松居大悟監督、不朽の青春漫画“「タッチ」理論”で愛を語る!?『君が君で君だ』トークイベント レポート

池松壮亮主演、満島真之介、大倉孝二、キム・コッピ共演の松居大悟監督最新作『君が君で君だ』が7月7日より公開される。このほど、6月21日に渋谷・フェローズレセプションカフェにてトークイベントが行われ、松居大悟監督、阿部広太郎プロデューサーが登壇した。

クリエイターの“学びたい”をサポートするフェローズ主催「SSFF&ASIA」と連動して開催された本イベント。松居大悟監督作の短編映画『花瓶に花』の上映後、松居大悟監督、阿部広太郎プロデューサーが登壇すると大きな拍手が沸き起こった。『花瓶に花』を製作した経緯を聞かれると、松居監督は「『アズミ・ハルコは行方不明』に出演してもらった石崎ひゅーいくんに『花瓶の花』というアルバムを出す時に『花瓶の花』という大事な曲のMVを作ってほしいと頼まれました。そう言って頂くことは嬉しく、引き受けました。この曲は素直で素敵なバラードだったので、ひゅーいくんと話しながらまっすぐに作ろうと決めました。短編映画にしたらもっと伝わると思い、MVだけでなく映画として作ることにしました」と話し、続けて「編集しながら泣いた作品はこれが初めてでした」とこの作品への思い入れを熱く語った。

さらに、最新作『君が君で君だ』の製作の経緯を聞かれると、松居監督は「脚本が書けなくて“理性が邪魔だ!!”とか言っているくらいうまくいかず、限界が来ている2011年頃、テレビとか目に映るすべての作品に苛立ちを感じていた。恋愛ドラマでは、人の愛は付き合ったり、結婚したり歩み寄ることだけがゴールとされていることが疑問に思った。見つめ続けること、何者かになりたい、自分を押し殺してその人のためだけの誰かになるのもいいのではないかと僕なりの愛を描いて作った」と本作のきっかけとなる舞台の誕生秘話を披露。すると、阿部が「この舞台を見たときに抱いた、心を貫通するような衝撃がずっと忘れられなくて、映画にしようと話を持ちかけた」と当時の心の内を懐かし気に語った。

また、松居監督が「高校生時代に僕は、“告白はエゴだ、自分の気持ちを伝えたいだけ。本当に好きだったら自分の気持ちは押し殺せよ、この子の人生の邪魔をするなよ”と思ってました」と明かすと、続けて「僕は“『タッチ』理論”が好きで、(浅倉)南がご飯を作ってあげるシーンで(上杉)和也は『おいしいよ、南』って言うけれど、(上杉)達也は無言でおかわりしていて、絶対たっちゃんの方が南のこと好きだろうって感じました」と言葉ではなく行動から滲み出る愛について熱く語り会場を沸かせた。さらに、松居監督は「高校生試写会の時に“小学生の時に好きな子を目で追いかけてしまうとか、机を少し触りたいとかリコーダーを舐めたいとかに通ずるものがある”と言われて、すごく納得した。下心が無く、ただそうしたいだけの純粋な気持ちがこの作品にもあって、もしかしたら僕はずっと小学生の気持ちを描いてきたのかなって気づかされました」と語り、会場から笑いが起こった。

最後に、これまでも青春映画を手がけてきた監督にとっての青春とは?を聞かれると、「青春映画を撮ってるつもりはあまりないのですが、まだ言葉になる前の感情をどうにか表現したいと思っていて、それが青春と言われる表現につながっているのだと思います」と松居監督ならではの持論を熱く語り、トークイベントは盛況の中終了した。

『君が君で君だ』
7月7日(土)全国公開
監督・原作・脚本:松居大悟
出演:池松壮亮 キム・コッピ 満島真之介 大倉孝二 高杉真宙 向井理 YOU
配給:ティ・ジョイ

【ストーリー】 大好きな子が好きな「尾崎豊」「ブラピ」「坂本龍馬」になりきり、自分の名前を捨て、10年間ただひたすら好きな子を見守ってきた3人の男たちを描いた恋愛譚。触れ合うことも告白することもなく、ただ見守り続けてきた3人が、執拗な借金の取り立てから好きな子を守るべく立ち上がるも返り討ちに!物語は大いなる騒動へと発展していく。

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