『エリザのために』解決しない問題と常に付き合っていくことを肯定的に感じさせる

『4ヶ月、3週と2日』や『汚れなき祈り』で高く評価されたルーマニアの新鋭クリスティアン・ムンジウが、第69回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した人間ドラマ。ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟がプルデュースした本作は、娘のために手を汚してく父親の姿を静かに捉えた改作。『淵に立つ』の深田晃司監督が“その繊細に揺れ動く感情の網目を通じて、見る者は自らの倫理感と向き合うことになるだろう”と評する本作、観た者に何を残すのか?

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とても清々しい余韻が残って、幸せな映画体験をしたと思える作品。あのエンディングは上手くてセンスが良い。何かが終わっても、人生は続いていくだっていうこと。人は生きてる間中、解決しない問題と常に付き合っていくんだということ。そのことを肯定的に感じさせる説得力が魅力。

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『エリザのために』観たんだが、珠玉。珠玉って感じ。ワンカットでよくあれだけの演技を続けられるな。パパが感情的なんだけど感情を出さない雰囲気とか。すべてが混乱して途方にくれたときに訪れる糸のほぐれ方とか。もう素晴らしい。

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長い1カット、手ブレ、静と動を的確に使い分けたカメラワーク全てがガッチリ組み合わさって全編抜群の緊張感!物語もルーマニアの社会と監督の思いがしっかり描かれている素晴らしい作品でした!

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予告から印象的だった、2人の人物が向き合う姿を横から捉えた構図が、やはり本編でも多用されてた。監督作品の特徴なのか、ルーマニアの不完全な民主化を打開すべく今一度人と人とが向き合うべきということなのか、知識不足で理解に及ばなかったけど、感じるものは間違いなくあった

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監督の祖国ルーマニアの政治状況が色濃く反映されてるらしいけど、映画観るについて何か予備知識がいるかって言うとそうでもないかな。「平穏を保ってるように見える家庭が…」という話として見れば、どこの国でもあり得るような話かなと。

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「民主化」後のルーマニアに期待して帰国した中年男性外科医がある事件を機に縁故や賄賂に塗れた社会に漬かっていく。そこから脱出することによってしか希望を見出せない灰色の世界。どんよりしていながらユーモラスで滋味のある人物造形やシーケンスも結構あって見応えあり。

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『エリザのために』
2017年1月28日公開
監督:クリスティアン・ムンジウ 出演:アドリアン・ティティエニ マリア・ドラグシ ヴラド・イヴァノフ