日本フラメンコ界を牽引するアーティストたちによるライブ!『ラ・チャナ』公開初日イベント レポート

現在71歳の伝説のフラメンコダンサー、ラ・チャナの波乱に満ちた人生と、その情熱の源に迫るドキュメンタリー映画『ラ・チャナ』が、7月21日に公開初日を迎え、それを記念して同日、ヒューマントラストシネマ有楽町にて、日本フラメンコ界を牽引する今枝友加(カンテ)、三枝雄輔(パルマ)、長谷川暖(ギター)を招いたフラメンコショーが開催された。

カンタオーラ(歌い手)の今枝友加、パルメーロ(手拍子)の三枝雄輔、ギタリストの長谷川暖。今枝は、普段はワンピースの下に着るフリル状のペチコート「エナグア」をスカートとして着用し、ラ・チャナをイメージしたという衣装で登場した。

まず最初に披露されたのは、「ソレア・ポル・ブレリア」。浪々と自由に歌う場合もある曲だが、今回はパルマ(手拍子)入りで披露された。

続く2曲目、これまでに沢山の偉大なカンタオーラ(女性の歌い手)たちが歌ってきた曲「ティエント・イ・タンゴ」を、今枝は「ラ・チャナに捧げます」と述べを披露。哀愁漂うギターソロから始まり、歌、手拍子が加わり、3人の息の合ったパフォーマンスに、客席は大興奮の渦に巻き込まれた。

そして最後に、今枝と三枝は立ち上がり、締めの曲の定番とも言える「ブレリア」を演奏。中盤から、今枝はマイクから離れ、生声を披露。圧倒的でパワフルな歌声が会場に響き渡った。また、踊り手としても活躍する今枝と三枝は立ち上がり、情熱的な踊りを見せた。終始、客席からはハレオが飛び交い、中には感涙する観客も見られた。

初めてフラメンコを観たという20代の女性は「魂が揺さぶられた!」、夫婦で来場していた50代女性は「最高!足音を大きく立てて帰りたくなりました」、70代男性は「映画もライブも素晴らしい!2倍楽しめました」 と、絶賛の声が贈られるなかイベントは幕を閉じた。

『ラ・チャナ』
7月21日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか全国順次公開中
監督:ルツィア・ストイェヴィッチ
出演:ラ・チャナ アントニオ・カナーレス カリメ・アマヤ
配給:アップリンク

【作品概要】 若くしてその才能を開花させたラ・チャナ(本名アントニア・サンティアゴ・アマドール)は、18歳で結婚・出産。夫がマネージャーとなりフラメンコダンサーの活動をつづけた。ダリを魅了し、映画『無責任恋愛作戦』で共演したピーター・セラーズにハリウッドに招かれるも、封建的なヒターノ(ジプシー)社会で女性が自らの意見を言うことは許されず、彼女がハリウッドに進出することはなかった。その後も彼女の人気は衰えることを知らず、テレビ出演や世界ツアーなど、全てのアーティストが目指す頂点にいたラ・チャナだったが、ある日突然、表舞台から姿を消した。ラ・チャナの人生は困難に満ちたものだったかもしれない。しかし、絶望すら受け入れ前に進む強さを彼女は教えてくれる。画面からあふれださんばかりのパワフルな踊りとチャーミングな人柄、そして生み出す言葉の一つ一つが私たちを魅了する。

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