釜山映画祭正式出品作品『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』で、対話の可能性を探求した佐藤慶紀監督が、新たに「生きづらさ」を抱える人々の交流を描く映画『もういちどみつめる』を完成させた。本作は、名優・筒井真理子と、新鋭・髙田万作のW主演で、11月22日（土）より新宿K’s cinemaほか全国順次公開される。
今回、公開日とともに場面写真が解禁された。写真には、森を舞台に心の距離を少しずつ縮めていく典子（筒井）とユウキ（髙田）、そして繊細な表情で植物を見つめる由香理（中澤実子）の姿が切り取られており、静謐な自然と人物の感情が響き合う世界観が伝わってくる。
監督は制作のきっかけについて、「2022年の少年法改正による18・19歳の厳罰化への疑問から、本作を構想しました」と語る。厳罰化の背景にある社会課題や、人が抱える「生きづらさ」へのまなざしを深く掘り下げたといい、「ユウキと典子、それぞれ異なるかたちの生きづらさが、どのように相手への理解へつながるのか。そして“対話”が果たす役割を描きたかった」と述べた。
また、自然を単なる背景ではなく“共演者”として描くことにもこだわったといい、「絶滅に瀕した原始植物を探す由香理の姿を通して、言葉にならない自然との対話を重ねた」とコメント。夕闇や夜明け前の光景に包まれるシーンも見どころのひとつだという。
■作品情報
『もういちどみつめる』
2025年11月22日（土）〜新宿K’s cinemaほかにて全国順次公開
出演：筒井真理子 髙田万作
にしやま由きひろ 徳永智加来 中澤実子 吉開湧気 リコ(HUNNY BEE) 内田周作 川添野愛
監督・脚本・編集・プロデューサー：佐藤慶紀
配給：渋谷プロダクション
制作：Aerial Films
2025年／日本語／STEREO／ヨーロピアンビスタ／113分
ストーリー：
山間のキャンプ場を営む典子のもとに、少年院を出所した甥・ユウキが現れる。母親を探して訪れたというユウキは、複雑な家庭事情を抱えており、典子と同じく“生きづらさ”を抱えていた。近所の明夫や、珍しいコケを探す女子学生・由香理との出会いを通して、少しずつ変化していくユウキ。しかし、そこに現れた従兄弟・健二の嫉妬が、静かな関係に波紋を広げていく——。
© Aerial Films
