「あの“もしもし”には負けました!」芳根京子、思わず完敗宣言の髙橋海人“名演”秘話を語る

映画『君の顔では泣けない』の公開後御礼舞台挨拶が11月26日(水)、 TOHOシネマズ新宿にて行われ、主演の芳根京子、共演の髙橋海人、坂下雄一郎監督が登壇。公開から2週間が経ち、連日のSNSでの絶賛の声に応えるように、3人は笑顔と熱量あふれるトークを披露した。

坂平陸を演じた芳根京子は、「公開から2週間が経って、こうして皆さんの前でお話しできるのが嬉しいです」と感謝の笑顔で挨拶。SNSで寄せられる多くの感想に触れつつも、上映前のため「ラストシーンが…いや、これはまだ言えない!」とネタバレを必死に堪える姿に、客席からも温かい笑いが起きた。

髙橋からは「さっき僕に“ネタバレはダメ!”って言ってたのに!?」と鋭いツッコミ。芳根は「あわわわ…いっぱいポスト見ています!」と豪快に笑い飛ばし、場を和ませた。

水村まなみ役の髙橋は「もし僕がネタバレしちゃったら書かないでください(笑)」とユーモアたっぷりに挨拶。King & Princeスタッフから寄せられた“涙の感想”を紹介し、「涙は我慢して最後にドバーッと流してください」と独自の鑑賞法を提案し、会場を笑わせた。

普段SNSを見ないという坂下監督も、絶賛の声に思わずエゴサーチしたと告白。さらにふたりの“注目シーン”を明かした。芳根は「あるシーンで、タイミングよく2回も風が吹いて前髪がふわっと揺れたんです。計算では絶対に起きない“持ってる”瞬間でした」と語り、髙橋は後半シーンの約4〜50秒の沈黙をノーカットで採用したことを告白し、「あそこまで沈黙を成立させるのは本当にすごい」と絶賛した。ふたりは監督ならではの視点に大きく頷き、満面の笑みを見せた。

互いの芝居について話が及ぶと、芳根が印象的だったシーンを語った。「まなみの電話の“もしもし”。あの一言で泣きそうになったんです。感情がグッと上がってしまって…『もう一回やっていいですか?』と言った記憶があります。あの“もしもし”には負けました」その言葉に髙橋は照れつつも、「芳根ちゃんの説明セリフは“職人”技。隣で芝居しながら何度も凄いと思った」と逆に賛辞を贈り合い、戦友としての信頼があふれ出す時間となった。

ラストシーンについては、実は“撮影直前に追加された”という驚きの裏話も。髙橋は「完成版のラストは当初の予定にはなかったんです」と明かし、実際にクランクイン前に急きょ追加が決まったことを説明。坂下監督は「原作者のラストの解釈をどう表現すべきか、ギリギリまで議論しました」と語り、芳根は「大成功ですね!」と胸を張った。

最後に3人はそれぞれ、今作が広く届いている喜びを語った。監督は「愛される作品になっているのが嬉しいです」としみじみ。髙橋は「この作品が誰かのお守りになれば」と想いを込め、芳根も「心に残る一本になってくれたら本当に嬉しい」と感謝を述べた。

■作品情報
タイトル:『君の顔では泣けない』
出演:芳根京子 髙橋海人
西川愛莉 武市尚士
中沢元紀 林裕太/石川瑠華 前野朋哉/前原滉 ふせえり
大塚寧々 赤堀雅秋 片岡礼子 山中崇
原作:君嶋彼方「君の顔では泣けない」(角川文庫/KADOKAWA 刊)
監督・脚本:坂下雄一郎
音楽:Inyoung Park
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会

ストーリー:
高校1年生の坂平陸と水村まなみは、プールに落ちたことをきっかけに“心と体が入れ替わる”。誰にも言えない秘密を抱えながら、元に戻れないまま15年──。ふたりは高校卒業、進学、就職、結婚、出産、そして親との別れ……人生の節目をそれぞれの身体のまま歩んでいく。30歳の夏、まなみが告げる。「元に戻る方法がわかったかも」。“自分として生きる”とは何か。15年を経てなお続く、切なくも温かい入れ替わりの物語が動き出す。

©2025「君の顔では泣けない」製作委員会