『過激派オペラ』あまりにも行き過ぎた狂気に思わず笑ってしまった

エロ、バイオレンスなど過激な作風で小劇場界をばく進する劇団「毛皮族」主宰・江本純子の初監督作。キャストには、かつては「ケータイ刑事 銭形雷」や「帰ってきた時効警察」などに小出早織として出演し、改名後も映画を中心に活躍を続ける早織や、W主演の中村有沙をはじめ、園子温版『リアル鬼ごっこ』の桜井ユキ、『恋の渦』の後藤ユウミ、『おとぎ話みたい』「とと姉ちゃん」の趣里ら今後期待の実力派が名を連ね、脇を安藤玉恵、高田聖子ら演劇界のトップ女優が固める。
ヌードも辞さない体当たり演技など女優陣の熱演が見どころのひとつだが、この過激な作品を観客はどう受け止めた?
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野性の侭に女グセが悪い演出家ナオコ。艶かしくも下品な欲望は「碌でもねぇ」の一言に尽きるが、それは女優たちの燃焼に不可欠な要素。このカオスな矛盾こそが唯一無二の憎めぬ魅力を生む。情けなくともショウ・マスト・ゴー・オンの信条を曲げぬ強情に、“しぶとさ”の美徳を垣間見た。

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あまりにも行き過ぎた狂気に思わず笑ってしまった。役者自身から発せられる肉欲だったりエゴだったり怒りだったりの正直さと本物さは、確かにマイクやスピーカーを通すミュージカルではなく、己の肉体だけで表現するオペラであった。

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「あんたが本作の足を引っ張っている。何故降板しないの?」、「人形じゃねぇんだから!」と監督に言われ、「とにかく死なずに映画撮影を乗り切ろうと思った」などのエピソードが舞台挨拶で語られたが、その壮絶さは確かに感じ取れた

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舞台挨拶でほぼ全員が口にした地獄みたいな現場。それをそのまま作品にしたのがきっとこの作品でどうしても過激な描写が目につくけど、とにかく熱量がハンパなかった。まぎれもない一つの青春映画。笑いのタイミングも設定もそうだけど、舞台のような作品だったな。

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