佐藤浩市 × 渡辺謙 東日本大震災の福島第一原発事故の最前線で戦い続けた職員たち『Fukushima 50』製作決定

2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原発事故で、最前線で戦い続けた者たちを描く、佐藤浩市主演、渡辺謙共演の映画『Fukushima 50』(読み:フクシマ フィフティ)の製作が決定し、2020年に公開されることが発表された。

原作は、90人以上の関係者の取材をもとに綴られた、門田隆将によるノンフィクション小説「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)。2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0、最大震度7という、日本の観測史上最大の地震が発生し、巨大津波が福島第一原子力発電所を襲った。全ての電源を失ったことで原子炉の冷却が不可能となり、原子炉建屋は次々に水素爆発を起こし、最悪の事態であるメルトダウンの時が迫りつつあった。1・2号機当直長の伊崎は、次々に起こる不測の事態に対して第一線で厳しい決断を迫られる。所長の吉田は、現場の指揮を執りつつ、状況を把握していない本社とのやり取りに奔走。緊急出動する自衛隊、そして“トモダチ作戦”の発動とともに米軍もついに動き始める。福島第一を放棄した場合、避難半径は250km、対象人口は5,000万人に及ぶと推測され、その中で現場に残り続けた約50人の作業員を、海外メディアは“Fukushima 50”と呼んだ。本作では、東日本壊滅の危機が迫る中、家族を、そして故郷を守るため、未曾有の大事故と戦い続けた職員たちの姿を描く。

本作の主人公で、地元・福島出身で現場を指揮する、福島第一原発1・2号機当直長・伊崎利夫役には、『64-ロクヨン-前編』で第40回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した佐藤浩市。同い年の部下・伊崎とこれまで一心同体でやって来た福島第一原発所長の吉田昌郎役には、『沈まぬ太陽』で第33回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した渡辺謙。監督は同じく『沈まぬ太陽』で第33回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞し、社会派・骨太な作風に定評のある若松節朗が務める。脚本は、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の前川洋一。佐藤と渡辺は『許されざる者』以来の共演、佐藤と若松監督は『空母いぶき』(2019年公開)に続くタッグ、渡辺と若松監督は『沈まぬ太陽』以来のタッグと、豪華実力派キャストとスタッフが集結した。クランクインは11月末、クランクアップは2019年1月末を予定している。

キャスト&スタッフ コメント

■佐藤浩市(福島第一原発1・2号機当直の伊崎利夫役)
忘れる事で前に進む、失敗をしても何度もトライをする、それは生き物の中で人間だけが出来ることです。しかし絶対に忘れてはいけない、繰り返してはいけない事があります。あの日あの時どういう状況に我々が、日本があったのか?その事を思い出し、明日のそして後世の為の映画を若松監督、渡辺謙さん達と一緒に確認をしながら作りたいと思います。

■渡辺謙(福島第一原発所長の吉田昌郎役)
『許されざる者』の撮影中、浩市くんに映画100本目の時はどんな役でも参加するよと、約束してました。でも、気軽に参加する作品ではありませんでした。今もなお苦しみの続く福島の方々の思いを受け止めながら『沈まぬ太陽』以来の若松監督、そして浩市くん、素晴らしいキャストと共に緊迫感溢れる画を積み重ねていきたいと思っています。ご期待下さい。
※佐藤浩市は本作にて映画出演本数106本目(2018年11月20日現在)

■若松節朗監督
2011年3月11日から15日にかけての福島第一原発を襲った事故は国内だけではなく世界の人々をも震撼させた。穏やかな海は荒れ狂う大津波となって原子力発電所の命綱である全ての電源を奪ってしまった。この映画は家族や生まれ育った町や村を守る為に命を賭して未曾有の危機に挑んだ人々の話です。あの時、現場にいた者しか知り得ない真実を描いて行こうと思っています。スタッフ、キャスト一同全力で準備を進めています。沢山の方に注目して頂ける映画になる様、強い覚悟で臨みます。

■角川歴彦(製作代表)
東日本大震災から早くも7年あまりの歳月が過ぎ去ろうとしています。あの日あの時、多くの日本人が感じたのは大自然への畏怖であり、大自然の力がどれだけ人間の想定を越えたものであるか、科学がいかに大自然の前では儚いものであるかを突きつけられました。製作を進める中でさらにその思いを深くしております。しかし、たとえ人間の力が及ばないとしても、実際にその状況で最善を尽くした人たちがいたことを忘れてはならない、無名の人々が報道では知り得ない努力をしていたことを伝えるべきだと感じ、今回のドラマの中核に据えました。そこには映画ならではの感動があり、皆さんにご覧いただくと共に、日本人として誇りに思うべき彼らの姿を、尊敬の念を持って後世に残したいと考えております。生々しすぎるという声もありますが、それを乗り越えて世界に発信していかなければなりません。角川映画には『金環蝕』『金融腐食列島「呪縛」』『沈まぬ太陽』という社会問題をテーマとした作品を製作してきた伝統があります。来たる2020年、“復興五輪”と銘打たれた東京オリンピック・パラリンピックを控えたこの時期にこそ、今一度、震災の記憶と向き合い、復興への思いを新たにする作品を世に問う、それこそが映画人の使命であると考えております。

『Fukushima 50』
2020年 全国公開
監督:若松節朗
原作:門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)
脚本:前川洋一
出演:佐藤浩市 渡辺謙
配給:松竹 KADOKAWA