映画『TOKYOタクシー』の大ヒット御礼舞台挨拶が行われ、主演の倍賞千恵子、木村拓哉、蒼井優、そして監督の山田洋次が登壇。公開初週で実写邦画40週ぶりの初登場1位という快挙を記録した本作への反響と、撮影秘話、そしてファンへの深い感謝が語られた。 

熱気に包まれた会場で、主演の倍賞千恵子は「今日はこんなに沢山の方に来ていただいて本当に嬉しく思います」と、感無量の面持ちで挨拶。続いて木村拓哉は、大ヒットの反響を受けてこう語った。「皆さんに“観てくれてありがとう”と声を大にして言いたいです」「今回ばかりは、普段連絡をくれない方からもたくさんメッセージをいただきました。皆さんから頂いた“ありがとう”の言葉が、とても印象に残っています」背後に掲げられた観客コメントの中でも〈にわか雨のように泣く〉という言葉が気に入ったという木村。「感情が反射のように動く作品を残してくれた監督のおかげです」と語ると、山田監督が「そんなことありませんよ」と照れ笑いし、会場は和やかな空気に包まれた。

蒼井優は、周囲から届いた感想の中に「誰かの役に立ちたいと思った」という声があったことを紹介し、「本当に嬉しかった」としみじみ。さらに山田監督は、自宅ポストに入っていた“黄色いカード”のエピソードを披露。観客として鑑賞した警察官から届いた感謝のメッセージに、思わず派出所へお礼を伝えに行ったという心温まる裏話に、客席から大きな拍手が上がった。

観客からの質問に直接答える人気企画も実施。「山田組の現場は？」の質問に、木村は「時間のかけ方が本当に贅沢。現場を出る時に“早く帰りたい”と思った日は一度もない」と語り、山田組特有の丁寧なものづくりを絶賛。蒼井も、「この現場と作品への愛情を疑う余地がない」と安心と幸福に満ちた撮影だったことを明かした。「乗ってみたいタクシーは？」に、倍賞は自身の震災時のエピソードを交えながら、「運転手さんが自分の話をしたかったのかもしれない、とこの作品をやって思った」と語り、木村は「タクシードライバーの方が仕事の合間に観てくれたのが嬉しかった」と感謝を述べた。

最後に木村は観客へ向け、「またいつでも乗りたくなったらご乗車をお願いします」と、作品の“タクシー”になぞらえた温かなメッセージで締めくくった。

■作品情報
タイトル： 『TOKYOタクシー』
出演： 倍賞千恵子、木村拓哉、蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、神野三鈴、イ・ジュニョン、マキタスポーツ ほか
監督： 山田洋次
脚本： 山田洋次、朝原雄三
原作： 映画『パリタクシー』
配給： 松竹
全国公開中

ストーリー：
タクシー運転手・宇佐美浩二（木村拓哉）は、日々の生活費に追われ疲弊していた。そんなある日、85歳のマダム・高野すみれ（倍賞千恵子）を東京・柴又から葉山の高齢者施設まで送る依頼を受ける。道中、すみれは「東京の見納めに寄ってみたい場所がある」と浩二に告げ、二人は思い出の地を巡る“たった1日の旅”に出ることに。寄り添うように語られるすみれの壮絶な人生、そして少しずつ心を開いていく二人。やがてその旅は、彼らの人生そのものを大きく揺り動かす――。

©2025 映画「TOKYOタクシー」製作委員会
Remake rights: courtesy of Pathé- Une HIRONDELLE PRODUCTIONS
Based on the film “UNE BELLE COURSE” © 2022 UNE HIRONDELLE PRODUCTIONS – PATHE FILMS – ARTEMIS PRODUCTIONS – TF1 FILMS PRODUCTION