菊川怜「“食”の大切さを改めて実感」15年ぶり主演作『種まく旅人』公開

10月11日(土)、映画『種まく旅人~醪(もろみ)のささやき~』の公開を記念した舞台挨拶がTOHOシネマズ日比谷で開催され、主演の菊川怜をはじめ、金子隼也、清水くるみ、朝井大智、篠原哲雄監督が登壇した。15年ぶりの映画出演となる菊川が語った、久々の撮影への想いや本作への熱い思いが印象的なイベントとなった。

「私自身、映画出演が久しぶりで、しかも主演ということで、本当に撮影できるのかな? というくらい忘れている感じでした」と笑顔で語る菊川。続けて「こうやって、みなさんに作品として見ていただける状態になれたのが本当に感激で嬉しく思っています」と、感無量の表情を見せた。

演じたのは、農林水産省の地域調査官・神崎理恵。淡路島の酒蔵を訪れ、日本酒づくりに携わる人々と交流しながら、“食”と“人のつながり”の尊さを見つめ直す女性だ。「淡路島の酒蔵に行って、みんなの心に“種”をまいて、それが花を咲かせて実を結んでいく――農作物も人の関係も、どちらも実を結ぶ素晴らしい作品です」と胸を張った。

蔵元の若き跡継ぎ・孝之を演じた金子隼也は、「20代の悩みを抱える姿に共感しました。等身大の自分と重なる部分が多かったです」とコメント。また「日本酒が大好きなので、蔵の現場を学びながら演じることができて嬉しかった」と笑顔を見せた。

一方、唯一の女性蔵人・夏美役の清水くるみは「撮影前に“体力勝負だよ”と言われ、ヨガや筋トレをして臨みましたが、米俵を運ぶのは本当に大変でした」と苦笑。それでも「みんなで宿に帰ってごはんを作って食べたり、すごく温かい現場でした」と振り返った。

営業マン・岡村を演じた朝井大智は「僕だけ過酷じゃなかった(笑)」と会場を笑わせつつ、「酒米・山田錦を育てる農家の努力を知り、いいお米があってこそいいお酒ができると学びました」と真摯に語った。

登壇者全員が「お酒好き!」と声を揃える中、菊川は「今日ですよね。1年前にみんなで頑張った作品を、いまお客様と共有しながら味わう――この瞬間が最高です」と語り、会場は温かい拍手に包まれた。金子は「仕事終わりのハイボールが最高!」と爽やかに笑い、清水は「撮影の時に買った日本酒を、正月に父と飲みました」とほほえましいエピソードを披露した。

イベントの最後に、菊川は観客へ力強くメッセージを送った。「この作品のテーマは“日本の第一次産業の素晴らしさ”。どれだけ多くの人の努力と愛情で“食”が私たちに届くのかを知りました。これは当たり前ではなく、みんなで守っていくべきもの。食は生きるエネルギーであり、喜びです」としみじみ語り、会場は大きな拍手に包まれた。篠原監督も「日本には守るべき文化がたくさんあります。映画もそのひとつ。お客様によって育てられていくものだと思います」と語り、シリーズの継続にも意欲を見せた。

■作品情報
『種まく旅人~醪のささやき~』
監督:篠原哲雄
出演:菊川怜、金子隼也、清水くるみ、朝井大智、山口いづみ、たかお鷹、白石加代子、升毅、永島敏行
製作:北川オフィス
制作プロダクション:エネット
配給:アークエンタテインメント

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