鬼才・小池博史が描く2073年監視社会の“出口なき空間”『WE-入口と世界の出口』公開決定

美術×音楽×映像×身体表現。日本のパフォーミングアート最前線を走り続ける鬼才・小池博史が、80年代からの創作の軌跡のひとつの到達点として世に放つ映画『WE-入口と世界の出口』が、11月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開されることが決定した。公開決定とあわせて、ポスタービジュアルと特報映像も解禁された。

舞台は2073年の日本。上級・中級・下級国民に階層化された社会では、表面上の平等が謳われつつも、人々は互いを監視し合っていた。そんな世界で唯一、治外法権的に存在を許されていた空間「スペースE」。逃げ込んだ者たちはやがて、幻惑と偽りの記憶によって互いを追い詰め合い、自らの内面と向き合うことになる。

小池が駆使する映像・光・音の実験的手法が、人間の孤独と群像の狂気を浮き彫りにする。“トランス装置としての映画”と称される本作は、観客をも作品世界に巻き込み、現代社会への鋭い視点を投げかける。

本作の監督・脚本・振付を務める小池博史は、世界42カ国での上演実績を誇る演出家であり、舞台・映像・音楽・美術を融合させた独自の総合芸術を追求してきた。彼は本作について次のようにコメントしている。「僕は基本的に舞台・映像・音楽・美術などの区分を設けず、『空間』要素を最大限活かしつつ可能性を追い求めてきました。ジャンルを否定はしないが、越境的行為の中に芸術的本質の大きな要素があると感じています。これは映画であり舞台です。芸術の可能性を追い求めたひとつの証が『WE』という映画です」

舞台作品として2023年に初演され、翌2024年に再上演され多くの観客を熱狂させた『WE-入口と世界の出口』。その映像化は、まさに小池芸術の集大成といえる。

出演は、小池が主宰した伝説的ダンスカンパニー「パパ・タラフマラ」全作に参加した松島誠、能役者でシルクロード能楽会代表の今井尋也、俳優・ダンサーとして活躍する福島梓らが名を連ねる。音楽は、NHK「にほんごであそぼ」「みんなのうた」などでも知られる下町兄弟が担当。美術には、岡本太郎現代美術賞を受賞した山上渡が参加するなど、舞台芸術の最前線で活躍する表現者たちが集結した。

特報映像では、圧倒的な映像美とサウンドが交錯する“空間芸術”としての映像世界が垣間見える。ポスタービジュアルでは、出口の見えない都市空間に立ち尽くす人物のシルエットが象徴的に描かれ、作品の哲学的テーマを予感させる。

▼特報映像

■作品情報
タイトル: 『WE-入口と世界の出口』
公開日: 2025年11月29日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督・脚本・振付: 小池博史
出演: 松島誠、今井尋也、福島梓、中谷萌、下町兄弟(pc. rap)
音楽: 下町兄弟
美術: 山上渡
撮影: 小林基己、澤平桂志、柴田和也、櫻井莉紗
配給: 小池博史ブリッジプロジェクト-Odyssey/株式会社サイ
上映時間: 65分/パートカラー/DCP/1.85

©小池博史ブリッジプロジェクト-Odyssey/株式会社サイ