中野裕之監督 × ドローンパイロット遠藤祐紀 白銀世界を空から捉えたOP映像の撮影秘話『ピース・ニッポン』トークイベント レポート

8年の歳月をかけ全国47都道府県・200箇所以上で撮影された、日本の美しい瞬間を捉えた映像を厳選し、4K解像度で映画化した『ピース・ニッポン』が、7月14日より公開となる。それに先がけ、6月21日、東京・神楽座にてトークイベントが行われ、中野裕之監督とドローンパイロットの遠藤祐紀さんが登壇した。

上映後、会場に余韻が残る中、観客の大きな拍手に迎えられて中野裕之監督とドローンパイロットの遠藤祐紀さんが登場。拍手が続くなか、早速トークが始まり、製作初期の撮影について中野監督は「本作の撮影を始めたときは3D撮影が大ブームで、この作品も撮影の初期は3Dで撮影していました。撮影を続けるうちに今度は4Kが出てきて、、これまでの4倍面積が大きくて、それは綺麗な訳ですよ。そうすると4Kで撮るしかなくなって、3D用のモニターも6台も買い揃えていたんですが、さようなら3D~ってなりました」とユーモアを交えて語り、観客の笑いを誘った。4K撮影をはじめた監督は、既に3Dで撮影した箇所へもう一度足を運んだそうだが、「一度撮影した場所にもう一度行っても、二度と同じ事は起きないと痛感しました。前に良い画が撮れたんだから今回も良いのが撮れるだろうと思っていったら、まったく状況が違っていて、、まさに一期一会だと感じました。そうした経験から、本作のテーマの1つの“一期一会の旅”を思いつきました」と撮影の苦労とその苦労から生まれた本作のテーマについて語った。

4Kの後にドローン撮影の技術が出てきた頃、ドローンパイロットの遠藤さんが本作の製作に関わることになった。「2015年末に参加したので、今からちょうど2年半前に初めてこの作品に関わりました」と遠藤さんは語った。監督と遠藤さんが一緒に撮影をした映像が本作のオープニング映像で、北海道の洞爺湖を撮影地に見渡す限りの雪景色が広がる白銀世界を、ドローンで撮影した映像で撮るまでに大変な苦労があったそうだ。まず、「北海道に向かう為、空港に行ったら、乗るはずの飛行機会社がシステムダウンを起こして、、全線運休するトラブルにあいました」と幸先悪い出来事を思い出すように遠藤さんは語った。中野監督は、「何とか飛行機を変更して北海道へ着きましたが、札幌は雪が溶けてしまっていて、ドキドキしながら洞爺湖方面に向かいました。現地に着くと、何とか雪が残っており、天気も良かったので予定通りに、翌日朝に撮影を行う事にした」と、スムーズではないものの何とか撮影への見通しがたった事を語った。

撮影当日、また思わぬ不運が。「朝5時に起きて窓の外をみたら、なんと横殴りの吹雪だったです。空も暗く、風も強くてこのままでは厳しいと思ったが、外にでて空を見上げると分厚い雲の上にちらっと、青空が見えたので、あとは神頼みで少しでも晴れ間があれば撮影できる、と思って準備をしました」と中野監督。「今までも何度も神様に晴らしてもらったので、後は神頼みだと思って、祈り続けながら現地へ向かったら、奇跡的に雲が晴れて、撮影を行うことができましした」と神頼みが通じたことを明かす。

しかし、まだベストコンディションとはいえず、雪景色を歩く演出だけに足跡が残るので、失敗は許されない。そんな悪影響の中、ドローンを飛ばした遠藤さんは、「ドローンは風に弱いので、まっすぐ上に飛ばすのも一苦労でしたが、ブレない用に必死に操縦をしました。そうしたら、望遠レンズでみていた監督から『撮れたー!』という声が聞こえ、何とか無事に撮影を終えることができました」と困難だった撮影を振り返った。監督、遠藤さんはじめスタッフ全員のファインプレーと奇跡が重なって取れたショットを、中野監督は「猛吹雪の合間に神頼みで晴れた15分だけの間で必死に撮った奇跡のカットですので、ぜひ大きなスクリーンで体感してほしい」とあつく語り、イベントは終了した。

『ピース・ニッポン』
7月14日(土)、新宿バルト9他、全国ロードショー
監督:中野裕之
音楽:岡野弘幹
劇中歌:竹内まりや「いのちの歌」
ナビゲーター:小泉今日子 東出昌大 
出演:渡辺大 及川さきの
配給:ファントム・フィルム

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