娘の姿をユーモラスに描きつつ、悲しみと悔しみを抱えながら再生しようともがく家族の姿を丁寧に紡ぐ感動作。
©松竹ブロードキャスティング