9月12日(金)より公開される映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』の完成報告会見が、8月5日(火)、7月に閉館したばかりの“廃墟”さながらの丸の内TOEIにて開催された。本作に出演する西島秀俊、グイ・ルンメイ、そして監督の真利子哲也が登壇し、作品への思いや撮影の裏側について語った。
本作は、ニューヨークを舞台にアジア系夫婦の息子が誘拐されたことをきっかけに、隠された秘密が次第に浮かび上がる極限のヒューマンサスペンス。日・台・米合作となる本作は、文化や言語の違いがテーマにも深く関わっている。
主演の西島秀俊は、「真利子監督のファンだったので、ぜひご一緒したいと思いました」と出演を決めた理由を明かし、「今社会が直面しているテーマに真正面から向き合っている脚本に惹かれました」と作品への強い思いを語った。
一方、ルンメイは「脚本にある“廃墟”というモチーフや、人形劇を使った心理描写に心を惹かれました」と語り、異文化・異言語の夫婦の愛と葛藤に強く共感したことを明かした。
お互いの印象について尋ねられると、西島は「ルンメイさんは全てを作品に投げ出す、素晴らしい俳優。何度演技を重ねても集中力を切らさず、俳優として理想の姿を思い出させてくれました」と絶賛。これに対しルンメイも「西島さんは落ち着いているけれど、内に情熱を秘めた方。毎回違うエネルギーを与えてくださるので、私は自由に演じることができました」と感謝の言葉を述べた。
本作の脚本は英語で書かれており、全編英語での演技となった。西島は「現場に入った瞬間、目の前にナチュラルなルンメイさんがいたことで不安は消えました。“映画を撮る”という共通言語が、世界中どこでも通用するんだと感じました」と語り、国境を越えた映画制作の意義を語った。
ルンメイも「日本語の原文を理解した上で英語のセリフに落とし込むことで、監督の本意をきちんと表現したかった」と、丁寧な役作りの裏側を明かした。
真利子監督は、本作の発想が「コロナ禍で全てが変わった体験から来ている」と明かし、「夫婦という関係を通して“愛”を描きたかった」と語った。全編NYロケとなった撮影について、西島は「忘れ去られようとしているNYの風景の中で、懸命に生きる人々の姿が印象的でした」と述懐。
また、監督の演出について、西島は「毎回新しいものが生まれる瞬間を追いかけていた」と表現し、ルンメイも「監督は俳優のトーンや成長を繊細に感じ取る耳を持っている」と絶賛した。
最後に、西島は「過去に囚われて抜け出せない人、自分の思いが周囲に理解されない人、やりたいことと現実のバランスが取れない人。今、懸命に生きている人にぜひ観ていただきたい」と強いメッセージを送り、「ラストには不思議な爽快感があります。登場人物たちが困難を乗り越えていく姿を、ぜひ劇場でご覧ください」と締めくくった。
■映画情報
タイトル:Dear Stranger/ディア・ストレンジャー
英題:Dear Stranger
公開日:2025年9月12日(金)
劇場:TOHOシネマズ シャンテほか 全国ロードショー
出演:西島秀俊、グイ・ルンメイ
監督・脚本:真利子哲也
配給:東映
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