スカーフをつけたまま校内に入ったイスラム教徒の女子生徒が、教師から「(スカーフを)外しなさい」と言われ、「卒業したので、その規則は通用しない」と反発する。冒頭から、いきなりとげとげしいシーン。教育の場での「表現の自由」と「政教分離」の軋みを目一杯見せつけられ、これはそんじょそこらの学校映画ではないぞと覚悟を決め、銀幕に向き合った。
「過去」を学ぶだけじゃなく、多民族国家フランスで、現在も起きている差別を、日常のほんのささいなシーンでさらっと描いている点が実はとても重要
アウシュヴィッツの資料館で、買い物に抜け出す予定も忘れて展示資料に見入る生徒の様子や、生き証人である老人の話に食い入るように真剣に耳を傾け涙を流す彼らの姿を見るに、彼らが実際に触れて見て聞いたことで多くのものを感じ取り、何かを考え始めたことがわかります。 生徒の心が揺り動かされる様子は、スクリーンを通して映画を観る者の心も揺り動かすのです。
見て聞いて感じて、初めて伝わることがある。映画『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』レビュー | jiik