オダギリジョー「作品は軽いノリで飲み会で話してたことが実現されていく感じ(笑)。それが面白い」『宵闇真珠』初日舞台挨拶レポート

『ブエノスアイレス』、『花様年華』などの傑作を多数撮ってきた世界的撮影監督クリストファー・ドイルの最新作で、オダギリジョーと香港の女優アンジェラ・ユンが共演する映画『宵闇真珠』(よいやみしんじゅ)が、12月15日に公開初日を迎え、同日、渋谷のシアター・イメージフォーラムで行われた初日舞台挨拶にオダギリジョーが登壇、劇中で使用されているオダギリジョー作曲による音楽も披露された。

数々の名作で撮影監督を務めてきたクリストファー・ドイルからの主演オファーについて、オダギリは「僕らの世代からすると、クリストファー・ドイルとウォン・カーウァイのコンビは偉大な存在。その方から声をかけていただけたのは、嬉しかったし驚きました」と喜びを口にした。

映像の魔術師が監督を務める現場はどのようなものだったのか、オダギリは「大変だったというよりも楽しかったです」と述懐。「ほとんどテストもしないし、説明もなく『とりあえず、やってみようか』という感じなんです。(共演の)アンジェラ(・ユン)との2人でのシーンでも、とにかく1回、カメラを回して何が起こるか見てみようという感じで『いまのは○○だから、こう変えていこうか?』とか、やりながら作り上げていく感じでした」と明かす。

なお、映画のあるシーンで、オダギリ自身が作曲した「JellyfishSyndrome」が使用されているが、オダギリの曲が使われることになった経緯も、撮影の現場同様に行き当たりばったりで、「いきさつということもなくて(笑)、クリスとはよく飲みに行ってたんですが、そこで『いま何やってるの?』みたいな話になって、『最近、曲を作ってる』と話して、聴かせたら『使いたい』となった」とのこと。「軽いノリで飲み会で話してたことが実現されていく感じ(笑)。そういう感じですね、この作品自体が。最初から決まっていることなんて何もない。それが面白さだと思います」とオダギリも先の読めない展開の中で映画が制作されていくのを楽しんだ様子だった。

舞台挨拶では、その「JellyfishSyndrome」が改めて流されたが、オダギリは元の楽曲があって、それはジャズなんですが、自分でリミックスしました。(女性の)ボーカルだけで作っていて、ボーカルを加工してドラムやベースのように聴かせています」と説明しつつ、「じっくり聴くようなものじゃないんですが…」と楽曲に耳を傾ける観客を前に照れ笑いを浮かべていた。

『宵闇真珠』
12月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督:ジェニー・シュン
監督・撮影:クリストファー・ドイル
出演:オダギリジョー アンジェラ・ユン
配給:キノフィルムズ

【ストーリー】 香港最後の漁村、珠明(じゅめい)村。幼少時から日光にあたるとやせ細って死んでしまう病気だと言い聞かせられ、太陽から肌を隠して生活する16歳の少女(アンジェラ・ユン)は、透き通るような白い肌の持ち主。村人たちからは「幽霊」と呼ばれ、気味悪がられている。日没後、肌を露出し、お気に入りの音楽をお気に入りの場所で楽しむことが、少女にとって唯一孤独を癒やす手段だった。ある日、どこからともなくやってきた異邦の男(オダギリジョー)と出会った少女は、今まで知ることのなかった自身のルーツに触れていくことになるのだが…。

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