泉谷しげる、斎藤工、松本人志らに約8000人が熱狂!「阿蘇ロックフェスティバル2018」ライブレポート

今年で3度目の開催となる、シンガーソングライターの泉谷しげるが発起人の「阿蘇ロックフェスティバル2018」が、5月26日に熊本県野外劇場アスペクタにて開催され、約8000人の観客が来場し大いに賑わった。

トップバッターは昨年に引き続き、LEGENDオブ伝説a.k.aサイプレス上野。J-POPやヒップホップを中心にセレクトされたDJパフォーマンスで、あいにくの雨にもかかわらず早くから会場に詰めかけた観客を盛り上げる。

続いて、発起人の泉谷しげるがステージに上がり、「阿蘇ロックフェスティバル2018」の開幕を宣言。泉谷しげるwith BANDが「レガシー」を披露し、華やかなオープニングを飾った。

最初に登場したのは、斎藤工、古賀小由実、豪起によるプロジェクトバンドcinéma birds。劇場で映画を観ることが困難な地域の人たちに同じ空間で感動を共有する大切さを伝えるために映画+ライブというフェスティバルのような体験を届けるプロジェクトで、2017年には熊本県山鹿市の八千代座で開催するなど熊本との縁を持つ。音楽フェス初出演という彼らはファーストシングル「月と太陽」を含む計3曲を披露し、阿蘇の雄大な自然に溶け込むような優しい歌声、音楽で観客を魅了した。「泉谷さんは僕にとって兄のようで父のような存在」と語った斎藤は、自身が出演するIndeedのCM曲をサプライズで歌うなどサービス精神たっぷりのパフォーマンスを見せた。

次に登場したのは、地元熊本出身のBLUE ENCOUNT。降り続く雨を払拭するように「Survivor」を力強く演奏し、「熊本ただいまー!」と叫ぶ。「LIVER」「VS」「DAY×DAY」で観客のボルテージを一気に引き上げ、ボーカルの田邊が故郷・熊本への思いを語った後、“もっと光を”とサビフレーズを高らかに歌うと、奇跡のように雨は上がり陽が差し込む。「晴れてきた!来るんだって、必ず光が!」と叫び、「もっと光を」を熱唱し観客の心を震わせた。予定の曲は全て終了するも、ステージ脇にいた泉谷しげるが登場し、「もう1曲歌え!」と讃えるようにアンコール。「阿蘇ロックの歴史は終わらないって意味です!」と叫び、急遽「NEVER ENDING STORY」を演奏して締めくくった。

すっかり雨も上がり、SPYAIRがステージに登場。「OVERLOAD」でロックサウンドを響かせ、「ようこそ阿蘇ロックへ!」とボーカルのIKEが叫ぶと会場では大歓声が沸き起こる。「RAGE OF DUST」「イマジネーション」と人気曲を立て続けに披露し、「サムライハート(Some Like It Hot!!)」では恒例のタオル回しでテンションは最高潮に。さらに「現状ディストラクション」「スクランブル」で迫力のパフォーマンスを見せ、「熊本最高ー!!」と楽しさを爆発させた。

続いて、清水ミチコがステージに登場。「SPYAIRの次に清水ミチコってすごいフェスよね」と笑い、キーボードを弾き語りながら童謡「サッちゃん」の替え歌で政治家のモノマネを披露し会場は早くも爆笑の渦に。次に10代のえなりかずき、20代の藤田ニコルなど世代ごとにピックアップした有名人の声モノマネで盛り上げると、そこから怒涛のように続く変幻自在のモノマネ弾き語りメドレー。中島みゆき「糸」、井上陽水「少年時代」、忌野清志郎「スローバラード」、森山良子「さとうきび畑」など往年の名曲が惜しげも無く披露され、笑いに包まれつつも、彼女の伸びやかな歌声に魅了され数々の名曲に酔いしれた。

1回目の阿蘇ロックから連続出演のスチャダラパーは、「アーバン文法」「スチャダラパー・シングス」「MORE FUN-KEY-WORD」など新旧織り交ぜた楽曲を披露し、会場を大いに盛り上げる。もはや阿蘇ロックにスチャダラパーの音楽あり!と感じるほど自由で心地よい時間が流れ、世代関係なく踊りながら楽しむ観客たち。誰しもが知る名曲「今夜はブギー・バック」ではオーディエンスも一緒に歌い上げ、「サマージャムʼ95」でさらに存在感を見せつけた。

続く、電気グルーヴは「Fallin’ Down」を皮切りに「Missing Beatz」「SHAMEFUL」を披露。マイスタンドを拳銃に見立てて遊んだり、ステージを降りてカメラマンと肩を組んだり、最前列の観客まで近づいたりと自由に動き回るピエール瀧に会場は釘付け。「MAN HUMAN」「Baby’s on Fire」の圧巻のパフォーマンスを見せ、「トロピカル・ラブ」ではテクノサウンドに2人が鳴らすウッドブロックや拍子木の音が重なりクライマックスに向けて高まるテンションは最高潮に達した。

続いて登場したのは7人体制となったでんぱ組.inc。「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」「破!to the Future」を立て続けに披露し、バンドとも息ぴったりの見事なダンスパフォーマンスで観客を魅了する。「熊本は空気がおいしいよー!」「熊本の美味しいものを食べて体仕上がってます!」とMCでも大いに盛り上げ、「ギラメタスでんぱスターズ」「でんでんぱっしょん」でさらに観客を楽しませる。ここで熊本県のご当地キャラ、くまモンが登場。「でんぱれーどJAPAN」をくまモンと一緒にパフォーマンスすると、くまモンのフォーメーションもバッチリなダンスに会場からは大歓声が上がる。「おつかれサマー!」では観客も一緒にタオルを振り回し、まるで午前中の雨が嘘のような晴天のもと元気いっぱいのステージを披露した。

次にクリープハイプが登場すると観客からは黄色い歓声が上がる。「HE IS MINE」の冒頭からすでに独特の存在感を発揮し、観客が一斉に「セックスしよう!」と叫ぶ恒例の掛け合いが阿蘇に響く。そのまま「鬼」に流れ込み、「イト」でさらに会場を盛り上げると、MCではボーカルの尾崎が「クマが好きで(阿蘇)カドリー・ドミニオンに行ったら、阿蘇ロック頑張ってくださいって言われました」と話し観客を和ませる。「二十九、三十」を熱演し、「また来たいです、また出たいです」とひと言呟くと、尾崎がFM802春のキャンペーン「FM802 × TSUTAYA ACCESS!」のキャンペーンソングとして書き下ろした「栞」を披露して締めくくった。

VTRが流れ登場したのは、ダウンタウンの松本人志と東野幸治、前園真聖のフジテレビ「ワイドナショー」の面々。泉谷しげるとの笑いありの掛け合いの後、地元の有志を相手に乳首相撲で対決するコーナーでは、筋肉隆々の松本の肉体に歓声が上がる場面も。バラエティ感たっぷりの空気で会場を笑いで包み、スチャダラパーと清水ミチコ、斎藤工もステージに上がって「明日があるさ」を全員で熱唱した。

最後の大トリはもちろん、泉谷しげるwith BAND。「時よ止まれ 君は美しい!」ではバンドと息ぴったりの伸びやかな歌声を響かせ、「すべて時代のせいにして」「黑いカバン」では凄みのあるフォークの魂を阿蘇の山にぶつける。言わずと知れた名曲「春夏秋冬」を歌い出すと観客も一緒に体を揺らして口ずさむ。間奏では「自分だけの今日にしろ。自分だけにそっと歌え」と優しく口にし、全員で“今日で全てが終わるさ”とアカペラで歌い上げた。「野性のバラッド」ではステージ脇で見守っていた斎藤工やcinéma birdsのメンバー、運営スタッフもステージに呼び込み、バンドの音に乗せて皆でジャンプする。曲の後半にはステージを降りて観客のもとに駆け寄ると、「写真を撮れ!」「また来いよ!」と叫び、長い1日のエンディングに相応しくおよそ20分間にも及んでクライマックスが続いた。ステージに戻り倒れこむ泉谷を斎藤が抱きかかえ、「最高にかっこいい人でしょう?泉谷しげるでした!!」と叫ぶと会場は拍手喝采。阿蘇ロックフェスティバルの発起人・泉谷しげるの底知れぬパワーを見せつけ、大成功のうちに幕を閉じた。