柴崎友香、吉田大八監督、濱口竜介監督らが絶賛コメント!ホン・サンス監督 × キム・ミニ『それから』

昨年の第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された、名匠ホン・サンス監督最新作『それから』が6月9日より公開となる。このほど、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられた。

本作は、小さな出版社に勤めることになったアルムが、社長とその妻と愛人との間で起こるおもわぬ騒動に巻きこまれるドラマ。主演は、『お嬢さん』に出演したキム・ミニが務める。ホン・サンス監督とキム・ミニは、『正しい日 間違えた日』(6月30日公開)で運命的に出逢い、その後も『夜の浜辺でひとり』(6月16日公開)、『クレアのカメラ』(7月14日公開)、そして本作『それから』と次々にタッグを組み、そのすべてが国際映画祭で高く評価されてきた。本作の劇中には、ホン・サンス監督がタイトルに与えた、夏目漱石の「それから」が印象的に登場し、漱石作品に通底する“人生はままならない”というテーマが登場人物の人生にシンクロする。

著名人 絶賛コメント

■柴崎友香(作家/「寝ても覚めても」著)
そこにある現実と不確かさ、愛と不信、その先にあるものを知りたくなって、わたしはこの映画を繰り返し観てしまう。

■Noritake(イラストレーター)
パレットに好きな水彩絵の具だけを置いてみて、混ぜていると、濁ってしまう。キャンバスに塗ってみると、そんなに悪くない色をしている。モノクロの中に何色ともいえない色を感じます。

■相田冬二(ライター)
エモーションはいま、あらたな次元に。深くて鮮烈、ビターでやわらか、辛くて透明。この筆致が、わたしたちの混迷を抱きしめる。人生は愚かなほど、きっと美味しい。

■吉田大八(映画監督/『羊の木』監督)
天国と地獄の間に一瞬だけ射し込む光、美しい恩寵!奇蹟と書いてキム・ミニと読む。

■濱口竜介(映画監督/『寝ても覚めても』監督)
欲望に駆られた人を嘲笑うのではなく、愛に苦しむ人に寄り添う、ホン・サンスの新境地。女優キム・ミニの美しさが胸に染み入ってくる。

■町田康(作家)
静かな結末はよく見ると凄絶。彼女の向かう先には「それから」が空洞のように開いて私たちの日常に繋がっている。映画が終わって私たちは自分の「それから」に向き合うしかないのである。

■ホンマタカシ(写真家)
夏目漱石
そして人生の機微
ただただラストショットのために、この映画は実存している。

■町山広美(放送作家)
今度のホン・サンスはいよいよ剥き出しだ。お得意の飲み屋の会話がめくれて、真実がつるんと剥き身になる瞬間に鳥肌がたった。人生の結末を見ることは誰にもできない。物語ではないから、ただ「それから」が続く。だから、信じれば大丈夫。疑えば恐れれば不自由になるよ。できることをしよう、さあもう一杯。

■菊地成孔(音楽家/文筆家)
「人生は、ほとんど同じことを繰り返しているだけだ」と、自作の反復性を説明して見せた、愛までを観察の素材とする、ホン・サンスの人生に初めて生じたスキャンダルという綻び、それが作品にどう現れたか?スリリングでシンメトリック、リリカルなミニマリズム。

■宇野維正(映画・音楽ジャーナリスト)
映画の「聖」と人間の「俗」が交差する特別な場所にホン・サンスの作品はある。そしてこれが重要なのだが、物語が毎回とても面白い。中でも『それから』はホン・サンス史上最高に面白いのではないか。

『それから』
6月9日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
監督・脚本:ホン・サンス
出演:クォン・ヘヒョ キム・ミニ キム・セビョク チョ・ユニ キ・ジュボン パク・イェジュ カン・テウ
配給:クレストインターナショナル

【ストーリー】  妻に浮気を疑われ、窮地に立たされている男が経営する出版社に勤めることになったアルム(キム・ミニ)。初日早々、社長の妻がやってきて、アルムを夫の不倫相手と決めつけ騒ぎ立てる。同じ日の夜、前任者であり社長の愛人であった女がひょっこり戻ってきたことで、事態は思わぬ方向へ…。

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