松田龍平、親友役の野田洋次郎に「感謝しかない」『泣き虫しょったんの奇跡』台湾プレミア上映レポート

将棋界に奇跡をもたらした異色の棋士・瀬川晶司五段の自伝的小説を、豊田利晃監督が実写映画化した『泣き虫しょったんの奇跡』が9月7日より公開中。このほど、9月27日に台湾にて本作のプレミア上映と舞台挨拶が行われ、主演の松田龍平、豊田利晃監督が登壇した。

「松田龍平 最高」という手作りのパネルを持つ観客も見られる中、満席となった会場にゲストらが上映前の舞台に登壇。場内は一気に黄色い歓声に包みこまれる中、そのまま松田と監督も席に腰掛け、観客らと共に本編を鑑賞。劇中、様々なシーンで笑いが起き、上映後には拍手が沸き起こった。そして、その後に観客からの質問に答える“ティーチイン”が行われた。

まずは女性客から「この映画に想い入れのあるシーンは?」と問われると、松田が「奨励会でのシーンがキツかったので、奨励会を退会した後、家のシーンの撮影の時はホッとしたのは覚えています」と回顧。一方で監督が「やっぱり小学校の先生が松たか子さんだったら最高だなと。そのシーンが、一番夢が叶ったシーンですね」と即答すると、会場では笑い声が響き渡った。続く男性客からは、「実際にプロ棋士がたくさん出演されていますが、プロ棋士と対局してみていかがでしたか?プロ棋士の演技についての感想は?」という質問が。監督は「プロの将棋指しというのは、皆さん侍のように度胸があって、演技をつけなくても自然に芝居してくれたので助かりました」と語る。一方で松田も「プロ棋士の方たちは皆さん個性があって。劇中の対局シーンでピンク色のスーツを着てらっしゃる神吉宏充さんとか…」と呟くと、監督から神吉が奨励会時代の先輩だったことが明かされ、会場からは驚きの声があがった。

今度は女性客から監督に、「映画全体で一番難しかった撮影はどこですか?」と質問が及ぶと、「やっぱり泣くシーンが一番難しくて。色んな方に涙してもらったんですけど、中学時代の晶司を演じた窪塚愛流の泣くシーンは、てこずりましたね。なかなか涙が出なくて」と撮影時の苦労を明かした。一方で同じ女性客から、「泣くシーンと泥沼に沈んでいくシーンは、どちらが難しかったのでしょうか?」と松田に質問が向けられ、松田は「もちろん泣くシーンでした。劇中でも特に辛い場面だったので。泥沼のシーンは、2回ほど撮影させてもらったんです。撮影は大変そうに見えるかもしれないですが、実はあの泥が美容に良くて。お肌ツルツルになりました(笑)」と満足げで語ると、場内は大爆笑となった。

さらに話題は、本作でしょったんの親友役を演じた野田洋次郎に。「松田さんは野田さんに演技面でのアドバイスなどはされましたか?」という観客からの質問に、松田は「まったくないです。逆に僕がすごく助けられることが多かったですね。普段から仲良くしている友人でもあるので、そういう意味でも演じながら“ここからここまでがお芝居”という境界線がなく仕事が出来て、ホッとしました。本当に彼には感謝の気持ちしかないです」と熱く語ると、観客たちは真剣な様子で静かに耳を傾けていた。

また、イベントでは日本語で質問をする男性客の姿も。台湾で日本語学校に勤務しているという男性が「この映画は小学校の先生が重要な役を担っていましたが、松田さんが小学校の頃、先生に言われた一言で心に残っているものがあれば、教えていただきたいです」と伝えると、松田は「中学生くらいの時に、先生に職員室に呼ばれたことがあって。よくそこで説教されていたんですが、その先生とはよく職員室で話をしたのは今でも覚えていますね」と懐かしんだ。

場内のあちこちで質問の手が上がる中、イベントでは監督と松田のサイン入りのポスターを観客の中から抽選で1名にプレゼント。当選した観客は喜びのあまり腰を抜かしそうになりながらもプレゼントを受け取り、さらに松田と握手も交わす姿も見られた。最後には監督と松田が300名もの観客と記念撮影を行い、最後まで熱気漂う中、ゲストらは会場をあとにした。

『泣き虫しょったんの奇跡』
9月7日(金)より全国ロードショー中
監督:豊田利晃
脚本:瀬川晶司「泣き虫しょったんの奇跡」(講談社文庫刊)
音楽:照井利幸
出演:松田龍平 野田洋次郎 永山絢斗 染谷将太 渋川清彦 駒木根隆介 新井浩文 早乙女太一 妻夫木聡 松たか子 美保純 イッセー尾形 小林薫 國村隼
配給:東京テアトル

【ストーリー】 26歳。それはプロ棋士へのタイムリミット。小学生のころから将棋一筋で生きてきた“しょったん”こと瀬川晶司の夢は、年齢制限の壁にぶつかりあっけなく断たれた。将棋と縁を切りサラリーマンとして暮らしていたしょったんは、アマ名人になっていた親友の悠野ら周囲の人々に支えられ、将棋を再開することに。プロを目指すという重圧から解放され、その面白さ、楽しさを改めて痛感する。「やっぱり、プロになりたい―」。35歳、しょったんの人生を賭けた二度目の挑戦が始まる―。

©2018『泣き虫しょったんの奇跡』製作委員会 ©瀬川晶司/講談社