日本のワインを世界レベルに引き上げたワイン界の先駆者・麻井宇介の思想を受け継ぎ、日本ワインの常識を覆した革命児たちの実話を映画化した『ウスケボーイズ』が10月20日より公開となる。それに先だち、10月2日、東京・スペースFS汐留にて完成披露舞台挨拶イベントが行われ、渡辺大、出合正幸、内野謙太、竹島由夏、伊藤つかさ、柿崎ゆうじ監督が登壇した。
ワイン造りに苦悩する実直な青年・岡村役で、マドリード国際映画祭2018外国語映画部門最優秀主演男優賞を受賞した渡辺は「時差ボケと初スペインで浮かれてしまって、ワインをしこたま飲んでしまった。だから受賞の時はボンヤリしたままで、ドッキリというかビックリしたような感じだった」と受賞の瞬間を回想。マドリード国際映画祭のほか、アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭でも主演男優賞を獲得したが「M-1の優勝みたいに次の日に凄く仕事が増えたというわけでもないので、粛々と毎日を楽しく過ごしています」と笑わせた。
柿崎監督は「大さんの名前が呼ばれた時は、みんなでバンザイをした。その後に作品賞も発表されたけれど、噛みしめる時間があったので、そこは地味に喜びました。でもこんなにありがたいことはないですね」と快挙に喜んだ。今回の映画化にあたっては「国産ワインを飲んだときに、あまりの美味しさに驚いた。その時に“これは!”と思って原作に出会い、映画化しようという思いにかられた」と製作過程を振り返った。
キャスト陣はそれぞれ実在の人物を演じている。モデルの人物と実際に会った渡辺は「岡本さんは自然と向き合う寡黙な方で、感情の幅が広いわけではないが、ワインに対する熱量を静かに見せてくれる人。撮影で実際の畑も使わせてもらい、カメラの横では岡本さんが実際に作業する姿もあった。それがいい教材になった」。城山を演じた出合は「2時間くらいお話しする機会があり、寡黙なイメージとは裏腹に凄くお話をしてくれる真面目な方だった。実際にブドウを栽培されている畑で撮影した時は緊張した」と語った。
内野は「皆さんが大事に育てているブドウを触るのは怖かった」とホンモノならではの緊張があったようで、竹島も「畑の葉っぱなどを無造作によけなければならず、力の入れ具合に苦労しました」と同調。すると渡辺は「といいつつも、みんな本番になるとズケズケやったよね」とぶっちゃけて一同爆笑となった。
また映画にかけて「既存に囚われずにチャレンジしたいこと」を聞かれた渡辺は「M-1で優勝すること!」とボケつつ「ワインの思いは紡いでいきたいので、ワインエキスパートの資格を取りたい」と宣言。内野は「大君のように主演男優賞をとる!」、竹島は「いつかは自分でワインを作りたい」、伊藤は「20、30年熟成したワインを飲めるよう、健康体を作りたい」、柿崎監督は「色々なジャンルの映画を作る」、出合は「台本を破り捨てるくらいの大胆な役者になりたい」とそれぞれ挑戦を口にした。
最後に柿崎監督は「映画を通して日本ワインの隆盛をみてほしい」とアピールし、渡辺は「映画を観て終わりではなく、家に帰ったときにワインを片手に語らってもらえると嬉しい。そしてもっと国産のワインが日常的に飲まれるような文化が定着すればいい」と期待を込めた。
『ウスケボーイズ』
10月20日(土)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督:柿崎ゆうじ
出演:渡辺大 出合正幸 内野謙太 竹島由夏 金子昇 寿大聡 須田邦裕 上野なつひ 升毅 萩尾みどり 清水章吾 岩本多代 柴俊夫 田島令子 小田島渚 大鶴義丹 柳憂怜 伊吹剛 和泉元彌 伊藤つかさ 安達祐実 橋爪功
配給:カートエンターテイメント
【ストーリー】 岡村(渡辺大)、城山(出合正幸)、伊藤(寿大聡)、上村(竹島由夏)、高山(内野謙太)は「ワイン友の会」の仲間で、集まっては世界中のワインを嗜んで蘊蓄を語り合っていた。ある夜、日本のぶどうを使ったワインがフランスワインより美味しいはずがないと決めつけていた彼らは、仏vs日本ワインでブラインドのテイスティング会を開催する。予想は外れ、世界に通用する「桔梗ヶ原メルロー」の存在を知った彼らは、この世界レベルのワインを生んだ麻井宇介(橋爪功)に憧れ、ワイン用のぶどう栽培は困難と言われたこの日本の地で麻井の思想を受け継ぎながら常識を覆すワイン造りに没頭していく。しかし、ぶどう畑は大雨・雹・病害などに見舞われ…。果たして、日本のワインに革命を起こすことはできるのか?
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